979:6thナイトメアバトル-3
≪お手元の戦闘開始ボタンをこの場に居る全員が押すか、60秒経過する事で3戦目『継承の華呪』シベイフミク・クカンカとの戦闘を開始します≫
「……寒っ!?」
デンプレロとの戦いが終わった事で、私の姿が戻っていくと同時に周囲の風景が変化していく。
見渡す限りの砂漠から吹雪いている雪山の中へとだ。
『吹雪……寒気と湿気……相変わらずの相性最悪でチュねぇ……』
「本当ね……『
うん、移動制限がかかってもなお、『太陽の呪い』を真っ先に使っておくべきだろう。
後はいつも通りに『
≪『継承の華呪』シベイフミク・クカンカとの戦闘を開始します≫
「じゃ、速攻で終わらせましょうか。
「ーーーーー!」
戦闘開始と同時にまずは一発。
確かシベイフミクには一度に与えられるダメージに制限があったはずだから、これだけで終わる事は無く、次の攻撃を撃つ必要が……。
「ーーー……」
「あら?」
『一種の戦意喪失でチュかねぇ』
あると思って、『
≪『継承の華呪』シベイフミク・クカンカに勝利しました。次の戦闘に移行します≫
『終わってしまったでチュねぇ……』
「まあ、シベイフミクはオリジナルとも戦ったことがあるし、未知も特になかった気がするから、これでよかったと思うわ」
うん、戦闘が終わってしまった。
では次である。
≪お手元の戦闘開始ボタンをこの場に居る全員が押すか、60秒経過する事で4戦目『焼捨の牛呪』ヒトテシャ・ウノフとの戦闘を開始します≫
「『
≪『焼捨の牛呪』ヒトテシャ・ウノフとの戦闘を開始します≫
はい、糞牛なので速攻します。
と言う訳で、『竜活の呪い』を発動。
戦闘開始と同時に敵の方に向かって荒れ地に似た空間を飛んで行き、ヒトテシャ・ウノフの姿を目視してルナアポ付きネツミテを一閃。
その後ネツミテを遠心力を生かしつつ何度も叩きつけて、ヒトテシャ・ウノフに行動の一つどころか声の一つも許さないペースで滅多打ちにしていく。
≪『焼捨の牛呪』ヒトテシャ・ウノフに勝利しました。次の戦闘に移行します≫
「よしっ!」
『完封したでチュねぇ。当然でチュが』
はい、終了。
お前は色々と汚いので、戦いにするつもりはないのである。
≪お手元の戦闘開始ボタンをこの場に居る全員が押すか、60秒経過する事で5戦目『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムとの戦闘を開始します≫
「あ……あー……」
さて5戦目、ズワムである。
ぶっちゃけ未知はない。
と言うか、倒した当時ですら私はソロで倒しているので、今更と言うかなんというか……。
とりあえず周囲は見慣れた風景である『熱樹渇泥の呪界』に変わっていく。
『未知が無いと思うのなら、速攻で終わらせればいいんじゃないでチュか? ぶっちゃけ、ずわむが今更たるうぃと戦って、何かが出来るとは思えないでチュ』
「そうなのよねぇ」
私は軽く羽ばたく……必要もないか。
『座標維持』があるので、意識していれば、同じ高度に留まる事は容易い。
「……。少し思ったんだけど、これ、他のプレイヤーはどうするのかしら?」
『どうって……何がでチュ?』
「いや、当時の『熱樹渇泥の呪界』って今と違って普通のプレイヤーのための足場はないし、戦闘範囲も『熱樹渇泥の呪界』の全域だったのよね……。そうなると、空を飛ぶ手段がないプレイヤーはどうするのかしら?」
『……』
と、此処で少し思ってしまった。
他のプレイヤーはどうやってズワムに対抗するのだろうかと。
今更な話だが、『熱樹渇泥の呪界』は特異性が高く、条件を満たしていないプレイヤーにとっては様々な面から見て厳しい場所である。
『まあ、ちょうどいい戦いになるように運営が何かをするんじゃないでチュか? 足場を用意するとか、そんな感じでチュ』
「そうなるのかしらねぇ……。あ、ザリチュ、掲示板を張っておいて。少し気になるところだから」
『分かったでチュ』
うん、少し気になるので、ザリチュに掲示板やら動画やらを探ってもらうとしよう。
≪『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムとの戦闘を開始します≫
「じゃ、速攻で片づけましょうか」
『でっチュよねー』
「ーーーーー!」
なお、ここまでの話をしている間に各種バフは完了済みである。
そしてズワムについては、当時は小人の状態異常を駆使して戦っていたが、今の私ならばその必要はない。
『竜活の呪い』で強化された干渉力を生かし、ルナアポ付きのネツミテを振り回し、各種邪眼術を叩き込んでいく。
それだけで戦闘終了である。
「ーーー……」
「まあ、当時ですらソロだったわけだしねぇ……」
『本当に苦戦要素とか無いんでチュよねぇ……』
≪『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムに勝利しました。次の戦闘に移行します≫
さて、問題は……いや、楽しみは次からである。
「此処からの三戦は私の知らない相手になるわね」
『でチュね』
次の相手は『暗号の機械呪』エニアロゴ・キイクメカイ。