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55 潮干狩りに見えなくもない

マジで短いですすまぬ。



 胡粉(ごふん)。貝殻から作る、和風顔料でお馴染みであるから、ご存知の方も居ると思う。


 私はすらいむと書かれたTシャツと露店で買った麦わら帽子及び草鞋を装備。

 今日満を持して私は大海原に、出ない!


 貝殻が手に入ればいいので、この広い砂浜で貝殻を拾うのだ。

 アレだ、ハマグリ製が一番高級で、カキやホタテは加工しやすい。


「……」


 なんだろう、すごい虚しい。

 一人、さくさくと熊手(これも買った)で砂を掻く。

 時折湧く手の平大の蟹の魔物を熊手で叩き潰し、白い貝殻を集めていく。

 うん、どれがハマグリか分からん。

 こう、おしゃれに波打ってるマーメイドゥーな貝殻は多分ホタテだと分かる。カキは多分居ない。

 問題がハマグリだ。区別がつかん。

 どれも同じに見える。


 まあ白ければ良いだろ!


 しゃかしゃかと程よく溜まった所で、風化させる。ぶっちゃけもう風化している気がするが。

 色が白くなるまで水を掛けては乾かしを繰り返す。つもりだったのだが、うん、変わらないね!


 あとは砕けばいいだろ、たぶん。それで緑寒天(もち)を混ぜればなんとかなるはずだ。




 浜辺から移動して、生産施設を借りる。

 ふんすと適当な木片で拾った貝を砕いていく。パラパラを経てさらっさらになるまで延々と撞く。


 ……あれ。

 なんか赤いんだけども?んん?なんかミスった?

 まあいいや、あとは水ともちを入れて練って、不要な板に試し塗りしよう。


 筆を取り出しペタペタと塗っていく、のだが。なんか薄茶色だし、ザラザラしているし、時折黒っぽい点々が浮いているし、とりあえず乾燥させたもののうっすらひび割れているし、完全に失敗である。

 むー、うろ覚えではやはり無理があったか。




 もう木の面で良いかと施設を出た後、薬屋で胡粉を見つけた。手をついて崩れたのは仕方ないと思う。

 無駄だった私の一日……!


 でも買いました。

 店主に漆の特徴を伝えると、なんと漆っぽいのも売っていた。暗殺漆(アサルトラクアー)という珍しい木の樹液らしい。まあ漆って付いてるし漆だろう、うん。高かった。


 しかしこれで材料は揃った。

 よーし、面を茹でたら塗るぞー!!




浜蟹(ビーチクラブ)

足を襲う。砂の中からひたすら足を攻撃する。食べる場所はない。出汁はまあまあだが、近似種海辺蟹(シーサイドクラブ)の方が美味しい。


失敗した胡粉は想像で書いてますので、実際とは違うかもしれませんが、まあふぁんたじーってことで軽く流して頂ければ。

ただ、実際はこうなるという経験談等あれば、反映させていただきたいと思っています。何かあれば感想等でご連絡ください。


参照

ウィキペディア

画箋堂さんの画材図録

http://www.gwasendo.com/archive/002gohun/index.html

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