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気分は優れないが、時間は待ってはくれない。
早く荷物の整理をし、出発に備えなくては。
次の目的地は、この国の王がいるという街だ。
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なんで彼女は何も言ってくれなかったんだろう。
胸の内に後悔だけしか残らない。
◆
荷物の整理をしていた際、見覚えのない手紙があった。
それは女王からの手紙で、そこには彼女の真実が記されていた。
彼女が誰よりも勇者に憧れ、冒険譚に胸を躍らせる少女であったこと。
現実の私たちを知り、自分の無知を恥じたこと。
自分の国が、民が大切であること。
隣国の砂漠の国が宣戦布告してきたこと。
おそらく、自分たちは勝てないであろうこと。
それでも民も、自分も立ち向かうことを選んだこと。
最後にはこう書かれてあった。
「それでも、逃げない勇気をあなた達がくれた」
「あなた達の旅に幸あれ」