4.最強と少女
20話目「最強と少女」
団長さんに貰った地図の場所に来てみたら、それらしき家が見当たらないのは参ったよ。まさかミンク様の結界で隠されていたなんてね。
「いらっしゃい。あなたが……ミイア、ね」
出てきた人は、それはそれは懐かしむような目でミィのことを見てね、女士なんて言われてるから結構お年の方かと思ってたんだけど、見た目はリーさんよりちょっと上かヒロさんと同じくらいかってところ。実際はつい最近五十の誕生日だったそうだよ。すごく若く見えるのはミンク様の結界の副作用なんだって。え、デリカシーがない……。ご、ごめんなさい。
「ちょっと、何のつもり!」
で、手招きされて中に入ると、魔法のような、そうじゃないような、よく分からない圧力みたいのを感じたんだ。その犯人が、放蕩王子ことミンク・アーツ様。リーさんは大分怒ってたよ。使い手が少ないって聞いてたんだけど、ミンク様は無声魔法の使い手で、声に出さずに魔法を使えるんだ。普通はそんな魔法を習得しなくても小声で発動すればいいんだけど、なんと数十重の結界魔法を発動させたんだって。さすがに、小声でもブツブツやってたら一つずつが限界だからね、無声魔法もつかうわけだよ。
ツリーさんとミンク様はミィのご両親、ジーク・アールさんとミア・L・アールさんとは親友で、亡くなったあと二人と六人で一緒に活動していたそうだよ。『最速の結界術士』『トリック』『ヘヴィ・ダブル』『廃術の呪文書』『鈍足の槍使い』『ピュア・キュア』の六人と言えば、同時の最精鋭のチームだったって。特に『ダブルトリック』と呼ばれたミィのご両親は、この世に敵う人間は存在しないと言われたほどだったらしい。詳しいことはあとでツリーさんが話してくれると、思う……よ? え、ツリーさん、どこへ行くんです!?
あ、あはは。ツリーさんはかなり口下手なんだよ。戻ってきてくれるといいけど……。
ん? ツリーさんの二つ名は『廃術の呪文書』だよ。『廃れた魔法』を現代に蘇らせている傍ら、独自に新しい魔法まで生み出しているすごい人。木の系統の魔法、水系統や火系統によらない光系統の魔法を使える人は、まだそんなにいないんだよ。
前話までに変更・追加点がいくつかあります。詳しくは下記URLの活動報告へ。
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