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58:樹林回廊下層-3

ストックが貯まってきたので土曜日ですが2話更新します。

 さて、樹林回廊に入ってすぐに枝下へダイブ。するとすぐさま目的地である下層部にある湖に到着である。

 そう言えばこの湖ってどこに繋がっているんだろうな。その内調べるか。


「で、最近どうにもバーバリアンっぽい戦い方が出来ていなかったしな。ここらで一つ頑張るとしますか。」

 俺はまず軽く準備運動をする。

 次に≪方向感覚≫も使ってどちらの方向に進むのかを決める。

 まあアレだな。ただ単にスケルトンたちに喧嘩を売るのも面白くないし、まずは外周部を一周して何かが無いかを探索。その後は自分の状態次第で樹の一本一本を探るかどうかを決めるか。


 と言うわけで最初に進む方向を以前向かった東方向に定めて早速探索開始である。



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「なんだこれ。」

 さて、弩+弓+片手槍×2+ハンマー+スカルヘッドなどの様にガチパーティ過ぎる敵集団を回避しつつ、探索開始から3時間ほど経った頃。俺の目の前には奇妙な2本の岩が地面から生えていた。


「ボスゲートに似てるが……通れないな。」

 外見や感じる雰囲気としてはボスゲートに似ている。

 が、その色は白く。2本の岩の間には境界線などは無い。


「場所的には……南西寄りか?」

 俺は≪方向感覚≫を使ってボスゲート?を正面に捉えた場合自分がどの方向を向いているかを調べ、その方向と今までの自分が通ってきた行程を思い出して大体の樹林回廊内での位置を探る。

 まあ、その結果が樹林回廊の南西という判断なわけだが。


 さて、仮にこれがボスゲートだとした場合。このゲートの先に居るボスの役割は恐らくウルグルプやベノムッドと同じように樹林回廊と別のエリアの行き来を封じるボスだろう。

 だが、HASO世界全体のマップを考えた場合この先は王都の西。つまりは灯台イベント完了後に行けるエリアであるために、現状では行くことが出来ない。恐らくはそう言う事なのだろう。


「今は気にしてもしょうがないか。」

 俺はそう結論を出してその場を去る。



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 さらに道を進んでいくと明らかに他の樹よりも太く、禍々しい雰囲気を放っている大樹が立っていた。場所は樹林回廊のほぼ西端。

 うん。これは間違いなく上層部でもヤバいと感じたあの樹だな。


「何かあるかな……」

 俺はゆっくりと樹の周囲を回っていく。

 だがしかし特に奇妙な物は存在しない。

 そして樹の周りを一周した所で何もないと考え、歩を進めようとした俺の前にそれは現れた。


「カタカタカタ……」

「黒い……スケルトンか」

 それは通常のスケルトンが動く白骨死体であったのに対し、骨が黒く染め上げられていた。

 加えて通常のスケルトンが集団行動をとるのに対してこの黒いスケルトンは単独で行動している。

 獲物は……刺突剣か。


「カタ。」

 黒いスケルトンが俺に気づいたのかゆっくりとこちらを向く。

 黒いスケルトンと俺の目が合う。目と言っても本来眼球があるべき場所には青い炎が灯されているが。


「……カタ。」

「へぇ……いいねぇ。」

 目と目が合った瞬間に分かった。

 恐らくコイツはこの樹林回廊のレアモンスターやユニークモンスターという位置づけなのだろう。だが、それは大して重要な情報ではない。

 コイツは強い。そしてコイツは既に俺を目標に定めている。


「来いよ。楽しもうぜ。」

 俺の中で戦いのためのスイッチが入り、俺は右手で腰のボアノーズを抜き、左手で石ころを握っておく。


「カタ。」

 黒いスケルトン(面倒だし今後は黒スケと呼ぼう)がフェンシングの様な構えを取る。どうやら相手も準備完了のようだ。


「行くぜ!」

 俺は勢いよく踏み込み、黒スケに殴り掛かる。

 が、黒スケは自らの攻撃範囲に俺のメイスが入った瞬間に刺突剣を動かしてメイスを払いのけ、その直後に反撃として俺の顔面を刺そうとする。


「【ストライクスロー】」

 だが俺は左手の石ころを【ストライクスロー】で勢いよく投げつけて、刺突剣の切っ先に当ててその矛先を僅かに逸らし、加えて頭を傾けることによって頬に刺突剣を掠らせつつ攻撃を回避する。

 うん。これでこいつの持っている武器が両手剣等の重い武器だったら逸らしきれなかったな。


「カタ。」

 俺は距離を取って姿勢を低く構える。今度は左手には何も持たない。

 黒スケが踏込から刺突剣を突き出してくる。

 俺はそれに対してお返しと言わんばかりに先程黒スケがやったように相手の攻撃にこちらの攻撃を当てて弾く。

 さて、俺の使うメイスは黒スケの使う刺突剣程に軽くは無い。そのため、先程の黒スケの様にここから通常のメイスで(・・・・・・・)反撃することは出来ない。

 まあそれならそれ以外で反撃すればいいだけの話だ。


「【ハウリング】『行くぜおらぁ!』【ウルフファング】!」

 俺は【ハウリング】で強化した≪大声≫を黒スケに当てて動きを遅くするとその隙を縫う様に接近。【ウルフファング】を黒スケの右肩の骨に当てる。

 が、堅い。祝福によって強化されているはずの歯でもそれほどのダメージを与えられているように感じない。


「だがまあ、当たるならそれで十分だ。」

 俺は【ウルフファング】の二撃目を当てた時点ですぐに距離を取って反撃を受けるのを防ぐ。


「カタタッ!」

「げっ!?」

 黒スケが勢いよく踏み込むと同時に連続突きを繰り出す。

 俺はメイスを急いで振り上げて直撃は防ぐが、いくつかの攻撃が俺の体に突き刺さり、俺のHPを2,3割ほど持っていく。

 そして攻撃を終えた所で黒スケは後ろに飛んで距離を取る。


「やりやがったな……」

 俺は勢いよく黒スケに突っ込む。

 黒スケは当然の様に迎撃として俺に向かって刺突剣を繰り出す。

 が、当然その攻撃は予測済みであるため、俺はメイスを振り上げて刺突剣を弾き飛ばす。

 だが、今回はここで終わらない。


「【スイングダウン】!」

「カッ!?」

 俺は【スイングダウン】を発動して振り上げたメイスを無理やり振り下ろし、黒スケの頭にメイスを叩きつける。

 そして、ここで俺は攻撃を止めない。

 続けて俺はメイスを叩きつけた勢いそのままに側宙で半回転して左手で黒スケの頭を掴みとり、そこを支点にさらに半回転して右手のメイスを頭に再度叩きつけてダウンを取る。

 黒スケは地面に倒れたまま刺突剣を振り上げる。が、俺は身を捩って避けると刺突剣を持った黒スケの右手首に噛み付いてそれ以上動かせないようにし、左手で腰骨を抑えて立ち上がれないようにする。

 というか今更だが黒スケは女性骨格なんだな。形が違う。まあだからと言って手加減する気なんてないが。


「ーーー!!」

「フグム!」

 黒スケが暴れる。が、少しずつ俺のHPも削れているが起き上がることは出来ない。

 そして俺はその状態から≪嗅覚識別≫で大体の辺りを付けると右手のメイスを振り上げると黒スケの頭部に何度も叩きつける。

 さあ、こうなればどっちが先に倒れるかだ。



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 俺は幾度もメイスを叩きつけ、黒スケは俺の下から抜け出ようと必死にもがく。

 が、抵抗空しくやがて黒スケはその動きを止める。


「ふう。何とかなったか。」

 俺は自分のHPを確認する。すると俺のHPは残り1割を切るかどうかだった。うん。普通にヤバい。

 俺は黒スケからアイテムを剥ぎ取ると手持ちの薬草酒を呑んで最低限のHPを確保すると探索を再開する。


 それにしても流石はレアモンスター。こんなアイテムを落とすとはな。


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黒器の破片 レア度:4 重量:1


ブラックスケルトンの持つ武器の破片。禍々しい気配を放っている。

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 帰ったら何か作れないか確認してみるか。

女性と男性で骨格が違うのは有名な話です。

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