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947:トテロリ-1

「それじゃあトテロリの強化ね」

「分かったでチュ」

 いつもの作業を終えた私はトテロリの強化に移る事にする。


「で、何を使うでチュ?」

「メインにするのは骨と爪ね」

「ふむふむでチュ」

 私は竜呪たちの骨と爪を持ってくると、それらを含む呪いの密度を上げつつちょうどいいサイズになるように削り、トテロリにくっつけ、私の血と呪詛を馴染ませた上で削ってトテロリのサイズを戻す。

 という作業を何度も繰り返して、竜呪たちの呪いをトテロリに馴染ませていく。

 その上で虹石の眼宮で回収したオパールをトテロリに嵌めた。

 では呪おう。


「トテロリ。『虹霓境究の外天呪』である私の影。竜を宿し、我が血を宿すもの。新たなる姿を私の前に見せなさい」

 呪怨台に乗せていつも通りに呪った。

 そうして現れたのは蘇芳色に近い虹色の指輪であり、虹色に輝くオパールが二つ付いている。

 そして、そんな本体が見えなくなりそうなぐらいに濃密な虹色の呪詛を纏っている。

 では、鑑定をしてみよう。



△△△△△

『魔憑きの外忌輪呪』トテロリ

レベル:着用者のレベルと同じ

耐久度:100/100

干渉力:着用者の干渉力と同じ

浸食率:100/100

異形度:25


竜、そして外天呪に由来する呪いを含む、数多の呪詛を利用して制作された、異質な気配の指輪。

積極的に自己意思を示すような事は無いが、正当所有者の眷属として扱うべきではあるだろう。

この世ならざる者に通じる気配を漂わせており、正当な所有者以外が着用すれば、恐ろしい呪いに襲われる事だろう。


気絶完全無効化。


着用者に対して着用者以外から鑑定が行われた場合、鑑定の行使者に対して気絶(10×周囲の呪詛濃度)、UI消失状態(10+着用者のレベル)、恐怖(100+着用者の干渉力)、理解(1)を付与すると共に呪詛属性のダメージを与える、この効果は鑑定の行使者が死亡していても行われる。

称号『生ける呪い』の効果によって与えるダメージを強化。


周囲の呪詛濃度に応じて強度が向上する。

周囲の呪詛、エネルギーの一部を吸収する事で耐久度が回復する。

耐久度が0になっても、一定時間経過後に復活する。


呪いの塊であるその身は幾つかの呪術を習得しており、装備者がトリガーを引くことで使用が可能。

転移の呪い(イフセルブ)』『不明の呪い(イチラルセルブ)』『理解の呪い(ンヲンクセルブ)


注意:この道具をタル以外が着用した場合、1分ごとに着用者の最大HPと同値の恐怖が付与される。

注意:着用中、状態異常の疲労はあらゆる手段を用いても防御できない。

注意:着用者の異形度が19以下の場合、あらゆる被ダメージが増加する(中)。

注意:この装備を低異形度のものが見ると嫌悪感を抱く(極大)。

注意:着用者の呪詛干渉能力によっては聴覚異常が発生する。

▽▽▽▽▽



「ルナアポを使ってないのに理解を与えられるようになってる……」

「鑑定の際に何かを理解させてしまうんでチュかねぇ……」

 強化内容そのものは概ね順当と言っていいだろう。

 問題は……ルナアポが関わっていないのに、私専用デバフである理解を与える事が出来てしまう点か。

 いや、ルナアポ自体が私の力の結晶とも言えるし、そう考えれば別におかしくもないのか?

 うーん、よく分からない。

 ちなみに『転移の呪い』と『不明の呪い』のレベルと干渉力は私依存になっていた。

 で、新しい呪術である『理解の呪い』……読みが『未知の祝福』の逆さ読みである呪術の詳細だが……こんな感じだった。



△△△△△

理解の呪い(ンヲンクセルブ)

レベル:使用者のレベルと同じ

干渉力:使用者の使用時の干渉力と同じ

CT:20s-60s

トリガー:[詠唱キー]

効果:発動すると、使用者の呪詛支配圏内に存在する、使用者を認識した他者に対して、10秒ごとに(使用者の異形度+対象の異形度)%の確率で、理解(1)+気絶(使用者の異形度-対象の異形度×2)、恐怖(使用者の異形度-対象の異形度)、UI消失(使用者の異形度-対象の異形度)、魅了(畏怖)(使用者の異形度-対象の異形度)、出血(使用者の異形度×10-対象の異形度)のいずれかを発生させる。この効果を10分間維持する。


理解させます。主が如何なるものであるかを、ただ理解させます。

様々な感情を覚える事でしょうが、無知であるよりは良い事でしょう。


注意:使用する度に使用者のHPを使用者の異形度×10だけ消費する。

注意:使用するためには『不明の呪い(イチラルセルブ)』を発動している必要がある。

注意:使用するためには『竜活の(エサエルセド)呪い(セルブ)』を発動している必要がある。

注意:一度使用すると、ゲーム内時間で10分間経過するまで『理解の呪い』は再使用できません。

▽▽▽▽▽



「……」

「もはや認識するのもアウトでチュかー、そうでチュかー」

 なんと言うか実にエグイ呪術である。

 発動条件が使用中の私を認識する事なので、私の呪詛支配圏から逃れる以外では、防ぐ手段がほぼ存在しない。

 しかも発動確率は私の異形度だけでも、『竜活の呪い』発動中という条件的に40%には達するはず。

 うん、本当にエグイと思う。

 私以上の異形度を持つ相手には通用しないが……まあ、そんな相手は今となってはだいぶ限られているだろうし、そんな相手と戦う時には『転移の呪い』を常に準備しているだろうから、特に問題はないだろう。


「さて、これで残すはニネナナだけでチュかね」

「常に身につけているものと言う意味ではそうなるわね」

 まあ、いずれにしても強化されたのは事実で、追加されたデメリットの類は特にない。

 呪詛干渉力が落ちている時にトテロリの笑い声が聞こえてくる程度ならデメリットとは呼ばないだろう。

 では、装備品枠では最後とも言えるニネナナの強化に移るとしよう。

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