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3.少女と地図

 19話目「少女と地図」

 ミィの蒼穹討伐への参加は、僕に召集がかかったから。ロイさんも召集された一人。じゃあってことで、ミィとリーさんも参加することに決めたんだ。

「ヒロさんは行かないんですか?」

「あんなのはもう見たくねぇんだよ」

 ヒロさんは十七年前のエンドレス討伐戦のときの数少ない生き残りの一人なんだって。そのときは、記録班の護衛で若い順に選ばれて逃げてきたそうだよ。

 で、蒼穹戦だね。ヒロさんのリーさんも喋ったから結果は分かってるよね。僕の役目は六人いた魔法班のサブリーダーのうちの一人。僕の管轄は十五人で、みんな年上の人だったから最初はお互いに戸惑ってたんだけど、僕が編み出したオリジナルの組み合わせの魔法を披露したら驚かれちゃった。お陰で僕が担当した班は結構いいチームワークだったと思う。

「普通はこういうのは人に教えないものなのよ?」

 帰ってきてからリーさんに怒られちゃったけど、僕が教えたのは全部初級だけでできる組み合わせだし、似たような組み合わせで使ってる人も何人か見たことあったからね。僕が子供だからって、魔法に関しては甘く見ないで欲しいね。いつの日か、ミィの要望に合わせた魔法だって作ってみせるんだから! え、リーさん、そんな微笑ましいみたいな目でみないでくださいよ……。

 で、ミィがツリーさんに会ったのは、さっきリーさんが話したよね。王城騎士団の団長さんに地図をもらったんだけど、その前に王宮騎士団の団長さんに会ってね……って、え? ああ、そうか。アーツ王国には王城と王宮が別々にあってね、王宮の方は王様の家族が住んでるだけなんだよ。で、その王様の家を守るのが王宮騎士団。団長同士は仲がいいんだ。身分は王宮騎士団長が上で、階級は王城騎士団長のほうが上。内部でいざこざがあったときに、お互いに命令できないようになってるんだって。ちなみに、王宮騎士団は王城騎士団からの選抜や引き抜き、それから希望が通ったって人もいるみたい。

「まったく、ツリー女士と連絡がつくのであれば教えてくれてもいいものを……。戻り次第、宿に使いを出す。話し合いにはに同席させてもらう」

 こういう言い方はよくないかもしれないけど、たいした話し合いではなかったんだ。ミィが団長から地図を受け取って……あ、普通はただ団長って呼ぶと王城騎士団の団長ね。王宮騎士団も一応は王宮騎士団の所属だから。で、地図を受け取って、行ってからのお楽しみだって言われてさっさと帰されただけだよ。ね、話し合いなんてものはなかったんだよ。

 追加点(2014/6/13):『ミィの要望に合わせた魔法だって作ってみせるんだから!』のあとに『え、リーさん、そんな微笑ましいみたいな目でみないでくださいよ……。』


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