対人授業
「それでは本日の最初は、対人における授業だ。と言っても、諸君達に想定されている対人とは、対異能者、もしくは人型に限りなく近い妖異と言う事になる。それと、戦闘会で既に対人部門が行われているのに、今更と言う質問は無しにしてくれ」
大変ですね学園長。どうせアメリカ校の学内ランキングを参考にした奴のせいで、カリキュラムとの齟齬が出てるんでしょうね。しかし対人ですか。前にも言いましたが、呪術は対人戦にて最強ですよ? 皆さんにも素晴らしさを広めるべきかな? 止めておこう。どう考えても危険人物だ。
「さて、当然だが相手の情報は出来るだけ入手するべきだ。技、能力、性格に嗜好、生活範囲から起床時間までありとあらゆるだ。では他に思いつく情報は?」
とっても大事な情報を敢えて言わないとは学園長優しいですね。だがここはクラスの皆さんの為に、主席が先陣を切りましょう。
「はい! 家族情報です!」
皆さん頷いてくれてありがとうございます。これで発言しやすくなりましたよね。
「その理由は?」
「人質です!」
あれ? クラスの皆さんどうなさいました? 僕の事、この野郎正気かって見てません? でもお姉様はニタニタ笑ってくれてますよ?
「うむ。その通り、非常に重要な情報と効果的な使い道だ」
皆さん今度は学園長に正気かって言いそうですね。
「いいか諸君、面と向かって相手を逮捕、または制圧するのは、警察の仕事なのだ。我々に協力の要請が掛かって来る時は、相手は単なる犯罪者ではなく、高度な異能を無差別に扱う凶悪犯だと思っていい。そんな相手にお行儀よく戦う事をするな。世間が騒がしかろうが、民間に被害が出ないのであれば、異能者の制圧は大抵の事は許容される。我々も異能者であるがために、一般的には戦車と同じであるという自覚を持つんだ。だからこそ、家族の安否を匂わせるだけで制圧できるのならそれでいいのだ」
ですよね学園長! 主席として間違ってなくてホッとしました!
「貴明、突き詰めるとどんな手段が望ましい?」
「被害を考えないのであれば、気を抜いている時に、住んでいる建物か車を爆破します! もしくは伝手があるなら、その犯人の髪の毛か何かを確保して、呪術師に無力化を依頼します!」
「うむ。諸君、異能者の無力化を突き詰めるとそういう話になるのだ。現実では、爆破はその異能者の危険度によって許可の判断がされるな。それと呪術師への依頼は黙認されるだろう。いいか諸君、殺すつもりでやって丁度いいと思うのだ。でなければ、街中で戦車が暴れる事になると思え」
学園長、熱弁奮ってるとこ悪いんですけど、何でか皆さんドン引きしているような……隣の人と目線合わせてる人もいますよ?
「詰まる所、相手に何もさせずに無力化するのが最も望ましい。しかし、急な要請などで準備が出来ない事はままある。佐伯、そういう時に必要なのは?」
あ、佐伯お姉様ー! 今日も美しいというよりカッコイイです! きゃー! ところで佐伯お姉様、普通科の女の子からラブレター貰ったって本当ですかね?
「……速さです」
「そうだ。先手必勝、速攻、相手に何もさせずに打ち倒せ」
なんか恐る恐るじゃないですか佐伯お姉様? クラスの皆さんも、よかった常識的でって雰囲気出してません?
「勿論そうすべきでない事も多い。だが、相手の能力が分からないのであれば、発動する前に倒しきる速さは非常に重要だ」
はえー、スピードって大事だったんだ。遠距離からこそこそ一方的に呪ってたから、あんまり気にしたことなかったなあ。まあ、そのこそこそと、呪詛返しされなかったら一方的って言うのが呪いの強みなんだけど。
「呪術が最も恐れられているのはここに在る。髪の毛など対象の一部さえあれば、速さなど関係なしに超遠距離から、かつ一方的に攻撃できるのだ」
お、流石学園長分かってる。ま、俺と親父は認識さえすれば呪えるんだけどね。それか相手が俺を認識したら。楽ちん。
それはそうと、やっぱり皆さんに呪いの使い方伝授しましょうか? 失敗したら大体死にますけど……やっぱダメだな。
「それとだが、クラスメイトや教諭、親兄弟も知らない隠し技を1つは持っていなさい。初見殺しと言う奴だ。なぜなら、相手がこちらを知っていないとは限らないからだ。そして使った時に、相手の口が封じられない場合、また新しいのを用意しておくんだ」
初見殺しっていい響きですよね皆さん。蜘蛛君の牛鬼モード、猫君の箱の中モードがそれですよ。猿君はコンセプトが正面からの圧殺なのでもっていませんが、呪術とか呪いってのは大体そんな感じなので気を付けて下さい。それと、僕の真形態とその奥の手は親父でも知りません。も、勿論、お、お姉様になら僕のぜぜぜ全部をさらけ出す覚悟ですよ!
あ、でも僕が執筆している、今日から楽々、呪術師のぶっ殺し方と呪いへの対処は、そこらへん丁寧に説明するつもりなので、是非購入を検討してくださいね。学園の図書室にも寄贈するつもりなので、お金が足りなくても大丈夫ですよ。まあ、名家の皆様には余計なお世話ですよね。
と言うか皆さん、学園長が口を封じられないならって言ったあたりで、またドン引きしてません? あ、お姉様やっぱりその笑顔素敵です!
いやあ、しかし学園長はやっぱり話が分かるな! 親父にもちゃんと伝えておこ!
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