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次の街は、砂漠の中にある街だという。
小さいながらも王の治める街であるため、支援を受けられるかもしれないらしい。
だが、期待するのはやめておくことにする。
希望から絶望へ叩き落とされるのはもう嫌だ。
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砂漠へと差し掛かった。
ここを抜けるまでは、昼は穴を掘って休み、夜に移動する事になる。
水が生命線だ。無駄使いしないようにしなくては。
◆
日陰の中でも容赦なく太陽の光が私たちを焦がす。
水を少しでも節約し、体力を温存するために薬草を口に含んで噛み続け唾液を出す。
苦いと思ったのは最初だけで、今はもう何も感じない。
ただ緩慢に口を動かすだけだ。
◆
体力の消耗が激しい。
砂漠の敵は夜行性のものが多く、危険度も高い。
魔物の爪によって付けられた腕の傷がじくじくと痛む。
◆
疲労により油断していたところを魔物に突かれた。
どうにか撃退には成功するも、魔法使いが死んでしまった。
蘇生のため戻るか、先へ進んで街で蘇生させるか。
勇者は進むことを選んだ。戦士は戻ることを選んだ。
私は、進むことを選んだ。