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確かな成長

ようやく・・・!!

ようやく書けました!!


長らくお待たせして申し訳ないです!!新生活がやっと落ち着きましたので執筆を再開します!!

仕事が忙しいため一月に一話を厳守しますのでこれからもよろしくお願いします!!


出発から二日目。

ノーマード王国へ向かう途中、休憩として立ち寄ったのはスラムだった。


国王様曰く、星の実とやらがどんなものか自信の目で見て学ぶように、との事らしい。

スラムの人達はおれを見て驚いて、次にセアラ王女を見て大騒ぎになってた。結婚の話はここにも届いているようで、あちこちから祝福や応援の声が贈られてきた。


「せんせー!」


走ってくる星の実のちびっ子達。

前に比べれば随分と明るくなったし、体型も標準的なものに近付いてきてる。良かった。


「お姫さまがいるの?」


「きれー。」


キラキラとした目で見られているからかセアラ王女達ははにかむような笑みだ。


「ジャック、何かあったか?」


エルフのチゼが剣を片手にやって来た。


「ノーマード王国に向かう所でね、セアラ王女殿下に星の実を見せても良いかな?」


「構わないが、クスターがいるぞ?」


うわマジか(;`・-・)


「・・・うん、大丈夫、分かってれば心構えもできるし。」


「こちらだ。」


星の実に足を運んで、小さな子達の多さにセアラ王女達は目を丸くしてた。


場所の役割を簡単に説明したりしつつ、温室にクスターと治療中の壊れた子達を見つけた。

温室に顔を見せれば、クスターが片膝をつけて頭を垂れるものだから頭痛が酷くなる。


「息災でなにより、彼等はどう?」


「回復の兆しが。一年あれば言葉も話せるかと。」


「ペースは彼等でお願いするよ。それと、毎回膝をつくのは止めようか。周りの目があるし、何よりそんなことをされるほどの身分でもないんだから。」


「しかし、立てば主を見下ろすことになります。」


「その答えは三回聞いたからね?立つ。」


立ち上がったのでセアラ王女に説明して、温室を後にした。


子供達が勉強している教室にお邪魔していると、何人かが質問にやって来たのでヒントを教えたりする。

ほとんどの子が計算できているし、文字も間違いはない。


「ここまで高度な勉強をしているの?」


「世に通じる能力は多ければ多いほど生きるのに困ることは減りますから。」


パタパタと走る音がして、扉が開く。

顔を覗かせたのは翼人種のリチェアと獣人種のアリとココット。


「あぁ、良かった、まだいた。」


「まだ時間があるなら、少し鍛練に付き合ってもらえないか。」


「セアラ王女殿下。」


「大丈夫よ、私達も見ていて良いかしら?」


もちろん。

裏の庭に行き、何人かいた小さな子達に驚く。


「もう次の世代を?」


「本人達が望んでな、ロカかジャックの手本を見せたかった所なんだ。」


「なるほど。最初は誰から?」


前に出たのはアリ。

彼は虎の獣人で視力とパワーのバランスが良いから的確に隙を狙ってくる、油断すると結構危ないな。

パワー系をいかして武器は大剣。

ちなみにこれはロカから話を聞いたが、特注品らしく非常時には二つに分けることができるらしい。どこぞのゲームからアイデアをもらったそうだ。


「一応、寸止めを心がけること。魔法は禁止。制限時間は五分。」


「承知した。」


合図はない。

仕掛けたらスタート。


一撃目は上から。

斜め後ろに引いて桜草を振るう。

跳ね上げられた大剣に弾かれた。


パワー系ならではの荒業っ。


「ロカのお墨付きが出るのも頷ける、ね!」


一度距離をとり、加速。

大剣の攻撃は桜草で受け流し、距離を詰める。そのまま仕掛けようとして、腕を掴まれた。

予想外にもアリは得物から手を離し、素手で仕掛けてきた。手を捻られ、桜草を落とす。


「っと。」


このままだと無力化させられるので、アリの勢いをもらって投げ飛ばした。虎の遺伝子があるから着地はお手のもの、次を身構えていたけどアリは両手を上げて降参した。


「良いの?」


「裏をかいても対処されるならば、鍛練不足だろう。」


「いや、あれは驚いたよ。良い判断だった。実戦なら骨を折るぐらいでやれば問題なく通用すると思うよ。」


鍛練だからこそ切り抜けられたけど、敵として全力でやられたら負けただろうし。

ポカーンとしてる子達には一応解説。


「長い得物は攻撃範囲が広い分有利に戦闘を進める事ができる。ただ、さっきみたいに距離を詰められたり、懐に潜り込まれると対処が難しいというデメリットもある。だからアリは武器を手放し、近接攻撃に切り替えた。」


次は狼の獣人で女性のココット。

スピードとパワーがちょうど良いバランス型で武器はレイピアと暗器。レイピアの攻撃はユイ君よりはまだ反応できるけれど、レイピアに気をとられてると暗器にやられるから相手にすると大変。


ちなみに、鍛練でロカは五回に一回は負けるそうだ。


うん、実際に相手して分かった。


「ココット、前よりも遥かに腕を上げましたね?」


レイピアを捌き、暗器を避け、距離を詰めるに詰めれない状況。にっちもさっちもいかん。


「セアラ王女殿下、少し怪我をしても?」


セアラ王女達からもココット達からもギョッとされた。


「殺しなしの訓練に変更しないとココットの成長にもなりませんし、何より自分の成長にも繋がります。」


「・・・重傷は負わないように。」


許可がおりたので、試したいことを試す。

自然と浮かんだ笑みにココットは少し毛を逆立てていた。


「ココット。」


外野からアリが声をかける。


「腹をくくれ、触発したのはお前だ。」


「薄情者・・・!!」


え、そんなにアウトな顔してる?


じゃっかん泣きそうになりながらもココットはレイピアを構え直した。距離を詰めさせないようにされるため、ちょっと覚悟を決める。


レイピアの攻撃を左手で受けた。

手のひらを貫通する鉄に、その冷たさと痛みに思わず眉がよるが手を握り締める。


「ジャック?!」


さて、あがった声は誰からのものだったか。

握り締めたレイピアは動かせない。暗器は桜草で弾き、無理矢理距離を詰めて行けば降参された。


即座にレイピアを抜かれ、止血をされる。


「無茶にも程があるだろう?!」


アリとココットから毛を逆立てながら怒られた。


ごめんて(´・ω・)

いやほんと、手に布グールグールされてる。


「ココットのやり方は十分通用するとは思うんだけど、今みたいに突っ込まれる可能性とそもそも痛覚ないタイプには向かないから対抗策考えてみてね。あと本当に軽傷だから落ち着いて。」


グールグールされすぎて指に血がいってねぇです。これだと指が壊死します。


最後はリチェアかと思ってみたら、違うようだ。


「魔法を、見てもらえますか。」


リチェアは脚力を活かした近接攻撃に加え、魔法を使う道を選んだ。光属性との相性が良かったから、主に上空からの攻撃を用いる。


魔法を一通り見せてもらい、違和感を感じた。

詠唱から発動までのラグが少しある、何だろ、翼の一部、人間で言う肘の所?

魔力の流れがおかしい。


本人もラグには気付いているようで、改善するヒントが欲しいようだ。


「詠唱は馴れたら略して大丈夫、操作も問題ないね。ただ、リチェアの魔力がこの辺りで停滞してる。たぶん、それがラグの原因だろうね。」


「ここ、ですか。」


暗い顔をするリチェア。


「流れが悪いならそれを補助する魔道具を用意しようか。あくまで補助だけれど、無いよりはマシになると思うよ。」


どうかな?と尋ねれば頷く。

ロカに連絡を入れれば、ヒース達が協力してくれるとのこと。事がうまく行けば精霊の補助だけで済むかも知れないってさ。


元来、自然との共存を重んじる獣人種や翼人種に精霊は協力的だからね。


一通りのアドバイスを終えて、星の実を後にする。


「あまり根を詰めて無理をしないように、休息も大事な事だからね。」


ん?何故か皆から苦笑された。

マリーさんがおれの頭を撫でてる。


「ジャック、貴方もよ。」


セアラ王女から呆れた顔をされた。

えー、おれ必要最低限の休憩はとってるんだけどなー。


スラムを後にして、国境付近の森にて野宿する。魔道具のテントを使っているから宿並みの利便性が揃ってるけどね。


本当に、便利な世の中だなぁ。


夜も更け、寝室で眠るセアラ王女とテント内で備えるマリーさん。休憩をとる御者さんとテントの外で見張りをする護衛(おれ)とユイ君。


おれ一人でも、と言ったけれど何か話があるそうで一緒に外にいる。休憩しなくて大丈夫なのかなぁ。



お知らせ


今月から大会に向けてもう一作品執筆を開始しますので、次話は早くても今月末、もしくは来月になるかと思います。

読んでくださってる方々には申し訳ないですが、挑戦できることはどんどんしていきたいので、ご理解をお願い致します。

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