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43、大人になりたい!




 その日は冒険者が多く訪れ、戦いに明け暮れた忙しい一日であった。

 その忙しさと言ったらおちおち食事も摂れないほどで、せっかく討ち取った冒険者の死体を楽しむ余裕もなかったようである。


「秋は人間達が活動しやすい気候になるからな。冒険者たちの動きも活発になるんだ」


 吸血鬼はそう言って目の前にあるのに手を出せない死体を眺めながら複雑な表情を浮かべていた。



 ダンジョンに静けさが戻ったのは日もすっかり暮れた頃。

 俺達は山のように積まれた冒険者たちの死体の「処理」に勤しんでいた。吸血鬼が手早く死体から血を抜き、血の抜かれた死体は保存用干し肉の材料を得るためスケルトンの手によってザックリと肉をそがれ、血を抜かれ肉を削がれた死体は残った部分をゾンビちゃんによって綺麗に食べられ、最後に残った骨は再びスケルトンの手によって一ヵ所に集められて彼らの交換用パーツとされる。その見事な流れ作業には舌を巻くばかりだ。


「すごいね、ベテラン工員みたい」

「はは、数が多すぎて目が回るよ。逆に食欲がなくなってきた」


 吸血鬼はそう言って苦笑いを浮かべた。

 確かにこれだけの冒険者が来れば殺すのにもバラすのにも手間がかかる。これから来る冬の季節にはダンジョンを訪れる冒険者が少なくて苦労すると聞いているから、冒険者が大挙して押し寄せるというのは備蓄を増やすという観点で見てもありがたいことではある。みんなそれは分かっているから文句を言う者はいないが、昼間の疲れからか全体的に覇気がない。ただ一人を除いて。


「ゾンビちゃんは元気だなぁ」


 もりもりと肉を頬張りみるみる死体を骨に変えていくゾンビちゃんを見ていると思わず口から感嘆の声がこぼれ出る。この小柄な体のどこにあれほどの肉が入っているのか。彼女のノースリーブのツギハギワンピースから伸びたその腕は少女らしくほっそりとしており、冒険者の頭を熟れた果実のように潰すような怪力が備わっているとはとても思えない。

 ゾンビちゃんは一体の死体を綺麗に骨にした後、次の死体にその細腕を伸ばしかけて不意に手を止めた。


「厶?」

「どうしたのゾンビちゃん?」


 尋ねると、ゾンビちゃんは何も言わずに人差し指を目の前の死体に向けた。それにならい俺もその死体に目を向ける。

 ゾンビちゃんの興味を惹いたそれはものすごく奇妙な死体という訳ではなかったが、確かに思わず目が行ってしまう死体には違いなかった。


「おお……」


 その迫力に俺は思わず息を飲む。

 年の頃は二十代後半といったところだろうか。豊かな金髪の背の高い女性だ。それだけならば珍しい冒険者でもないが、特筆すべきは何と言ってもそのボディである。

 小玉スイカの様な豊満なバスト、ヒョウタンの様な美しいラインのくびれ、そして熟れた桃のようなお尻。うら若き乙女には出せない色気、そして類まれに見る豊満な肉体が服の下からでも異様な存在感を放っている。その脂肪の多さから干し肉に向かないと判断されたらしく、肉はほとんど削がれていない。


「すごいグラマラスだねぇ、女スパイって感じ」

「ムー……」


 ゾンビちゃんは自分の身体とグラマラス死体の身体を交互に見て首を傾げる。


「ナンカ違う」

「ええっと……そうだね、違うね」


 俺は返答に困りながらもゾンビちゃんの言葉に頷く。

 彼女の体型はこの死体とまさに真逆であると言えるだろう。ゾンビちゃんは小柄であり、その体はスレンダーでこの死体の様な柔らかさは感じられない。よく言えばうら若き乙女を体現した可憐な体型であるが、悪く言えば色気を感じられない体型である。

 彼女は同じ女性でありながら自分と違う体に興味を持ったらしく、死体に噛り付くことなく目を見開いてそれをじいっと見つめている。そしてポツリと呟いた。


「ドウやったらコンナ風にナレルのかなぁ?」

「ええっ!?」


 俺が驚きの声を上げるのとほぼ同時に吸血鬼は堪えきれなくなったように吹き出した。


「ははは、これは傑作だ! ゾンビのくせに見た目を気にするのか!」

「ナンデ笑うの!」


 ムッとした表情を見せるゾンビちゃんに、吸血鬼はニタニタとした嫌な笑みを向ける。


「そう怒るなよ。そうだ、良い事教えてやろう。バストアップには大豆が良いらしいぞ。ゾンビに畑の肉が食えればの話だが」

「そんな意地の悪い事言うなよ吸血鬼」


 俺は吸血鬼をたしなめつつ、不機嫌そうに頬を膨らませるゾンビちゃんと向かい合う。


「俺たちはアンデッドなんだからもう歳は取らないし成長もしないんだよ。分かってるでしょ?」

「ワカッテルけど……アーア、オトナになってから死ねばヨカッタなぁ」


 眉間に皺を寄せて口を尖らせるゾンビちゃん。

 吸血鬼は至って真面目な表情と冷静なトーンで彼女に言った。


「夢をぶち壊すようで悪いが、お前の歳でソレなら死ぬのが五年遅かろうが十年遅かろうがあまり変化なかったと思うぞ」

「ああ、確か女の子の成長って男より早いんだよね。15歳くらいで成長止まるんじゃなかった?」

「その感じだと胸もそう期待できないだろう。はは、むしろ良かったじゃないかその歳で死ねて」


 ゾンビちゃんの正確な年齢は分からないが少なくとも見た目は十代半ばといったところだろう。吸血鬼の言うとおり、彼女にあの死体の女性のような体になるポテンシャルがあるとは思えない。

 だがゾンビちゃんは俺達の言葉が酷く気に触ったらしい。


「ダマレ!」


 ゾンビちゃんは不意に立ち上がり、頬を膨らませて吸血鬼の肩を殴る。バキャッという派手な音がして吸血鬼の腕が伸びた。


「あああああっ!? 関節が砕けた!」

「セクハラオトコ共め、訴エルぞ!」


 ゾンビちゃんは吐き捨てるようにそう言うと女性の死体を担ぎ上げ、凄い勢いで部屋を後にした。

 痛みで転げ回る吸血鬼とどんどん小さくなるゾンビちゃんの背中を見て息を吐く。


「ふう、俺幽霊レイスで良かったー」

「ううう、骨が皮膚から飛び出てる……」





********





 次の日。

 昨日のことが尾を引いてさぞ機嫌が悪いだろうと思っていたが、予想に反してゾンビちゃんの機嫌はすこぶる良かった。

 だかもはやそんな事はどうだって良い。予想だにしていない変化がゾンビちゃんの体に起こっていたのである。


「えっ、ゾンビちゃん? ゾンビちゃんだよね? あれっ、ゾンビちゃんじゃない?」

「どどどどうしたんだその体」


 俺と吸血鬼は突然の変化に頭が追いつかず、おろおろと顔を見合わせることしかできない。

 ゾンビちゃんはそんな情けない俺たちをしたり顔で見上げる……いや、見上げるという表現はあまり相応しくないかもしれない。彼女の目線は今や吸血鬼とそれほど変わらないのである。あの子柄だったゾンビちゃんの身長がその辺の男と変わらない程になってしまった。それもたった一晩で、だ。タケノコだってこんなに早くは成長しないだろう。

 ゾンビちゃんの成長ポイントはそこだけではない。小玉スイカの様な豊満なバスト、ヒョウタンの様な美しいラインのくびれ、そして熟れた桃のようなお尻……ゾンビちゃんのツギハギワンピースはいまやパツンパツンである。まさしく昨夜の死体をコピーしたかのようなグラマラスな体付きだ。

 ゾンビちゃんは腰に手を当ててポーズを取り得意げに笑う。


「フフン、私ダッテやればデキルんだよ」

「だから何をやったんだ!」

「ナイショー」


 ゾンビちゃんはそう言って子供のように無邪気に笑う。表情や仕草は昨日までのゾンビちゃんと変わらないのに、身体だけが大人になってしまったようだ。


「どうしよう……『ゾンビちゃん』じゃなくて『ゾンビさん』って感じ」

「そうだな。今のコイツを小娘だなんて呼んだら僕が年寄りみたいになってしまう」


 俺たちはそんな事を話しながら困り顔でゾンビちゃんを見つめる。

 だがこんなのはまだまだ序の口。本当に困ることになるのはこれからであった。


「うわっ!? ゾンビちゃんなんて格好してんの!」

「ン?」


 ダンジョン通路に大の字で転がったゾンビちゃんがキョトンとした表情でこちらを見つめる。


「ナニガ?」

「何がじゃないでしょ。ちゃんと椅子に座るか、寝転がりたいならソファで寝なよ。毛布もちゃんとかけてね」

「エー? ナンデ?」


 ゾンビちゃんはそう言って怪訝そうな表情を浮かべる。

 彼女が地面に座り込んだり寝転んだりするのはよくある事だし今まではそれに対して特に文句を言うことはなかった。しかし昨日までと今とでは事情が変わってしまったのだ。

 身体の成長によりパツパツのボディコンみたいになってしまったワンピースのただでさえ際どい丈が、地面に横たわることでさらに上へとずり上がってしまうのである。

 そのうえ彼女のワンピースはツギハギだらけで生地もあちこち傷んでいる。彼女の豊満な身体からの圧力で今にも破れてしまいそうだ。

 恐らくゾンビちゃん自身は気にしていないのだろうが、これでは流石に目のやり場に困る。


「と、とにかくゾンビちゃんは大人になったんでしょ! なら大人の振る舞いをしなくちゃ」

「エー……」

「えーじゃない! スケルトンに運んでもらうよ!」

「ムー」


 ゾンビちゃんは頬を膨らませて不貞腐れたような表情を浮かべたが、渋々ながらも身体を起こしてふらりと立ち上がった。


「モー、分カッタよ」


 そう言ってゾンビちゃんはフラフラとダンジョンの奥へと歩いていく。急激に伸びた足にまだ慣れていないのか、その歩き方はゾンビであるという事を考慮してもやけにぎこちない。


「あんなんで戦えるのかな……」


 少々心配ではあったが、結論から言うと俺の心配は杞憂に終わった。


 ゾンビちゃんはその長くなったリーチを生かしてなかなか上手く立ち回り、見事冒険者を仕留めたのである。自ら仕留めた獲物をゾンビちゃんはすごい勢いで貪り食う。

 ゾンビちゃんに目立った怪我もなく、この身体になって初めての戦闘は大成功を収めたと言えるだろう。だが問題が起きていない訳ではない。


「ゾンビちゃん……そろそろ着替えたほうが良いんじゃ」


 彼女の服は激しい戦闘のせいであちこち破れ、非常にマズイ事になっている。だがゾンビちゃんはそんな事気にもせず一心不乱に目の前の肉を貪る。彼女は羞恥心というものを知らないのだろうか。

 目のやり場に困り、居たたまれなくなった俺はいそいそと壁をすり抜けてゾンビちゃんの元を離れた。一刻も早くゾンビちゃんに新しいワンピースを用意する必要がある。

 俺は少々時間を置き、裁縫箱を携えたスケルトンたち数体を引き連れてゾンビちゃんの元へと戻った。そろそろ死体も骨になっている頃だろうから採寸にも協力してくれるはずだ。


 そんな呑気な事を考えていた俺を待ち受けていたのは、思いもかけないようなショッキングな光景であった。


「……えっ」


 俺とスケルトンはその光景を前に思わず足を止めて表情を凍らせる。

 地面にへたり込むゾンビちゃん、肩を上下させて彼女をじっと見下ろす吸血鬼。それだけならば普段とそう変わらない日常の光景だ。しかし一つ決定的に違う点があった。ゾンビちゃんである。

 乱れた着衣、荒い呼吸、それに合わせて上下する胸。彼女の怪しい雰囲気に俺は背筋を凍らせた。


「ゾンビ……ちゃん?」


 ゾンビちゃんは潤んだ瞳で俺を見上げ、そしてさらに決定的な台詞を口にする。


「……乱暴サレタよう」


 その瞬間、俺達は一斉に吸血鬼へ飛び掛かった。


「コラアアアアアアアアッ!! このクソ野郎があああああッ!」

「うわっ、なにするんだ!」


 絶妙な連携で吸血鬼を引き倒し、その上に乗っかるスケルトンたち。スケルトンたちは吸血鬼の動きを封じつつ彼に向けて拳の雨を降らせる。その度にガチャガチャとけたたましい音がダンジョンに反響した。

 そして口がきけないスケルトンに代わり、俺が代表して吸血鬼を罵る。


「このクズ男! この拳がお前の身体をすり抜けるのが残念で仕方ないよ!」


 吸血鬼はスケルトンたちからボコボコ殴られつつも助けを求めるかのように俺に手を伸ばす。


「違……コ、コイツがこんな格好してるから――」

「黙れ! 向こうが誘ってきたとでも言うつもりか、この性犯罪者め!」

「誰が性犯罪者だッ!」


 吸血鬼は背中に乗ったスケルトンたちを吹っ飛ばし、勢いよく立ち上がる。

 そして息を切らせながら素早く手に持った布の塊のようなものを広げて見せた。


「コイツがこんな格好してるから服を着せようとしたんだ! なのにコイツ無駄に抵抗するから小競り合いになって」

「えっ、脱がせようとしたんじゃなく?」

「そんな事するか! ほら、見ろ」


 吸血鬼が掲げたのは男物と思われる大きな綿のTシャツであった。恐らく倉庫で眠っていた冒険者の衣類であろう。確かにこれならばゾンビちゃんの身体のラインも隠すことができる。


「こんな下品な格好でうろつかれたらダンジョンの品位が下がるだろう」

「そうなのゾンビちゃん?」


 尋ねると、ゾンビちゃんは悪びれる様子もなく頷く。


「ウン、この服キラーイ」

「ほらな」

「そ、そうだったんだ……俺はてっきり魔が差しちゃったのかと」

「君らは一体僕をなんだと思っているんだ? だいたいお前が紛らわしいこと言うからだぞ!」


 吸血鬼はそう言ってゾンビちゃんを小突く。

 するとゾンビちゃんは不服そうに頬を膨らませ、また俺を見上げた。


「レイスー、吸血鬼が乱暴してくるよう」

「だからその姿でその単語使うな……! あといい加減服を着ろ」


 吸血鬼はそう言って素早くTシャツを広げ、油断していたゾンビちゃんの隙をついてそれを被せる。


「アバババ」

「こら、大人しくしろ! 腕を通せ!」


 吸血鬼はTシャツの袖に腕を突っ込み、ゾンビちゃんの手を半ば無理矢理通させる。最初はTシャツの中で激しく抵抗していたゾンビちゃんも、そう時間がかからないうちに大人しくなった。ゾンビちゃんの腕は袖を通り、そしてボトリと音を立てて地面に落ちる。


「……は?」


 吸血鬼は地面に落ちた青白いツギハギだらけの腕を見て目を丸くする。そして恐る恐るといったようにそれを拾い上げ、顔を顰めた。


「な、なんだこれは。酷く脆いし……腐りかけてる? おい、お前の身体一体どうなって――」 


 吸血鬼の問いかけに答えるより早く、ゾンビちゃんは頭までTシャツを被った状態で仰向けに倒れ込んだ。ぐしゃりと何かがつぶれる音がして、Tシャツにうすい色のシミが広がる。

 Tシャツの上からでもゾンビちゃんのシルエットが崩れているのが分かり、中がどうなっているのか考えただけで恐ろしい。直に吸血鬼の手の中の腕も土塊のようにボロボロと崩れ落ちた。


「ゾ、ゾンビちゃん!?」

「なにがどうなってる……お前たちは何か知らないか」


 吸血鬼がスケルトンに尋ねると、みんなほぼ同時に首を横に振った。たった一体を除いて。


「なにか知ってるの?」


 俯き気味のスケルトンは俺の言葉に微かに頷き、ペンと紙を取り出して何やら書き始めた。


『女の死体とゾンビちゃんの身体を刻んで混ぜて、一晩寝かせたらああなった』

「そんな豆腐ハンバーグみたいなことしたの!?」


 俺は目を丸くしてゾンビちゃんの崩れた腕に視線を向ける。よく見ると挽肉のように見えなくもない。


「小娘の身体に混ざった死体の細胞が腐って形を保てなくなったんだ」


 吸血鬼はTシャツの袖口をめくり、中をのぞき込んで眉間にシワを寄せる。


「死体の細胞を除去する必要があるな」

「細胞を除去って、どうやって?」

「ゾンビに耐えられて、人間に耐えられないものを使えば良い」

「……なんだろう、生肉?」


 イマイチ良い答えがでない俺に代わり、スケルトンが回答を書いたフリップボードを掲げた。


『毒沼』


 吸血鬼は笑みを浮かべ、スケルトンに拍手を送る。


「正解だスケルトン。さぁ箒と塵取りとバケツを持ってきてくれ、コイツを温泉に運ぶぞ!」





**********





「ハー、ナンカ疲れたー」

「疲れたのはこっちだ!」


 地面に寝転ぶゾンビちゃんに吸血鬼がピシャリと言い放つ。


 人が入れば数秒から数分で死に至る毒沼温泉によって死体の細胞が完全に壊れ、そこから再生を果たしたゾンビちゃんは無事元の身体を取り戻した。

 いつものツギハギワンピースはしっかりとゾンビちゃんの身体を覆い、たとえ寝転がっても目のやり場に困ることはない。あんなに落ち着かない生活はもうこりごりだ。


「もう変な事を考えないでよゾンビちゃん」


 吸血鬼も腕を組みゾンビちゃんを見下ろしながら真面目な表情で頷く。


「そうだ、こっちにまで被害が及ぶんだからな。服を着せようとしただけで性犯罪者呼ばわりだ、世知辛い世の中だよ」

「だからごめんってば……」


 だがあんな騒動を起こしたにも関わらず、ゾンビちゃんは不満顔である。


「アーア、すぐ戻ッチャッタなー。ツマンナイ」


 そうのたまうゾンビちゃんに吸血鬼は冷たい視線を向けた。


「もしもまたあんな姿になったら正装させて髪も整えさせてきちんとした大人の振る舞いを求めるからな、覚悟しておけ」

「エー! ヤダ!」

「ヤダじゃない、大人には大人としての義務があるんだ。美味しいとこだけ味わう訳にはいかないぞ。嫌なら永遠に子供のままでいることだ」


 ゾンビちゃんは頬を膨らませて不貞腐れたような表情を浮かべたが、特に吸血鬼に反論することはなかった。

 あまり怒られるのも可哀想かと思い、俺はゾンビちゃんに優しく声をかける。


「ゾンビちゃんはそのままが一番だよ」


 するとゾンビちゃんは身体を起こし、目をパチクリさせて俺を見上げる。


「レイス……ロリコン?」

「怒るよ」





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