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雨が降りだした。
冷たい雨は私たちの体温を容赦なく奪う。
勇者も戦士も魔法使いも、みんな白い顔をして震えている。
私も同じような顔をし、震えているのだろう。
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雨は止む気配もない。
勇者が嫌な咳をしている。
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勇者が高熱を出し、歩くことすらままならなくなってしまった。
馬車に寝かせてはいるが、碌な薬も無く、長時間の休養も出来ない。
容態は悪化する一方だ。
雨はまだ降り続けている。
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勇者の咳に赤いものが混じりだした。
移動魔法で戻る案も出たのだが、今の状態で使用すれば彼の命の危険すらある。
だが、このままでは死んでしまうだろう。
魔物が原因での死では無い場合、蘇生は不可能。次の街まで早くて三日。
決断を迫られる。
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採取した魔物の体液を勇者が横になっている馬車に持っていった時、彼は全て理解したようだった。
お願いだからそんな優しい目で私を見ないで。
毒を持つ体液を飲んだ後、血を吐いて動かなくなった彼を馬車に残し、私たちは進む。
雨音が、無力な私を責める言葉のように聞こえた。