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13話 神様信じちゃう!!

 ……………




 予想外の出来事に俺は頭を悩ませていた。



 マジでどうしよ………




 いやいやいや、何で姉上が俺の部屋にいるんだよ……

 


 現状把握に努めるが俺の悲痛の叫びの後、何とも言えない空気が部屋に充満していた。



 最悪だ……死にたい……



 俺がそんな事を思いながら虚ろな目をしているとリファが口を開いた。

 ちなみに母上は黙って俺とリファを交互に見詰めている。



 おい、黙ってないでフォローしろよフォロー。



「え、えーっと……び、美人で可愛いだなんて……」



 リファは頬を赤く染めながら両手を頬にあてて照れていた。



 天使だ!! やっぱり天使だよ姉上!!

 うわぁぁああぁぁ!! さっきの発言で絶対嫌われたよ……100%キモイって思われたよ……もし神がいるのなら1分前に時間を戻して下さい……



「あ、あのねユウ。お、お願い事があるの!!」



 リファは照れるのを止め、意を決したような面持ちで俺に向かって言い放った。



 お願い事? あぁ、別居ですか。キモイ弟とは一緒に暮らせませんよね……はぁ、死のう。



 一人、憂鬱になりながらも俺は先程までしていた虚ろな目から断頭台に立った罪人の様な目へといつの間にか変化していた。




 殺せっ!! 一思いに殺してくれッ!!



「あのね……姉上じゃなくて、あ、あの時みたいにリファって呼んでくれない?」




 …………



 ……………………



 ………………………………ふぇ!?




 えぇぇええぇぇぇぇ!?

 ま、マジっすか。

 俺、今日から神様信じちゃうよ!!

 いや、待て。これはもしかすると上げて落とすってやつかもしれない。

 死ぬ前に一つ、いい夢を見させてやろうとかそんな感じかもしれん。




「………も、勿論、呼ばせて頂きます姉上!! じゃなかった、り、リファ……」




 俺は目に少しだけ涙を溜めながら言い切った。



 ぎゃぁぁぁ!! 言っちゃった!! 言っちゃったよ!! 異世界でやりたかった事ランキング1位に輝いていた姉上の名前を呼ぶ、が!! もう死んでもいいかも。



「ゆ、ユウ、あのね? いつもの可愛いユウも好きだけど……あの時の格好いいユウもす、す、好きだよ?」



 リファはそう言って顔を真っ赤にさせて恥じらいながら走って部屋から出ていった。



 ヤバイ、ヤバイよ。

 リファの行動によって俺の心にハートの矢が大量に刺さったよ!!

 



 だ、駄目だ。実の姉なのに……って今更か。

 前世と全く変わってないのな俺。



 そんな見ている人がいたら砂糖を大量に吐きたくなる様な会話を見ていた母上は



「……………ライオスと相談してくるわね」



 神妙な面持ちでそう言って部屋から立ち去っていった。



 母上は俺の父親ことライオスとは冒険者時代に知り合ったらしく、貴族の夫婦では珍しく母上は様付けしていない。流石に何処かのパーティー等に参加するときは、さん、を付けているらしいが。



 おい!! 相談ってなんだよ、相談って。



 小一時間程かけて先程の言葉を問い質してやりたかったが、体が動かないので断念した。



 こうして魔人と戦った俺の病人生活1日目が過ぎていった………


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