いくつかの記事抜粋 私の髪が金髪な訳編 2019/8/17 投稿
瑠奈誘拐未遂事件の背景説明
『南北統一後、北日本政府の経済再生計画が通産省によってまとめられたが、その莫大なコストに関係者は頭を抱えている。
樺太経済は、非効率な官僚制度、旧式化した設備、汚職の蔓延による社会システムの疲弊が重なっている上に、優秀な人材が次々に本土に逃れており、本土依存経済と治安悪化を招いているというのが現状だ。
この状況を重く見た政府は長期的な再建計画をまとめながら、緊急に改善点をリストアップしていく方針。
新設された樺太道庁と提携して対策を進める予定だが、その莫大な予算を……』
--1993年 樺太日報より
『樺太復興計画は、各財閥に樺太の資源や設備を下げ渡す見返りに、資金を提供してもらう方向で協議していると政府関係者が認めた。
特に競争力を有している樺太の重化学工業と天然ガスを巡って、岩崎財閥と淀屋橋財閥が鞘当を繰り返しているという。
政府は重化学工業を岩崎財閥に、天然ガスを淀屋橋財閥に任せる方向だが、二木財閥も手を上げているので調整にもう少し時間がかかる見込みだ。
また、莫大な不良債権を抱える樺太の金融機関を一元化して国有化した樺太銀行は財閥に渡せる状況になく、しばらくは政府系金融機関として運営させざるを得ない、と取材に応じてくれた政府関係者は語る。
とはいえ、統一後のバブル崩壊で各財閥ともに財務に余力がなくなっており、野党立憲政友党からは「まずは本土経済の再生を!」と批判が……』
--1994年 樺太日報より
『震災と新興宗教によるテロ事件によって本土が混乱している中、樺太経済の大幅な悪化と本土への人口流出が加速している。
一方で、犯罪者やテロ組織が樺太に逃げ込んでいるという情報もあり警察当局は慎重に状況を見極めている。
樺太道警察は統一後そのまま北日本政府の警察組織を引き継いだが、内部は腐敗と官僚主義により機能不全に陥っており、まずは内部の綱紀粛正から始めねばならない段階であると関係者が匿名で取材に応じてくれた。
特にロシア系マフィアの侵食は著しく、ロシア人を間宮海峡を渡らせて旧北日本政府国民にするビジネスを始めとして、麻薬と武器売買のルートも確立していると見られる。内調だけでなくICPOも捜査員を派遣するなど、組織の腐敗が著しいと見られる。
ICPOが追いかけているのは北日本政府が作らせていた偽札、通称「スーパーJ」であり、このスーパーJの蔓延がバブル崩壊の一因であるとまで言われている。
震災とそれに続く新興宗教のテロ事件によって、樺太全土では自衛隊の派遣と戒厳令が布告されて社会不安は一応改善の方向に向かっているが、このロシアマフィアの背後にロシアの新興財閥であるオリガルヒがいると言われ……』
--1995年 週間樺太より
『北海道経済の悪化が止まらない。
バブル崩壊によるリゾート開発が不良債権に変わった上に、政府が樺太に莫大な予算を注ぎ込まざるを得ない状況で北海道への公共事業予算を削減したからだ。
特に樺太に最前線が移った事で自衛隊の駐屯地の削減が政府の議題に上がる昨今、それを回避させようと北海道庁の職員が霞が関や永田町を陳情して回る姿がよく見られる上に、樺太からの人口流入が治安悪化と社会不安を引き起こし、道庁の対処能力を越えているという声まで出る……』
--1996年 月間経済誌財閥 北海道経済崩壊のカウントダウンより抜粋
『「北海道開拓銀行は残った」。
名前は変わるが、それは紛れもない事実だ。
先の見えなかった北海道経済に見えた一筋の光。
それを成し得た桂華グループに一道民として感謝を捧げたい。
相変わらず経済環境は良くはなく、銀行強盗の犯人がロシア製の銃で武装して銃撃戦が起こったりするのが紙面で賑わせているが……』
--1997年 両道新聞 読者の声より
『樺太の資源ビジネスが加速している。
樺太から産出される天然ガスを利用した火力発電所建設事業が政府支援のもとで発足したからだ。
建設の候補地として選定されたのは、北海道の石狩湾河口付近と、山形県酒田市、新潟県新潟市の3つで、火力発電所を中心とした化学コンビナート構想として整備建設する予定である。
この事業に全面的に手を出しているのが、樺太に深入りしている岩崎グループ御三家の岩崎商事と資源開発事業に強みが有った淀屋橋商事であり、昨今不良債権処理で一気に名前を売った桂華グループ入りした松野貿易である。
一方で、この天然ガス事業は樺太から産出される量では採算が合わないと言われており、今は閉じられているが間宮海峡に敷設されたロシアと樺太のパイプラインを再開通させてロシア産の天然ガスを購入するべきではという声も出ている。
アジア通貨危機の影響で資源価格は暴落しており、外貨獲得の為にロシア政府とオリガルヒが手を組んでこれらの財閥に働きかけているという声が……』
--1998年 樺太経済新聞より
『樺太で中華系の人たちを多く見るようになった。
彼らの言葉を聞くと、広東語。
彼らは元香港人で、香港返還に伴って香港から逃れてきたのだと言う。
華僑ネットワークの一つとして樺太に根付いたのは、南日本が勝った時に日本人になれるという狙いがあったからだと聞く。
事実、改善傾向にあるが未だ治安が良いとは言えない樺太は、逃亡先として有望なだけでなく、アジアのブラックマーケットが行っているマネー・ロンダリングの終点地としても機能してきた。
麻薬・武器・賭博・売春などによる資金は一旦香港で洗浄され、更にそれが樺太に送られることで、最終的にいわゆる「汚い金」が天然資源の形で国に帰るという流れである。
このネットワークは香港マフィアとロシアマフィアが取り仕切っており、香港返還に伴うパワーバランスの変化……』
--1998年 週間樺太より
樺太銀行
書いて気づいた樺太の金融機関。
国営化後不良債権処理をして、どこかにくっつける予定。
95年の震災と新興宗教のテロ
阪神大震災とオウム真理教事件。
ここも歴史のターニング・ポイントだよなぁ。
スーパーJ
スーパーノート。
元ネタは北朝鮮製の偽ドル札。
ぶっちゃけると、リアルカリオストロ公国。
あの国はあの小ささだから偽札で国が回ったが、現実は偽札だけでは足りないというのが世知辛い。
ロシアマフィアと香港マフィア
樺太がロアナプラになりかかっていた。
それに瑠奈というファクターが加わってあの誘拐未遂事件が……