そうだ、部活に行こう
分裂してから常に2人で行動している結城達を少しでも引き離す。
その方法を考えた結果、今まで混乱続きだったことを理由に敢えて避けていた部分に足を踏み入れることにした。
それはすなわち部活動である。
とりあえず私達は男組と女組に分かれて部活を見学してみてはどうかと結城達を誘った。
私達の意図は隠して誘ったのだが、部活は男女別々な事も多いためか2人は納得して分かれてくれた。
こうして私は優希と一緒に色んな部活を見学していった。
「うわぁ……この学校ってこんなに部活があったんだ」
「何でも校長が生徒の自主性を重んじるとかで申請すれば大抵通っちゃうんだって。
その代わり、しっかりと活動していないと直ぐに潰されるそうだけど」
「アイドル研究会とか動画配信部なんて普通の学校には無いもんね」
「ちょっと入ってみる?」
「良いの?面白そうだよね!」
そう言う事で私達は手近にあった動画配信部という場所に入ってみる事にした。
「こんにちわ〜少し良いですか?」
「おや……君達はいま話題の……何の用かな?」
「部活動の見学をさせてもらえないかと思いまして」
部長らしきメガネの女性が応対してくれて優希が答える。
すると奥の席がガタッと複数動くのが聞こえた。
「貴方達は自分の作業に集中しなさい!
すまないね、騒がしい連中で」
「い、いえ……それでここはどのような活動をしているのでしょうか?」
「この学校や地域を取材した動画を撮影し、それらを編集して動画投稿サイトにアップしているのだよ。
例えばこんなふうにね」
そう言って部長さんは自身のスマホを取り出して有名な動画投稿サイトのアプリを開く。
そこから動画を開くと部長さんが野球部へ取材をしている姿が映し出された。
野球部の部員紹介に始まり、練習風景を映して映像は終了する。
「うわぁ、テレビの取材みたいで凄いです!
テロップとかもこちらの皆さんで入れたんですか?」
「そうだよ。
あそこでカタカタと作業しているのはそう言ったものが多いね。
ところで君達!」
「な、何ですか?」
有無を言わさないと言う迫力でグイッと一歩踏み出した部長さんの勢いに私は思わず退けぞってしまった」
「君達は非常に素晴らしい!
正に輝ける宝石の原石のようだ。
どうだろうか……見学と言わずに是非参加してみては?」
「え?でも、私達はパソコンの作業とか良く分かりませんよ」
「私もゲームをするくらいで特には……」
「いやいや、君たちのような原石にそのような作業などさせられるものか。
君達には動画の中心となって我が部活動を盛り上げて欲しいのだ!」