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 街に滞在中、英雄の国からの使いだという一団が現れた。

 山賊か野党の集団にしか見えない姿に警戒するが、街の人達の対応を見るに、それなりに信用を置ける集団らしい。


 どちらにせよ、相手の人数や場所を考えるに付いて行くしかないようだ。

 いざという時の為、逃げる準備だけはしておこう。



     ◆



 意外なことに、彼らはとても紳士的だった。

 更に、場数を踏んでいるのか、魔物の対処も素早く、動作も洗練されている。


 勇者と戦士は既に彼らに溶けこみ、酒を酌み交わしながら歌を歌い、そんな彼らを見て魔法使いが楽しそうに笑っている。


 おとぎ話の中にある冒険者の姿が、そこにはあったようにも思えた。



     ◆



 王の住む街までの旅路の中、彼らは多くのことを私たちに教えてくれた。

 少人数での魔物の対処法であったり、有効な魔法の活用法であったり、果ては食用に適した魔物の種類であったり、果てには調理法にまで及んだ。


 そして、羨望の眼差しを向ける私たちに対し、彼らは口々に言う。


「我々は英雄などではない」


 私たちと何ら変わりのない、悲しい人達がそこにはいた。

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