【祝書籍化解説】よくわかるバブル崩壊 2020/11/21 投稿
この小説の最初の方に書かれている金融危機。
現実世界においてはこのようになっています。
97年11月3日 三洋証券破綻
97年11月17日 北海道拓殖銀行破綻
97年11月22日 山一証券破綻
規模も影響も北海道拓殖銀行の破綻が大きいのですが、リアルにこれを体験した世代としては四大証券の一角だった山一證券の破綻は心理的ダメージが大きく『ああ。この国はもう駄目だ』という絶望感を当時の人たちは持つ事になります。
これが98年の日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の破綻へと繋がっていきます。
では、どうしてこれらの銀行は破綻したのでしょうか?
それは不良債権のせいです。
不良債権は日本銀行のHPにこう書かれています。
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/pfsys/e26.htm/
不良債権とは、約定どおりの元本や利息の支払いが受けられなくなるなど、その経済価値が低下した貸出債権を指します。
この経済価値が低下した貸出債権ですが、その多くはバブル期の不動産取引に端を発しています。
バブルの土地狂乱時代、多くの会社がリゾート開発等で地方の土地を高値で買った結果、バブル崩壊でそれらの土地の価値が暴落し事業が失敗。
それらの会社に資金を貸していた銀行もその資金回収ができなくなって……という流れです。
銀行側は必死に資金を回収しようと色々な手段を画策しますが、バブル崩壊の土地価格の下落はそれを上回るものでした。
一つの例として新潟県南魚沼郡湯沢町の越後湯沢駅の物件を紹介しましょう。
湯沢の新築3000万円物件が「ほぼゼロ円」の現実
https://toyokeizai.net/articles/-/275708
新幹線で東京に繋がり、バブル期はスキーリゾートとしてもてはやされた越後湯沢駅ですが、その駅周辺にはリゾートマンションが大量に建てられました。
その数およそ一万五千戸。
売り出された時の価格は三千万円を超えていたこれらの価格は現在では、ほぼ価値ゼロに設定されているのです。
もちろん、97年から23年経っている事を差し引いてもこの価格は異常です。
実際の土地取引のデータを見てみましょう。
https://tochidai.info/niigata/yuzawa/
これによると、バブル最後の92年坪単価が66万だったものが、97年には38万とほぼ半減していました。
このような土地の下落に伴う評価損は長く銀行を苦しめる事になります。
この不動産の不良債権は最終的には2000年の会計ビッグバンによって全て表に出る事になるのですが、その結果として強制的な不良債権処理が行われ、金融機関は公的資金注入にまで追い込まれる事になります。
察しのいいひとは分かるだろう。
いただいたゆっくりを使いたかっただけである。