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1:プロローグ

VRMMO物を思いついてしまったので、つい。

合わないと感じられたら素直に回れ右をすることをお勧めします。

「やらないか」

 とりあえず昼下がりの大学の構内で開口一番にそんな事を言ってきた友人の顔面に俺はアイアンクローを仕掛ける。


「ギブギブギブ!!」

 友人の助けを求める声とミシミシという嫌な音、それに一部女子からの理解したらまずい視線などを感じるが気にしないでおく。今重要なのはそんな事じゃない。


「一応弁解の機会は与えてやる。なんでそんな事を言ったんだ?」

 俺はアイアンクローを仕掛けたまま友人に質問を投げかける。


「いや、今度トップハント社からHunter and Smith Online。通称HASOって言うVRMMOが出るんだけどな。それを俺とお前で一緒にプレイしたいと思って誘ったんだよ。」

「あー、あれか。」

 俺はついこの間ゲーム雑誌で読んだそれの宣伝文句と紹介を思い出す。


 Hunter and Smith Online

 トップハント社が開発・販売・運営するVRMMO。

 たしかプレイヤーは神様から祝福を与えられて狩人兼職人となり、魔物を倒し、素材を加工し、自分だけの装備を作り上げる。と言った趣旨のゲームで、この前βテストが終わって来週あたりからサービスが開始されるんだったと思う。


「ところで、いい加減下ろしてくれないか?」

「ああ、すまん。」

 俺は手を離してアイアンクローを解除してやる。


「ふう。危うく頭が潰れるかと思ったぜ。」

 友人はそんな事を言いつつもなんでもない様子だ。まあ、実際のところさっきのじゃれ合い位はいつものことだし、あの程度でどうにかなるほどやわな頭をこの友人はしていない。


「で、実際どうだ?一緒にやらないか?」

「ソフトはどうするんだよ?発売一週間前じゃもう予約も厳しいだろ。当日に並ぶのか?」

「それは俺のコネがあるから大丈夫。というか伝手もなしに誘ったりしねえよ。」

 なるほど、ソフトの入手は問題ないと。

 しかし、俺自身ゲームは好きなんだが、VRはともかくMMOは完全に初体験なんだがな…まあ、お金に関しては問題ないし、時間もあるから環境に関しては問題ない。となれば後は俺のやる気次第か。


「分かった。ならやらせてもらうよ。」

「よしっ!」

「ただし、俺はMMO初心者だからな。自分のペースで勝手にやるぞ。」

「分かってる分かってる。俺も廃人ペースでやる気なんて無いから安心しろ。じゃ、次の日曜日にお前ん家に必要なもん持って行くからよろしくなー」

「はいはい。」

 そうして、俺はHunter and Smith Onlineに参加することになったのであった。



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 さて、次の日曜日。予告通りに友人はプレイに必要なものを全て持ってきてくれた。

 俺は友人に礼を言うとサービス開始までの間にやるべきことを済ませておく。

 これでも俺はゲーム好きなのだ。しかも事前情報を得ておきたいタイプのゲーム好きだ。なのでそれらしく、多少はβ時代の情報をまとめたwikiを見るなどして情報を仕入れておく。


 折角のMMOなら他にやる人がいないようなプレイスタイルをしてみたいよな……


 かと言ってテンプレを外しすぎるとPTを組むどころかソロプレイも厳しくなるしなぁ……


 ふむふむ。スキルごとにレベルがあって、プレイヤーの能力値は一部スキルを装備しないと上がらないのか……


 ああ、なるほどこういうシステムになっているのか……


 あー、このスキル面白そうだな……


 これを入れるなら、これも入れたいな……


 うん。これでいい、これでいこう……



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 そして日数は過ぎていき、サービス開始当日。

 俺はVRゲーム専用のヘッドギアを身につけるとHASOへのダイブを開始した。

プロローグに主人公の名前が出ないのが自分の作品のデフォかもしれませんw


07/31 誤字修正

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