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つまらない人助けを 上

 朝起きて顔を洗い、歯を磨いて服装を整え、朝食を取っていざ通学。最近は冬も近づいて大分寒くなってきた。吐く息が白いとまでは行かないが、指先が少しかじかむ。地球温暖化だなんだと騒いでいても、今日の日本は氷河期の前触れみたいな寒さを呑気に放っている。


「あぁ……寒い。明日から防寒具つけてこ」


 うう、と呟いて手を擦りあわせる。摩擦熱がほんのちょっぴりだけ発生して、暖かくなったような気がしなくもない。

 理由もなく見上げた空は、妙に高い。空は高いのは空の透明度と低気圧と高気圧の影響で発生する雲が、空の高い位置にあるからだ。

 風情の欠片もない回答だが、事実は事実。


 ほんの一瞬、銀の光と晴れた空を背負って、泣きながら笑うロードの姿を思い出した。あの表情は、もう一生忘れられる筈もない。朗らかで、晴れやかで、本当に……。


「綺麗だったなぁ」


 大切な思い出に心を軽くされながら、高校への道をまた一歩踏み出した。


 ――――


 教室でいつも通り準備を終わらせて推理小説に手を伸ばしたが、残念ながら優しく教室の扉が開き、ページの向こう側から騒がしい足音が聞こえる。なんだ、この教室には実は監視カメラが設置されてるとかか? タイミングが良すぎだろ。

 主人公の探偵にそろそろ名推理披露させてやれよ……。


「シンジィ! どうやらVR明けは治ったっぽいな!」


「無事完治したよ。どうした? そんなにテンション上げて」


 健闘虚しく本は閉じられ、探偵はどや顔で犯人の名前を言う所で寸止めを食らった。その原因である晴人は、整った顔に満面の笑みを浮かべている。


「いやぁ、どうもこうもあるかって。今日入れてあと3日でイベント開始だぜ? クランにも無事入れたし、王都はめっちゃ賑やかだしでお祭り騒ぎだわ」


「げぇ……そういやもう3日しかないのか」


 イベントまで時間がないのは承知だが、昨日アップデートが終わってそれから3日後だから、本当に今日を入れてあと3日か……。俺とカルナはイベントでもそこそこ動けそうだが、それ以外が……あ、そういえばイベント掲示板どうなってるかな。

 それぞれの役職が振り当てられたわけだから、そこそこ伸びてるはず……あとで確認しよう。


「王都のPVPとかはどんな感じだ?」


 情報は多い方がいい。晴人が喜んで吐き出してくれる対人の情報から掠め取っていこう。俺の言葉に晴人は、おお、ついにシンジが対人に興味を……と興奮気味だ。残念だが対人にはこれっぽっちも興味がないぞ。


「対人は都の東側にあるコロッセオで行われてるんだが……」


 そこで晴人は言葉に詰まり、うーん、と渋い顔をした。


「どうした?何か問題でも?」


「大問題が一つ……対人戦を解放するにはコロッセオを仕切ってる『マグダス』と『ヴァレリア』ってNPC二人組を倒して実力を認めさせないと行けないらしいんだわ」


「あー、察したわ。どうせ恐ろしく強いんだろ?」


「俺目線でもまーまーやべーって感じ。あんま考えたこと無いけど、一人で攻略するように作られてない感じがビンビンだわ」


「……マジ?お前目線でキツかったら誰も勝てない気がするんだが」


「いやまあ、アホみたいなリソースとスペックの違いで押しつぶされて競り負けてるって感じだから、もうちょい粘れるか地力上げすれば勝てそうなんだが……今のままやろうとするならRTAさんにフルメタさん……あとはあまり誘いたくないがすくらんぶるさんとかカラメルタイプさん辺り頼んないと駄目そう。俺、あの人達苦手だから最終手段だけどな」


 晴人が苦手とは珍しい。こいつはコミュニケーション能力の化け物の様な人間なので、いつの間にかコミュニティの中に溶け込んで派閥が出来てる事が多いのだが……。


「すくらんぶるさんは全装備なし(インナー装備)かつアへ顔で高速移動する変態だし、カラメルタイプさんは『君、かわいいね』って言ってくる男の方なんだ……」


「やべえな……」


「VRのブロックとフィルターが掛かってるから触られないしすくらんぶるさんの顔にはほぼ常時モザイクが掛かってるけど……『風を感じるよぉぉぉ!』って常に言ってるな」


「モザイク……」


 顔にモザイクはっつけたまま爆走する変態とか手に負えねぇ……。どうやら始まりの町でも王都でも衛兵に追いかけられ続けているが、得意の風魔法でスリップストリームとダウンフォースを発動させ続け、未だに捕まった事がないらしい。早く捕まれ。

 カラメルタイプさんは……分類で言うと出会い厨か? 晴人いわくアレなのは言葉と視線だけらしい。止めて欲しいと言うとすぐやめる上に、女性にはとても紳士的でフレンドリーなので人気が意外に高いとのこと。


 更にはエルフの里での防衛戦で、レベル差が圧倒的な魔物の群れに対して、たった一人で裏門を守り続けた影の英雄らしい……性欲をセーブできないだけでいい人なのね。


「『テメェら纏めて掛かってこい。俺の後ろには何があろうと進ません!』ってなぁ……カッコいいんだけど、変なところでカッコ悪い。さっきの言葉のあとに、『エルフ男子の尻は俺が護るッ!』って言ってたり……」


「助けてほしいけど、助かったら助かったで尻が怖いな……出来れば共倒れになってほしい」


「実際なったぞ」


変態(危機)は去ったな……」


「いや、一瞬でリスポーンしてデスペナ抱えながら戦闘続行した」


 凄い……んだが、真後ろに煩悩が見える。俺は魔物だから平気だろうが、顔の整った晴人からすればかなり苦手な部類だろう。

 犯罪者と変態を仲間に加えなければ勝てないほどの敵……マグダスとヴァレリアかぁ。対人戦闘には全く興味がないが、どんなやつなのか気になる。プレイヤーの最上位が歯が立たない訳だから、その二人を基準にすればプレイヤーに対する魔物の強さの最低条件が割り出せるかもしれない。


「ちなみにコロッセオの二人はどんなスタイルなんだ?」


「んーと、ヴァレリアが避けMAGでマグダスが殴りプリーストだな」


「うわぁ……マグダスはいいとして、ヴァレリアのステータス次第じゃMP切れるまで何も出来ないじゃないか」


「プロビデンスの情報によると耐性がないからデバフで潰すのが最適解らしいが、マグダスが邪魔だ。先に処分……っていきたいけど素直に固いしヴァレリアが時間経過するたびに加速と火力のバフが乗り続けるから無視できねえ」


「うげ……耐久戦はキツイ感じか」


「いやー、流石の俺でもアレは無理かもな。なんかワンチャン、ヴァレリアの加速バフに上限が無いんじゃね?って疑惑が出ててな……十分過ぎた辺りから俺でも追うのギリギリになるんだわ」


「……マジ?」


 いくらなんでも青天井は無いと信じたいが……この怪物ゲーマーが『無理かも』と口にする相手は、少なくともまともな人間じゃ相手にならない。しかも単体じゃなくて僧侶と組み合わせた板挟みだ。

デバフなら麻痺がよく効きそうだが……どうだろうな?デバフ解除を仕掛けてくるマグダスに沈黙を撃ち込んで魔法を禁止させ、麻痺からのダークアロー乱射。もしくはヴァレリアをブラックカーテンで盲目にさせてからシャドウスパークで影ごとダメージを与えるのもいいかもしれない。


 余った固いだけのマグダスはひたすらにデバフかけてがんじがらめにして潰すか……そうだな、『円環の主』を使ってHPを大幅に削るのもいいかもしれない。MPはそこそこあるだろうが、流石にHPより多いということはあるまい。リソースの削りあいなら『生存本能』などの回復系統スキルをこれでもかと搭載した俺に分があるはずだ。


「俺なら勝ち筋は結構ありそうか……?一応火力も出るし」


「ヴァレリアの変態挙動ともりもり回復するハゲの体力を見てから言って欲しいけどな……シンジならやりかねない」


「いや、俺のプレイスタイルが完全にメタっぽいな。負ける要素の方が少ないかもしれん」


 負けるとしたらヴァレリアの魔法をもろに食らったときだろうが、時差詠唱で予めセットしておいた沈黙を二重捕捉で初手から打ち込めば、あとはもうお仕舞いだろう。見たこともない敵だが勝ち筋が多すぎる。というより、デバフがキマればカモだな。

 なんで本当に呪術が使われないのかが疑問だ。


 晴人にその理由を聞こうとしたが、それより先に予鈴が鳴った。とりあえず授業に集中するか……。


「やっべ、一限目物理室じゃね?」


「あー、準備しないとな」


「んじゃ、取り敢えずまた」


「オッケー」



 ―――――



 所変わって自宅。昼休みは特に何もなく過ぎて、下校した俺はレポートの山を消化していた。

 大体八割は終わったから、あとはもう流れ作業だが、そういう時に限って時間が長く感じられる。イヤホンからは俺の好きな洋楽が大音量で流れており、最初こそテンションが上がって筆がのっていたが、後半はもうこの曲何周目だよ、となってプレイリストを別のものに変えてしまった。しかしその先でもまた同じ事が起きて、また元のプレイリストに戻ってきてしまう。


「うーん、19時かぁ……母さんに早めに飯作ってもらって、ささっと課題終わらしてからゲームだな」


 ここ最近ゲームしかしていないせいで、録画した番組やアニメだけが溜まっていくが、仕方ない。


「うっわ、めっちゃ好きな曲きた。テンション上がるわ」


 上がったテンションと達成感から、謎の躍りを披露しながらリビングに降りた。



「終わったぁ……」


 やはりゲームもいいが学業にもきっちりと励まねばなるまい。将来はしっかりとした真人間を目指しているからな。ワンチャン晴人みたいな才能があれば就活せずにプロゲーマーとして活躍できそうだが。

 凝り固まった肩をほぐしながら、スマホに手を伸ばして、久々に掲示板を覗いてみた。


『【はい】ヴァレリア、マグダス攻略スレ【人外】10人斬り目』


『そろそろ北と南どうにかしようぜ その8』


『育ててた作物に殺されそうなんだが助けてくれ』


『森探索してたら、異世界へのゲートみたいなの見つけたんだが 4』 


『ゲリライベント発生条件考察スレ No.12』


『【ワイこそは】金策について貧乏なワイに教えろください【乞食】 21エヒト』


『遺跡発掘品自慢スレ【売買取引ok】 その8』


『料理人だから飯作ったんだけどさぁ…… 12皿目』


『【Lv10↑募】盗賊ボコったらアジト吐いたから潰しに行こうぜwww【鉄砲玉集まれ】』


『【そこに】VR考察スレ その38【何があるのか】』


『出、出~wクラン盾にしてイキるガキwww 5』


『VR有名人まとめスレ 23』


『【進化を】魔物プレイヤー総合スレ31【目指せ】』




 ヴァレリア、マグダススレはまさに阿鼻叫喚の地獄絵図と化しており


『五分超えた辺りから動きが三次元超えて四次元で草』

『これマジで無限加速なんか?トップ層の奴らが十分まで加速するって言ってたが』

『ヴァレリア途中から分身するんだけど!?』

『それ残像なんで気にしないほうが良いですよ』

『いやマジで当たんねえww聞いてたから覚悟してたけど本当に当たんねえww』

『そんでハゲに八つ当たりかました後に纏めて焼き殺されるのがテンプレなんだよな』

『ヴァレリアはアレとして、ハゲも大概やってるだろ。なんだよあの回復』

『あのハゲ絶対魔法吸収してるだろ……』

『なんでハゲ物理攻撃で回復してんの?ドM??』


 などなど、王都に行けさえすれば誰でも挑戦できる第一線の戦闘に、一般プレイヤーが絶望を声高に叫んでいた。


 可哀想に……俺はデバフでどうにかできるが、他は恐らく晴人と真っ正面から対峙したときのような絶望を叩きつけられるのだろう。

 まず動きが見えないし、すべての攻撃が先を読んで潰される。トラップを見切るのは当たり前で、トラップのトラップ、ブラフすら見切ってくる理不尽の塊だ。そんな彼が苦い顔をする、ということは……想像したくもないほどえげつない相手なのだろう。


 なんか途端に自信が無くなってきた。状態異常無効付いてないよな? 耐性は無いけど速すぎて当たりませーん、とかだったらキャラデザイナーを殴る。まあ、でも実際耐性があろうとなかろうとヴァレリアの攻撃さえ凌げれば吸収でどうにかなるだろう。


 他のスレは……謎の青いゲートを通り過ぎたらシャボン玉の浮いた異次元に飛ばされて帰ってきた、というホラーな物があるな。嘘だ出鱈目だと散々言われているが、こういうのは真偽が分からずとも一旦怖さに身を任せるのがいいと思う。


 北と南をどうにかしようと目論むスレにひやりとしたが、どうやらあまり経過がよくない様子で安心した。南はボスが強すぎて、北はヒーラーの不足で進捗がよろしくないらしい。

 ヒーラーとタンクは永遠に枯渇するものだ。誰もゲームでまで地味な盾や責任の集まるヒーラーをやろうとは思わないのだろう。ほんの少しだけ悲しくなった。 


 作物に殺されそう、の言葉のパワーに困惑しつつスレを見ると、遺跡から持ち帰った種を鑑定しないまま植えて育てた結果、それがマンドラゴラ的な魔物の種だったらしく、最終的には始まりの地近郊で助けに来たスレ民達vsヤバい作物のレイド戦が始まってしまったらしい。

 戦闘はかなり激化したようだが、最終的にはスレ主が涙を堪えながら自分の畑に大量の塩を撒いて土地ごと作物を枯らすことで決着がついたようだ。塩を撒いた畑は、最悪二度と農業ができなくなるらしいので……スレ主はかなり高めの授業料を払う形になったようだな。


 料理人だからスレは……あー、食材に呪われた素材が入っていたらしく、それを使って出来た料理を味見したスレ主が状態異常『拒食症』になったとのことらしい。可哀想に、どんなものを食べても吐いてしまうらしく、最終的には餓死して治していた。

 本人曰く吐瀉物はフィルター付きの人から見るとキラキラしてるそうな。


 他にめぼしいのは……盗賊潰そうってのと、発掘品スレだな。盗賊団を潰す方は高レベルプレイヤーのカチコミによってしっかり盗賊団を潰したようだが……その瞬間にユニーククエストが始まったという。クエスト名は【ロドリオンズ・プライド】で、推奨レベルが……24。俺のレベルでなんとかって具合の高難易度クエストだ。


「潰した盗賊団が、実はただの盗賊団じゃなかったのか。始まりの地ロドリオンを転覆させるための計画があって、その一つが盗賊団の襲撃だった、と」


 どうやらロドリオン全体を巻き込んだ、中々に濃密なクエストらしい。どの国からもちょうど良い距離にあるため、どの国の所有物にもならなかった空白の土地、ロドリオン。その状況を崩そうと目論む『烏の夜(ノックス・レイヴン)』とやらが居て……うわぁ、滅茶苦茶楽しそうだ。いいなぁ。


 羨んでも街には入れないので、泣く泣くスレのURLをブックマークに入れて、発掘品スレを眺めた。盾とか剣とかがスクショ付きで流れてきており、それに値段交渉をしている文面が並んでいる。

 人によってはこれだけで時間が潰せるタイプのコンテンツだな。見た限り、高額な値段が付きやすいのは武器とか防具じゃなくて、指輪とかネックレス、チョーカーみたいな装飾品のようだ。普通にゼロが二つ違う値段で取引されている。その中でもスレで頻繁に名前が出ているのが――


「ゔっ……!? 追加効果ヤバすぎるだろ……『双竜食みのアンクレット』……!?」


 『双竜食みのアンクレット』はウロボロスじみて互いの尻尾を喰らう銀色の腕輪で、追加効果は『忘れられた信念と盟約(コンディクション)』。

 装備者が死亡した際、全てのスキル、魔法、インベントリを封印した状態で即座に蘇生する。蘇生から二十秒以内に装備者がもう一度死亡すると、装備者を完全な状態で蘇生する。

 時間内に死亡できなかった場合、デスペナルティが二倍になった状態でリスポーンする。再使用時間(リキャストタイム):12時間。


「ユニークスキルを外付けでつけられるようなもんじゃねえか……」


 あまりにも唯一性がありすぎるので、値段が青天井に伸びていっている。出来ることならば俺も欲しい。デスペナルティ二倍だろうが、今の俺にとってはノーダメージだ。

 とはいえ、取引は町中で行われているので……このスレもブックマーク行きだ。


 ため息を吐きつつ、また次のスレをみてみる。これは……クランを盾に云々のスレだな。どうやら一部のプレイヤーが大型クランに入っていることを自慢し、中規模、もしくは零細のクランを馬鹿にするなどしてマナーを悪化させているらしい。やはりゲームということは様々な人種が入り交じるということで、こういうこともありうるのだろう。人間も苦労しているようだな。


 魔物スレは……ほほう、珍しく伸びていると思ったら何人かが進化をして世界が変わったと呟いている。ステータスは大幅に伸びるしデメリットは減るしで、初期町近くにいた魔物プレイヤーは今まで狩られるだけの立場だったのが完全に逆転したと言っている。

 その言葉に釣られて必死に進化を目指して協力している魔物プレイヤー達は非常に微笑ましい。応援の言葉を一言残しておこう。


「『進化を目指して頑張ってください。本当に陰ながら応援しています』っと」


 コメントを残したあと、本命のイベントスレを探してみると、なんと人間側が四十スレを突破した中、魔物は漸く3つ目を埋めたのみである。

 逆に人間側はそんなにしゃべることがあるのか、と聞いてみたいが、プレイヤーの八割は彼らで、その人数は七万人近い。


「数の暴力だな」


 イベント戦でもわらわらとプレイヤーが湧いて出てくるに違いない。それを押さえられるかは俺に掛かっている。今回は剣闘士達という心強い味方が居ないのだ。本当に俺が死んだらヤバイ可能性がある。……不味くなればオルゲス達を呼び出すことを視野に入れよう。彼らを出すタイミングも重要になるだろうな。


「こっちにも『大隊長になりました。よろしくお願いします』っと」


 会話の流れを確認するのはゲームを一段落させてからでいいだろう。今日はそれほど切迫した用事はないし、それどころか何をしようか迷っている最中だからな。

 ちょこっと樹海を探検して、レベルあげのスポットや、面白いエリアが見つかればいいな、程度の認識だ。……これでイベントに巻き込まれたら笑ってしまうが。


「久々のソロプレイを楽しむかー」


 何人か居ても楽しいが、一人は一人で面白いはずだ。スマホの電源を切って、終わった課題を片付ける。そして、ベッドの上に寝転がってヘッドギアを装着し、ログインを押した。

 さて、楽しもうか。

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