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【祝書籍化解説】よくわかる98年政局 2020/11/25 投稿

挿絵(By みてみん)


イラスト

景様

 日本の政局を語る上で大事なのは日本の国会が衆議院と参議院の二院制をとっているという事です。

 日本の国会は衆議院の優越を作っていますが、実は参議院を無視する事ができないシステムになっているのです。

 まず衆議院の優越から確認していきましょう。



 衆議院ホームページ

 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kokkai/kokkai_kengen2.htm


●衆議院及び参議院は、両議院一致の議決により共同して国会の権限を行使する。


1.法律の制定

2.予算その他国の財政に関する議決

3.条約の締結について承認の議決

4.内閣総理大臣の指名

5.憲法改正の発議


●法律案などについて両議院の議決が一致しない場合には、憲法上一定の要件のもとに衆議院の優越が認められている。


1.法律案は、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした場合に、衆議院において出席議員の3分の2以上の多数で再び可決すれば法律となる。

2.予算(衆議院に先に提出される。)、条約、内閣総理大臣の指名について、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が一定期間内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる。



 ところが、これらの仕組みについてはからくりがありました。

 再議決は衆議院の2/3を与党が確保しないと無理ですし、再議決は60日後のみなし否決というルールを使わないといけません。

 なお、通常国会の開催期間が150日しかなく、その日数で予算審議を行う事も忘れてはいけません。

 つまり、参議院で法案が否決された場合、衆議院が2/3無かったら詰みますし、日程に余裕がなければやっぱり詰みます。

 参議院は、それぐらい衆議院に負けないぐらいの力を持っている院なのです。

 それに気づいて、国政に絶大な影響力を誇ったのが田中角栄元総理から始まる田中派であり、その後継である竹下派なのですが話がそれるのでここで止めておきましょう。

 そして、最も大事なのは参議院は解散が無い代わりに任期は6年で、議員の半分ずつを選挙で選ぶという点。

 万一に一回の選挙で大敗した場合、その回復には6年かかるという事を多くの議員たちは軽視していました。

 この参議院の力が真価を発揮したのが、90年代の国会でした。


 まずは89年の第15回参議院選挙。

 『マドンナブーム』の言葉を生み出した社会党の大勝利によって自民党は結党以来初めて単独過半数を割り込み、以後の国会運営は迷走し続けます。

 92年の第16回参議院選挙でも過半数を回復できなかった自民党は、その後竹下派の分裂から始まる細川政権によって野党に下野する事になるのです。

 95年の第17回参議院選挙は、社会党村山総理という自社さ連立政権で挑み、89年の改選だったのでここで勝てば過半数の目もあったのですが勝ちきれずに連立政権を維持する事に。

 一方で細川政権から始まった野党連立政権は新進党を生み出しましたが、社民党の離脱から始まる党の崩壊を止めらずにいました。

 ここで自民党は勝ったと思ったのでしょう。当時の自民党橋本政権は選挙前に連立を解消していました。

 その結果は……

イラストレーターの景様からちび瑠奈を書いていただきました。

編集さんの許可を得た上でこれを公開します。

景さんおよびオーバーラップノベルズの編集さんに心からの感謝を。



なお、ゆっくり瑠奈とちび瑠奈で掛け合いもする予定。

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