65 不思議の国のじゃんじゃん
先週はお騒がせしました。ちゃんと63話が復活したので、読んでいない方はどうぞ。
あと今回も短いですorz
「ガハッ、はっ、はあっ」
水面に顔を出し、空気を肺いっぱいに吸いこむ。
転移先が泉の底の祠とか聞いてない。危うく立て続けに死ぬところだった。
うん、海とかの波が酷い所だったら溺死確実だったな。泉で良かった。
よーし、森を抜けるぞ、と岸に辿りついたは良いものの。
パッセルに乗って数時間かかった道のりが、私の前に立ちふさがっていた。
デスペナ状態で、抜けろと?このちんまい状態で?
……ハハハ、抜けるまで何回溺死しかけるんだろう。
いつもより近い土と草の匂い。
今まで気づかなかったような、小さな薬草の果実。小石が巨石群に変貌している。
草のアーチを【識別】さんが【イヤ草】と判別しているが、絶対に違うと思う。だって色が違うし。
【識別】さんのポンコツ疑惑が。採取はするが。あとでフェアリーズに聞いてみよう。
「こんなサイズの魔物も居るのか」
蟻である。足サイズの蟻である。現実と同じサイズだと思うのだが、私が小さくなったことで、相対的にゴキブリくらいにサイズアップしていた。
ギチギチと鳴る顎は脅威だし、虫は地味に堅い。フェアリーズのお下がりハンマーで叩き潰す。
新品の刀出せぬのだよ、とほほ。
ぐちゃぐちゃの蟻を拾わずにいればボフッと音を立てて、蟻酸の入った小瓶が落ちる。何に使うんだろう。困ったらサカイくんに売ればいいか、と拾っておく。
「げっ!」
鼠だ。しかし、腰くらいある。
デカイよ!
フェアリーズのお下がり武器、楊枝っぽい槍でぷすぷす。
弱そうだろう。実際弱い。
「キシャァァア!!」
スキル無いから。余計に弱いのだよ。
だから逆襲されるんですよ。
逃げろー!!
「おいこれまじ?」
逃げた先にウサギが。うん、黒いウサギが。いつもなら可愛いと思う円らな瞳。
しかし今は熊サイズ(主観)!
「勘弁してくれよ!!!」
「キィィィィ!」
背後に迫るネズミの高い鳴き声。
「ふっしゅ!」
前方では謎の鼻息と共に、ウサギが私めがけて地を蹴る。
ムリ!受けとめられない!!
慌てて横に身体を転がす。
「「ぎゃうん!」」
顔を上げれば相打ちしていた。
ラッキー。
ピクピク痙攣しているうちにトドメをば。
里に戻れたら絶対フェアリーズに刀系のお下がり貰おう。
「やっと着いた……」
フェアリーズのお下がりをボロボロにして、ようやく辿り着いたもとの里。
何度死んだことか。
「じゃんじゃんおひさー」
見るも涙語るも涙、遮るは能天気な妖精の声。
うん、久しぶりだ。
「なんでそんなにぼろぼろ?」
「そばぼーろー」
蕎麦ボーロかー、蕎麦多分まだ見つかってないんだが。
「蕎麦あるのか?」
「あるよー!」
「エルダードワーフのおじさんたちがこの間そば打ち大会してたー」
ああ、なんか似合いそう、目に浮かぶ。
「今からいくー?」
「行くかー」
ドワーフならきっと武器を誂えてくれる筈。
蕎麦はすいとんが好きです。
「ところで、元の大きさに戻る方法知らないか?いい加減面倒だ」
「あるよー」
あるんかい。早めに言ってくれよ。
「ズバリ、魔力たくさん!」
「レベル上げ上げ~」
「もっと楽な方法ないのか?」
名探偵が薬で大きくなったり小さくなったりするじゃないか。あれ痛そうだよな。
「ん~?オッド爺のアオムシ屋にあるかも?」
「かもかも」
「長の家行くの~」
え??虫を食えと???
「れっつごー!!」
「こっちこっち~」
えっ、ちょっ、まっ!?
手を引かれるまま、アオムシ屋に連れていかれる。
振りほどけなかった……。同じサイズだとフェアリーズ強い。
浮いた。
よく考えれば、フェアリーズは基本飛んでいたのだった。
強制連行、ダメゼッタイ。
名前:ジャン・スミス Lv.43
種族:人間 性別:男性
職業:【気分屋】
HP:171
MP:399
STR:32
VIT:29
INT:52
MID:79
AGI:137
DEX:144
LUC:97
称号
【混沌神の玩具】【運命神の憐憫】【怠惰神の親愛】【無謀】【マゾ】【命を弄ぶ者】【妖精郷の歓迎】【黄泉の道化師】【探検家】【妖樹の友】【界渡り(魔)1/1】【悪戯小僧】【変異種】【補佐官】【越境者】
スキル
戦闘
【盾】【刀】【奇襲】【会心の一撃】【空駆け】【バランス感覚】【毒耐性】【夜目】【逃げ足(一)】【肉体言語(初)】
魔法
【魔法陣(玄)】【生活魔法】【詠唱】
生産
【細工(一)】【採取】【料理】【木工(一)】【解体】【伐採】【書画(初)】【調合】
その他
【運】【薄影】【痛覚耐性】【読書】【識別】【木登り】【地図】【効果】【魔道具】【妖精化(玄)】【指導】【分解】
特殊
【混沌】【手抜き】【六文銭】
備考
食べたことのあるボーロ系の菓子
卵ボーロ……スタンダードタイプ、安定の店頭出現率、ほっとする美味しさ。懐かしいっていう感情が多分本来の味(元々美味しいけど)を底上げする
卵黄ボーロ……卵ボーロよりほろっほろで甘い。割とレア。私は地元の生協でしか売っているのを見たことがない
蕎麦ボーロ……花の形が可愛い。最強に香ばしい。高いやつはやばいくらい香ばしい。カリカリする。サクサクじゃなくてカリカリ。最近ハマった。食べたことなくてアレルギーなかったらぜひ