エイプリルフール回
エイプリルフールの番外編です。
「おはよう〜結城達……って、あれ?」
今日はダブルデートをしようということで集合した4人であったが、私は結城達の姿を見て違和感を感じた。
「よう……うん?
お前、結城だよな……なんか違うような」
若干遅れてやってきた涼も何か違和感を感じているようである。
男が結城で女が優希で間違いない筈だが……
「違うよ〜私が優希なの!」
「そして僕の方が結城なんだなぁ」
『え……ええ!?』
驚いたことに2人は逆の名前を名乗ってきた。
詳しく聞いてみると朝目覚めたら2人の精神が入れ替わっていたらしい。
ノートに詳しい話を聞いてみると、分裂したてで不安定なために精神が混線してしまったのだそうだ。
いま現在、ノートは元に戻すための作業中であり、昼過ぎには元に戻せるだろうと言う話であった。
「という訳で今日は僕が涼の隣にいてあげよう」
「中身は優希だから女の子同士で仲良くやりましょう」
と言って結城(in優希)が涼の隣に、優希(in結城)が私の隣にやってくる。
「……なぁ、これってさぁ」
「気付かないフリをしてあげましょう」
こうしていつもと違う形で4人で遊びに出かけたのだが、綻びはすぐに出てきた。
其々の部活の話になったのだが、優希が入っている筈の結城からアナ研の話が。
結城が入っている筈の優希からは動画配信部の話が出てきたのだ。
私と涼はその事をニコニコと聞いた後でここら辺が頃合いかとツッコむ事にした。
「それは良かったわねぇ……所でまだ昼前だけどもう元に戻っちゃったの?」
「アナ研に優希は行ったことがない筈なんだけどな」
「え?あ、あははは……バレちゃった?」
「楽しくなっちゃってつい口が滑っちゃったね」
そう……結局のところは2人の中身は入れ替わってなどおらず、其々がお互いを演じていただけだったのだ。
「馬鹿ね、最初から気付いていたわよ」
「ああ、何年一緒にいると思ってるんだよ」
「ええ!?
でも、最初に違和感を感じるって言ってたよね?」
「それは結城達がお互いの演技をしているから変に見えてただけよ」
「なーんだ。
本当に最初からバレてたんだ」
2人はあからさまにガッカリと肩を落とした。
「因みに今が正午、エイプリルフールは午前に嘘をつけるって話だからタイムアップだ」
「それで私達の方が結城達が入れ替わったって事を信じている嘘を貫き通したって訳よね」
「という訳でこの勝負は俺たちの勝ちだな。
負けたからには言うことを聞いてもらおうかな」
『そんな理不尽な〜』
2人は声を揃えて言うがつまらない冗談をかましてくれたからに覚悟をしてもらうしかない。
「優希は今日一日俺と行動すること」
「私の方も結城が今日一日私と行動を共にすること。
ついでにこっから私と涼は別行動するからね」
「仕方ないなぁ……じゃあ、優希もそっちはそっちで楽しんできなよ」
「結城もね〜私を連れ出したからにはちゃんとエスコートしてよ」
こうして二手に分かれた私達は其々にお互いのデートを楽しんだのであった。
4月1日の話なので作中の時間からはかなり未来の話です。
4人の関係性がこのようになるのか、それともエイプリルフールの嘘になるのかはこれからの展開を読んで頂ければと思います。