974:アジ・ダハーカ-10
「さて、色々と作っていきましょうか」
「でチュねー」
「封印の維持だけはしておくから、早めに完成させてもらえると助かるわ」
さて、既に日付は変わっていて土曜日。
アジ・ダハーカとの戦いが長引いた結果、こうなってしまった。
単純に眠いし、イベント参加のために準備もあるので、とっととログアウトしてしまいたいのだが……アジ・ダハーカの封印維持に必要なアイテムだけはとっとと作ってしまわないといけないので、頑張って作るとしよう。
「ま、竜呪たちの素材に収奪の苔竜呪の素材を組み合わせて、ハオマに制御をさせれば問題はないでしょう」
まあ、頑張ると言ってもそこまで手間暇がかかるものではないのだが。
封印されているアジ・ダハーカから呪いを奪い取り、安全な形に処理して、排出すればいいだけの話である。
「あっさりと作ったわね。このアンノウン」
「こういう技術は高いでチュからねぇ。たるうぃは」
えーと、後はアジ・ダハーカの状態を外部から観測するための装置。
封印の維持を補助する装置を複数。
ついでに『ダマーヴァンド』の貯蓄する呪詛の上限を大幅に増やす装置も複数作ってしまうとしよう。
「ふわっ……眠いわね……とっととセットして寝ましょうか」
そうして出来上がったそれらを組み立て、アジ・ダハーカの封印を強固なものにした。
これで外部から封印が解かれない限りは、もう奴が出てこれる事はないだろう。
「アンノウン。よくやったわ。これで世界は平和になったと思うわ」
「あー、そうねー……一時的にはそうかもしれないわねー」
「アンノウン?」
「いや、まあ、そのね。こうして装置を作っている間に思ったんだけど……」
正確に言えば、ヤノミトミウノハの底に封印された個体が、と言うべきだが。
「たぶん、アジ・ダハーカは複数体居るわ」
「……。否定は出来ないわね。むしろ、そちらの方が自然なぐらいかしら……」
「まあ、用意していてもおかしくはなさそうでチュよねぇ……あの設計者の性格なら」
うん、思えば、アジ・ダハーカが一体であるだなんて、誰も言っていなかった気がするし、それを示す資料もない。
あのアジ・ダハーカには色々な動物が混ざっていたので、以前私が見かけた鳥の嘴のような部分も間違いなくあったとは思うが、同一のものであるかと言われたら怪しい。
そして、アジ・ダハーカの設計者なら、自分の生き残りのために複数体用意しておいて、生き残りの可能性を高めるぐらいはしていても当然だろう。
「まあ、今は封印で良し。完全排除はその内誰かが方法を見つけ出すはず。私はそれを楽しみにさせてもらうわ。そっちの方が楽しいでしょうし」
「実にアンノウンらしいわね……」
「実にたるうぃでチュねぇ……」
ま、そこら辺は他のプレイヤーに任せてしまおう。
アジ・ダハーカを滅ぼす事は、私の役目ではない。
「はぁ。まあ、そう言う事なら、必要な時にはまた私を呼んでちょうだい。応じられる時なら応じさせてもらうわ」
「分かったわ。今日はありがとうね。聖女ハルワ」
聖女ハルワの姿を模していた『模倣の棺船呪』が崩れ落ちる。
どうやら聖女ハルワが通信を断ったらしい。
「さて、それじゃあ私も一度ログアウトするわ。眠いし」
「分かったでチュ。イベントの登録を忘れないように気を付けるでチュよ」
そうして私も一度ログアウトした。
----------
「はい、ログインっと」
「あ、来たでチュね」
で、夜になってから再ログインした。
「準備準備っと。あ、ザリチュ。化身ゴーレムは破壊しておいて」
「仕方がないでチュねぇ」
そして、次回イベントに向けて各種準備をしていく。
具体的には、化身ゴーレムは敢えて出さないでおき、他のゴーレムたちは詰めれるだけドゴストに詰めていく。
『路通しの薪』も使用可能になると同時に使用しておく。
それからアジ・ダハーカとの戦闘で使ってしまった回復アイテム類の補給や、『模倣の棺船呪』や『
「これでよし」
で、最後に一時的にだがヤノミトミウノハをきちんと所有し、その状態でイベントへの登録を済ませる。
これでヤノミトミウノハをイベント中に使う事も可能になったはずである。
『次のイベント、一体どうなるんでチュかねぇ……』
「さあ? なんにせよこれで準備は万端。つまらない相手は一気に吹き飛ばして、突き進めるだけ突き進むだけよ」
はい、登録は終わったので、ヤノミトミウノハは戻しておく。
「……」
次回のイベントは所謂ボスラッシュ。
ボスラッシュであるが、運営から依頼された例の案件がある上に、その依頼が私以外に対しても行われている可能性がある以上、私が戦ったことがない相手も含めて、そう簡単には完全制覇とはいかないだろう。
だが、だからこそ楽しめるはずだ。
私が戦ったことがない相手、例の依頼関係の相手、どちらも楽しみで仕方がない。
『うーん、色々と嫌な予感しかしないでチュねぇ……』
「ふふふ、本当に楽しみね」
私は笑みを浮かべながら、イベントに備えてログアウトした。
△△△△△
『虹霓境究の外天呪』・タル レベル50
HP:10,428/10,430
満腹度:137/150
干渉力:149
異形度:28(+1)
交信-[ID]、虫の翅×6、増えた目×11、座標維持、
称号:『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『偽神呪との邂逅者』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『七つの大呪を排するもの』、『虹霓境究の外天呪』
呪術・邪眼術:
『
呪術・原始呪術:
『交信-活性』、『交信-抑制』、『交信-選別』、『風化-活性』、『風化-抑制』、『風化-排斥』、『魔物-活性』、『魔物-排斥』、『反魂-活性』、『反魂-排斥』、『転写-活性』、『転写-排斥』、『再誕-活性』、『再誕-排斥』、『蠱毒-活性』、『蠱毒-簒奪』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『
呪術-ジタツニ:
『
呪術-ネツミテ:
『
呪術-ドロシヒ:
『
呪術-ドゴスト:
『
呪術-トテロリ:
『
呪術-ニネナナ:
『
呪法:
『
所持アイテム:
『祖憑きの外喋帽呪』ザリチュ、『地憑きの外羽衣呪』ジタツニ、『陽憑きの外煌錫呪』ネツミテ、『星憑きの外玉輪呪』ドロシヒ、『竜憑きの外砲袋呪』ドゴスト、『魔憑きの外忌輪呪』トテロリ、『虹憑きの外天根呪』ニネナナ、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、鑑定のルーペ、『虹霓境究の外天呪』の鱗粉袋、蜻蛉呪の望遠鏡、etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:
『毒憑きの外天杯呪』ヤノミトミウノハ、呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×13、アジ・ダハーカ封印ツール、アジ・ダハーカ封印観測ツール設置
『熱樹渇泥の呪界』・『入子屋敷の呪地』・『塩砂湖畔の呪地』・『虹霓鏡宮の呪界』接続済み
システム強化:
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ
???:
狂記外天:森羅狂象・序文-ルナアポクリフ:オルビスインサニレ・キューケン
狂記外天:森羅狂象・初稿-ルナアポクリフ:オルビスインサニレ・ターゲスアンブルフ
狂記外天:森羅狂象・中天-ルナアポクリフ:オルビスインサニレ・ミッターグ
▽▽▽▽▽