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結論として、遺跡に魔物は確かにいた。
ただし、遺跡にいたのは小さな魔物やその母親と思われる魔物。
この魔物を残せば、いずれ大きくなり人の街を襲うのだろう。
頭では理解している。だが、身体が動かない。
勇者と戦士が泣きながら魔物を斬り、魔法使いが泣きながら魔物を焼き払う。
遺跡にこだまし続けた悲鳴が耳から離れない。
「痛い」
「熱い」
「殺さないで」
「許して」
「許して」
「許して」
無理やり飲んだお酒に悪酔いしたのか気分が悪い。記録はここまでにしてもう寝よう。
この、人の言葉を理解し喋る魔物に関しては、後日、別の報告書を作成し教会へと提出する予定だ。