961:ダイヴプリペア-2
「さて、作っていきましょうか」
『当然のように竜の爪をナイフ代わりに使っているでチュね』
「戦闘では微妙だけど、こういうのには便利なのよ」
セーフティエリアに戻ってきた私は、回収してきた竜呪の素材とセーフティアリアに置かれているアイテム類を組み合わせて、今後のために欲しいアイテムを作っていく。
と言う訳で一品目は『死退灰帰』を基に、各種竜呪の肉やら血やらを混ぜ合わせ、私だけが使う物として調整を施したもの。
見た目は……虹色の液体が入った小瓶のようになったか。
では、鑑定。
△△△△△
『虹霓境究の外天呪』の呪詛薬・『路通しの薪』
レベル:50
耐久度:100/100
干渉力:150
浸食率:100/100
異形度:19
『虹霓境究の外天呪』が作り出した奇妙な物体。
この世に存在しているとは信じがたい気配を漂わせており、多くのものは認識する事すら拒絶するだろう。
飲むと、呪い『路通しの薪』を一時的に得て、異形度が1上昇する。この効果は一度発動するまで続く。
呪い『路通しの薪』:HPが0になった時に発動。不老不死の呪いによる分解を一時阻害、最大HPの100%分のHPを持って、その場で復活する。
注意:自分の『鑑定のルーペ』で鑑定してから服用しなければ、一切の効果が生じない。
注意:『路通しの薪』を得ている状態、または『路通しの薪』が発動してからリアル時間で1日経過するまでの間に再度使用すると、呪い『路通しの薪』は得られず、最大HP低下(最大HP×2)の状態異常が耐性を無視して付与される。
注意:『外天呪』と付く称号を持たないものが服用した場合、呪い『路通しの薪』は得られず、最大HP低下(最大HP×2)の状態異常が耐性を無視して付与される。
注意:『外天呪』と付く称号を持たないものが鑑定した場合、鑑定者は自身の最大HPと同じ値のダメージを受ける。
▽▽▽▽▽
『早速の危険物でチュねぇ……』
「私自身が使うものだから、何も問題はないのよねぇ」
簡単に言えば、発動のための条件が無くなった『死退灰帰』だろうか?
呪詛すら必要としないので、安心感はある。
「さて、回復アイテムも作らないといけないわね」
では次。
えーと、フェアリースケルズ、満腹の竜豆呪、虹亥の竜呪の胃袋、竜呪たちの骨の粉末、その辺を組み合わせて、一つのアイテムとしてまとめ上げていく。
△△△△△
『虹霓境究の外天呪』の鱗粉袋
レベル:50
耐久度:100/100
干渉力:150
浸食率:100/100
異形度:19
強烈な回復作用を有する粉塵が入った袋。
所有者が翼あるいは翅を用いると、その動きに合わせて、所有者とその周囲に効果を発揮する。
効果は1秒ごとに、対象の最大HPの1%回復、満腹度1回復(最大値以上に回復する事は無い)。
容量は16,777,215ポイント分あり、『満腹の竜豆呪』ハオマと『ダマーヴァンド』の回復の水、その両者へ同時に近づくと自動補給される。
注意:HPを回復する度に、回復したものは回復したHPの10%分の灼熱が付与される。
注意:満腹度を回復する度に、回復したものは回復した満腹度と同じ値の毒が付与される。
注意:『外天呪』と付く称号を持たないものが鑑定した場合、鑑定者は毒(256)を付与される。
注意:『外天呪』と付く称号を持たないものが所持した場合、所有者は毒(256)、灼熱(256)、沈黙(256)、理解(1)を10秒ごとに耐性を無視して付与される。
▽▽▽▽▽
「……。ああ、256の3乗から1引いた数なのね」
『1600万分とか、たるうぃ個人で使いきれる気がしないでチュね。ただこれ、瞬間回復量は案外少な目でチュか?』
「案外少な目ね。満腹度回復の方が重要だから問題ないけど」
『ああなるほどでチュ。最近は豆を食べてる隙があるかも怪しいでチュからねぇ』
はい完成。
無事にHPと満腹度、その両方へのリジェネアイテムとなった。
ザリチュの言う通り、相手が強敵であればあるほどに満腹度の回復は難しいので、HPを回復するだけのアイテムよりも満腹度を自動回復してくれるアイテムのが欲しかったのである。
「まだまだ作るわよー」
『まだあるんでチュか……』
では続けて。
ゲーミングジャーキー……じゃなかった、蛇界の竜呪の一本ジャーキーを基本として、その他スパイスや竜呪素材を組み合わせて、飲み込みやすい、親指の爪ぐらいの大きさの錠剤に仕上げていく。
△△△△△
『虹霓境究の外天呪』の呪詛薬・アウタータブレット
レベル:45
耐久度:100/100
干渉力:125
浸食率:100/100
異形度:1
『虹霓境究の外天呪』が巧みな技術によって作り上げた丸薬。
不味いが、効果は折り紙付き。
服用すると、服用者の最大HPの50%分のHPを回復する(最大9,999)。
注意:『外天呪』と付く称号を持たないものが鑑定した場合、鑑定結果は表示されず、このアイテムは消滅してしまう。
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『普通でチュね』
「普通ね。普通でいいんだけど」
無事にゲーミングジャーキーからゲーミング効果を抜いて、サイズも小さくなり、利便性を上げられたようだ。
いやまあ、味がアレになったり、回復量が少々物申したい感じにはなっているが、使いやすくはなっているのだから、良しである。
「後は氷結属性、浄化属性対策だけど……そっちは他のダンジョンやプレイヤーから素材を輸入しないと厳しいかしらね」
『厳しいと思うでチュよ。そもそも対策を立てても焼け石に水になりそうでチュが』
「それはそうかもだけど、挑戦してみないと分からないじゃない」
では次と行きたいが……こちらは検証班に頼んでみて、まずは素材を入手してもらわないと無理があるだろう。
ここ最近の私の活動範囲内に該当するような素材はなく、これまでに行った場所の該当素材ではたぶん質が足りない。
なので、今日のところは検証班に連絡を入れるだけにしておく。
「さて、待つ間に一つ検証をしましょうか」
『検証でチュか。なんでチュか?』
それでは次の工程に移るとしよう。
継戦能力と言うより、瞬間火力の方の話になるが、一つ確かめておきたいことがあるのだ。
と言う訳で、検証のための準備を始めた。