97:ゴーレムとの決闘を終えて-1
「無事に勝てたな」
「そうですね。無事に勝てました」
超大型ゴーレムとのレイドバトルに勝利した俺たちは、いつも通りに『カコカティ』へと移動。
そこでいつもの注文をして、一息ついた。
「二人ともおめでとう。馴染みの客になってくれて、僕としても嬉しいね。では、ごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます。サウザーブさん」
「ありがとうございます。サウザーブさん」
では、お茶を飲みつついつも通りのアレコレだ。
「ノノさんポイントはどうだった? 俺は174ポイントだった」
「私は170ポイントですね。小型ゴーレムの停止と囮役を評価してもらえた感じでしょうか?」
「たぶんそうだな。単純なダメージで計算したら、俺なんて1ポイント入るかも怪しいし、指示役なんかもポイントを得られない。味方に対してどれだけの良影響を与えられたか次第なんだと思う」
「やっぱりそうですよね。でないとファティーグモ・
「だな」
まずはポイントの確認だが、今回は大収穫と言っていいだろう。
どういう行動が評価されたのか、その詳細は分からないが、怠惰堕落と比べて明らかに多い事から、かなりの高評価であると思う。
個人的に評価の向上に繋がったと思うのは……取り巻きである小型ゴーレムの鹵獲かな?
アレは特効薬を作ったり、色んなギミックを解析したりするのに、きっと役に立ったに違いない。
「ま、なんにせよだ。ビギナーズラックもあるかもしれないが、これだけのポイントが得られるなら、レイドバトルは美味しいと考えてよさそうだな。他の闘士たちとの交流も図れるし、ポイント以外のメリットも多そうだ」
「そうですね。今後も挑めるときは挑んでみたいです」
次からもこれだけのポイントを稼げるかは怪しいが……それでも勝てるのなら、ポイントは確実に増えていくし、色々な闘士が意欲的に参加しているだけあって、サポートも戦術の幅も厚く、勝率は悪くないだろう。
うん、ノノさんも望んでいるし、今後も参加できるときは参加するとしよう。
「さて反省会と言うか感想会と言うか、お互いに気になる点についてはだ」
「はい、ハリさんの言っていたサングラスと言うのについて聞きたいです」
「まあ、まずはそこだよな」
では、続けて感想会と質疑応答。
「と言っても俺も良く知っているとは言い難いんだよな。俺の中のイメージだとサングラスって色付きのガラスを使う事によって強い日差しが目に入るのを防ぎ、眩しくならないようにする、ぐらいしか知識がない。原理とか、実用性とか、作り方はさっぱりだ」
まずサングラスについてだが……俺の知識不足でよく分からない。
近年だと、黒いガラスだと瞳孔が開いて、逆に目に良くないなんて話もあった気がするが……色々とあやふやなんだよなぁ。
「なるほど。でも、セフィ様の閃光への対抗は出来ていましたよね。あれって、閃光に含まれていた目潰しの魔法をハリさんの魔力が防いだからだと思うんですけど……」
「うーん、その辺の魔法知識は俺には無いからなぁ……ぶっちゃけ、今回もまた本能でやったみたいなものだ」
「そうなんですか。狙って出来れば、便利だと思うんですけど……」
「狙ってかぁ……じゃあ、頑張って練習してみるしかないな」
ただ、そんな拙い俺の説明からでも思い浮かぶ話があったらしく、ノノさんが俺に話をしてくれる。
うーん、俺の魔法の性質から考えると、もしかしなくても、あの一瞬だけセフィルーラさんを敵だと認識して、その魔法を弾いたとかだろうか?
確かに狙って出来るようになれば、色々と応用は利きそうだし、練習する価値はありそうだ。
「後は……細かい立ち回りを少し確認してみようか」
「ですね」
その後、俺とノノさんは『煉獄闘技場』の公式サイトから落とした動画を見つつ、此処は何を狙っていたとか、此処はこうしておいた方が良かったとか、そう言う話をしていく。
で、それらの話が一通り終わったところで次の話題へ。
「今回得たポイント、次の決闘、この辺はどうしましょうか」
「ポイントについては特に欲しいものが浮かばないなら、今回は貯蓄でもいいんじゃないか? 目標を考えたら、貯め込んでおいても問題は無いわけだし」
「……。そうですね。確かに特に欲しいものが思い浮かびませんし、今回はただ貯めるだけでいいかもしれません」
ポイントについては貯蓄でいいだろう。
現状今すぐ欲しいと思うものは思い浮かばないし、武器も防具も頻繁に変えるものではないし、神殿での魔法習得は非推奨だし、基礎能力の向上ももう暫くは必要なさそうだし、家などを買うにはまだまだポイントが足りないからだ。
うん、ノノさんの呪いの件もあるし、やはり貯蓄だな。
「次の決闘は……ノノさんが良ければだけど、PvPに一度くらいは挑んでみたいな。多人数戦、レイドバトルと来たわけだしさ」
「PvPですか。確かに一度は挑んでみたいですね。ハリさんが以前言っていた通り、大変そうではありますけど、何事も経験だとも言いますから」
「じゃあ、次の決闘はPvPの権利だけ有効にしてみて、そっちに挑んでみよう」
「はい、分かりました」
次の決闘については可能ならばPvPに挑むことにした。
決闘を組むのが『煉獄闘技場』の側なので実際にそうなるかは分からないが、PvPがどのような雰囲気で、どのような流れなのかを知るためにも、挑んでみたいところではあるのだ。
「頑張ろうか。ノノさん」
「はい、ハリさん」
さて、出来れば勝ちたいところだが……果たしてどんな人が相手になるのだろうか。
11/11誤字訂正