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バスケ部へ突撃取材

「あ、あの……いきなりそんな事言われても……」


「そうですよ。

それに優希は人見知りなんですから、そんなにグイグイと前に出てこないでください」


部長さんから優希を庇うように前に出る。


「おや、これは失礼したね。

私としたことが興奮しすぎてしまったらしい。

……そう言えばまだ名乗ってもいなかったな。

私の名前は画堂(がどう)ニコだ。

よろしく頼むよ」


ニコがそう言って柔らかく微笑むと後ろに隠れていた優希が動く気配がした。


「優希、大丈夫なの?」


「うん、ありがとう。

あの、私の名前は双葉優希です」


「双葉くんか……良い名前だ。

君も自己紹介してくれないかね?」


「……薪開亜美です」


「うん、素晴らしいね。

実は今からバスケ部に取材に行くのだが折角だから一緒に来てみないかい?

私の後ろについて助手という形で参加してもらえたらと思うのだが?」


あくまで引く気のない部長に対して考える。


先程も話をした通りに優希は人見知りが強い方だ。


色んな人と初めましての状態から話すのはキツいかもしれない……だが、人間の自己を形成するには他人と交流するのが一番では無いだろうか?


ここで人々との交流をさせて単一の人間としての自覚を促せるかもしれない。


「ねぇ、優希。

怖いかもしれないけど一緒にやってみない?」


「……亜美ちゃんが一緒ならいいよ」


そう言って私の後ろからキュッと手を握ってくるのを可愛く感じてしまった。


「おお……引き受けてくれるのかね。

ありがたい、では早速行こう!」


そんなこんなで私達と部長、更に撮影スタッフに数人の男子でバスケ部へ向かう。


その間ずっと優希の手を引いて歩いていたのだが、ついてきている男子生徒の視線が強い気がする。


サッとそちらを振り向くとスッと視線を外されるので確証は持てないが。


とは言え、何か害意がある訳では無さそうなので今は良いのだろう。


こうして歩いている内に体育館へと着いた。


「ウチの学校のバスケ部はお世辞にも強いとは言えないのだよね。

やる気もそこそこしか無いようだし。

ただ、取材から動画にして応援メッセージを貰えれば選手達のやる気につながるかもしれないとオファー受けたのだよ」


「悪かったな、弱小部で」


部長が体育館の扉を開くよりも先に扉の方から勝手に開く。


そして、そこから見上げるほどに大きな身長の男性が立っていた。


「そこまでボロカスには言ってないんだがね。

それは自覚の現れでは無いかね?」


「否定は出来ねぇな……所で後ろのちっこいのは誰だ?」


「今日、体験入部しました薪開亜美です」


「ふ、双葉優希です……今日はよろしくお願いします」


「これはご丁寧にどうも。

俺はバスケ部の部長で二重(ふたえ)(とおる)だ。

……なるほど、これはアイツらもやる気出すかもしれんな」

百合派が若干増えたかもしれません。

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