転機の入部
「こっちは終わったけど、そっちの様子は……って聞くまでも無いね。
いやはや、ここまで凄いことになるとは」
部長が私達にやってきたときには長蛇になっていた列も少しという所に減っていた。
そして、私達の取材を受けた部員達はというと
「うおおおおおおお!!」
「やるぞーーーー!!」
「双葉ちゃんに良いところ見せるぞ!」
「薪開師匠を失望させるな!!」
ここに来た時のやる気のなさが嘘のように張り切って練習をしていた。
「いや……まさかここまで効果が出るとは思わなかったな。
君達が取材に来てくれて本当に助かったよ」
「あ、あの……私達は別に何も。
きっと今までが調子悪かったんですよ!
これからきっと良くなっていきますって」
「そうですね。
練習すればきっと試合にも勝てるようになりますけど、それは部員さん達の実力だと思います」
「それを真実とするには自分とアイツらの頑張り次第だろうな。
もし、これから活躍できたならまた取材に来てもらえるかな?」
「えっと、私達は体験入部で……」
「是非来させて下さい!
皆さんの努力が実った所が見れたら本当に嬉しいです」
私が遮ろうとした所で優希が声を上げた。
「本当かい?
お前ら聞いたな。
彼女達にまた来てもらいたいなら次の試合は絶対に勝つぞ!!」
『オッス!!!!!!』
こうして私達の初取材は大成功で終わりを迎えた。
「さっきの返答は部活に入部してくれるという事でいいのかな?」
部室に戻ってきてところで部長が優希に早速聞いてくる。
「はい、こんな私で良ければよろしくお願いします」
「君程の逸材は他にいないと思うけどね」
「優希、本当に良いの?」
「うん……今日やってみて思ったんだ。
こんなに色んな人を応援できて笑顔に出来るなんて思わなかったから。
だから、やってみたいって思ったんだ。
あ、でも私がやりたいって思っただけだから亜美ちゃんは付き合わなくても……」
「バカね、私が付き合わないわけないでしょ。
何年一緒にいると思ってるのよ。
あんたを1人で放っておくわけないじゃない」
私は優希の頭を撫でてから入部届に名前を書いた。
優希も満面の笑みを浮かべて自分の名前を書く。
「これから私達2人をよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼むよ。
いや〜これから楽しみだね。
早速さっきの取材動画を編集するぞ」
『はい!』
こうして私達は動画配信部への入部を決めたのであった。