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 女王は滞在の代わりに、旅費の支援を提案してきた。

 その為の対価は、滞在の間、謁見を決まった時間に行うというものである。


 謁見の場にて女王は、これまでの旅の話を聞かせるよう命じた。

 宿に戻りこれを書いている今も、女王の真意がわからない。



     ◆



 女王は様々な質問をしてきた。


 冒険の旅が、決して英雄譚などで語られる希望に満ちたものではないこと。

 食料や水など、様々な問題が山積みであることなどを話すと、しきりに頷いては何かを記録させていた。


 目的がわからない分、不気味さを感じる。

 翌日の謁見は、私と魔法使いのみが呼ばれた。

 相手は女性ではあるものの、王であることに変わりはない。警戒を強くしようと思う。



     ◆




 なぜ女王は私たちの話を聞き、涙を流したのだろう。


 しきりに私たちに謝る彼女に、私も魔法使いも困ってしまった。

 ただ、不思議と悪い気持ちではない。


 この日の夜、久しぶりに魔法使いと私は同じ部屋で語り明かした。

 彼女と笑って話をしたのはいつ以来だろう。


 奇妙な女王に感謝を。

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