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スキー合宿とゲーム対戦

 駅を降りると、そこは一面の銀世界。

 私達はスキーウェアで白銀の大地に降り立つ。


「さあ滑りましょう♪」


 その後、ボーゲンでコースを滑る私の姿があった。

 まぁみんな同じだからいいか。

 帝都学習館学園冬の名物であるスキー合宿。

 週末を使った二泊三日でスキーを楽しむ事を名目にしているのだが、その実態は冬場のスポーツに触れてほしいという企業側の売り込みが最初と聞いている。

 某帝西鉄道あたりが黒幕なのは言うまでもない。

 そんな訳で、新幹線で便利になった冬の軽井沢に来た私達は、駅前のホテルに宿泊してスキーやスケートを楽しむことに。

 なお、この時期の軽井沢は洒落でなく寒い。


「絶景かな。絶景かな」

「待てよ!瑠奈!!

 先に行くんじゃねぇ!」

「栄一くん先にパラレルを習得しようとするから……」

「自業自得だな」


 この手のスポーツは最初に学ぶのはコケ方でその次は歩き方である。

 そのあたりを知ってやっと滑りに行くのだが、私はありがたい前世知識を元にそのあたりをパスしてさっさとボーゲンで滑る事にしたのだ。

 で、完全初心者の栄一くんがパラレルターンに悪戦苦闘する間に、つらつらと白銀の斜面を堪能する。

 大音量で流れるスキー場定番の曲もリフトで頂上に行くと聞こえなくなる。

 舞う雪と澄んだ青空が実に眩しい。


「ほら見ろ。瑠奈。

 パラレルできたぞ!」

「栄一くん要領はいいからね」

「さっきまで散々悪戦苦闘していたがな」


 数時間後、そこにはかっこよくパラレルターンで白銀を駆ける三人の姿が。

 今度は立場が逆になって、三人から強引にパラレルを教えられる私の姿があった事を記しておこう。

 あいつら、教えるのもうまいなんてずるくない?


「なぁ。瑠奈……」

「桂華院さん?

 これは……」

「よく食べれるな……」

「ん?何が?」


 団体客でしかも良い所の連中だからホテル側もそれ相応の準備をしているのだが、小腹は結構空く。

 で、貸切コースではなく一般開放コースは普通のスキー客も滑っている訳で、自由時間をいいことに迷い込んだふりをしてレストランでの食事と洒落込むことにした。

 私の前に置かれているのは、この手の施設の名物である、具の少ない小さなカレー。

 値段もお高いがよく見るとみんなこの手のカレーを食べているのが三人には不思議で仕方ないらしい。


「カレーって当たり外れが少ないのよ。

 ラーメンだと時々大外れがあるからね」


「いやそれにしてもその価格は無いだろう……」


 突っ込む栄一くんだが、彼が飲んでいるコーラがスキー場価格で割高になっているのに気づいてないのがおかしい。

 一方の裕次郎くんと光也くんはラーメンの方に興味が出たらしい。


「桂華院さんの言う大外れのラーメンってどんなものなんだろう?」


「やめとけ。

 わざわざ金を払ってまずいものを食べる事もないだろう」


「ちなみに、私が食べた過去最低のラーメンは醤油味のラーメンなんだけど、スープがお湯だったのよ。

 で、薄い人は出し汁を足してくれって瓶がテーブルに置かれていて、それで足すと醤油味のラーメンにというやつだったわよ」


 絶句する三人を前に私は具のないカレーをパクリ。

 当たりでも外れでもなく、市販のレトルトカレーの味がした。




 スキー場で食べたのとは違う格式張ってかつ美味しい夕食の後は自由時間。

 みんなが集まって話したり遊んだりする中、私は大量の百円玉を持ってホテルのゲームセンターへ。

 ぼったくり価格なのだが、なぜかしたくなるのだ。


「何やってんだ?」

「っ!?

 なんだ栄一くんたちか。

 脅かさないでよ」


 私は見た目な派手なシューティングゲームの台に座って百円玉を入れてガチャガチャ。

 当然三人もそれを見る訳で。


「2219年?

 ずいぶん近未来のゲームだな?」

「普通の弾と地上の敵を倒す弾は違うみたいだね」

「ロックオンばかりに集中すると上空の敵の弾が……」


「うるさいわねぇ!

 きゃー!!!」


 見事にやられてゲームオーバー。

 そうなると、この三人にも同じ目にあってもらわないと気がすまない。


「じゃあやってみなさいよ!

 おごってあげるわ」


「安心しろ。

 百円は既に用意してある」


 そう言って栄一くんが始めて、めでたく一面ボスで死亡。

 ちなみに私が死んだのは三面ボスである。

 なお、裕次郎くんが二面途中で死亡。

 光也くんは、四面途中だった。


「せっかく四人いるんだから、対戦格闘ゲームでもしない?」


「なんだそれは?」


 私の説明でそのまま対戦格闘ゲームに。

 もちろん三人とも初体験だから、まずはストーリーモードで練習してそれから対戦。

 総当たりのリーグ戦の結果、少しとはいえ技が出せる私が三連勝し、栄一くんが二位、裕次郎くん、光也くんの順だった。


「あー。楽しかった。

 そろそろ戻りましょうか」


「まだだ。

 あと一回!あと一回!!」


「そろそろ自由時間終わるから無理だって」


「完全にはまったな。帝亜のやつ」


 そんな事を言いながら、私達はゲーセンを出る。

 出る前に端のゲーム機をちらり。

 電源が切られて『故障中』の張り紙を貼られていた脱衣麻雀のゲーム機にホテル側の配慮を感じた。 

シューティングゲーム

 『レイストーム』見た目と音楽から更新をあまり考えないホテルとかでかなり長く稼働していた。

 多分となりには『ストライカーズ1945』がある。


格闘ゲーム

 『ストリートファイター』

 これも更新を考えないホテルだと、ストⅡゼロあたりが可動していた覚えが。


脱衣麻雀ゲーム

 『スーパーリアル麻雀PⅤ』長く可動した名機ではあるのだが、その容赦の無さでも有名。

 私はこいつに三度天和を食らった。

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