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931:ブリドパレス-4

「さて、無事に戻ってこれたことだし、卵雲の竜呪の解体と行きましょうか」

『でチュねー。あ、それはそれとして『瘴弦の奏基呪』はどうしておくでチュ?』

「今日のところはそのままで。明日以降あるいは壊されたら無しで」

『分かったでチュ』

 出血の眼宮から戻ってきた私は、自分のセーフティーエリアに戻ると、余計なものや壊れて困るものが周囲にない事を確認した上で卵雲の竜呪をドゴストから取り出す。


「さて、念のためにこの状態で一度鑑定しておきましょうか」

『でチュね』

 では、まずは卵そのものの鑑定。



△△△△△

卵雲の竜呪の死体

レベル:40

耐久度:100/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


生命活動を停止した卵雲の竜呪。

爆発する可能性は依然秘めており、過度な衝撃を与えず、適切に開けなければ非常に危険。

この世ならざる存在である竜の死体は、未知なる価値に溢れている。


注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、出血(5,372)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽



「ふぅ、事前に鑑定しておいて、本当に良かったわね……」

『まったくでチュねぇ……』

 どうやら普通の卵を割って中身を出そうとするような振る舞いをしていたら、爆発していたらしい。

 過度な衝撃と言うのがどの程度なのかは分からないが、考えて手を出す必要があるだろう。

 帰り道にも回収した分もあるので、幾つかは駄目にしても大丈夫だが。


『で、どう割るでチュ?』

「そうねぇ……」

 だがそれは無駄遣いをしてもいいと言う訳ではない。

 やはり一つの無駄なくいただけるなら、いただきたいものである。


「こうしましょうか。『淀縛の邪眼・3(タルウィボンド)』」

 と言う訳で、まずは『淀縛の邪眼・3』を使用して、卵雲の竜呪の干渉力を適切な範囲で下げておく。

 これで爆発したとしても、その被害は大幅に抑えられるはずだ。


「そして……ルナアポ!」

『すっかり調理器具でチュねぇ……』

 で、ルナアポを使って、卵雲の竜呪の殻の中でも端の方をほんの僅かだけ切り裂く。

 結果、干渉力の暴力によってルナアポは抵抗なく卵雲の竜呪を切り裂き、爆発も起きなかった。

 とても滑らかな切り口が見えている事からして、切り裂いた部分以外にはほぼ衝撃がいかなかったという事だろう。


「いいじゃない。使うだけマシよ。さて中身は……」

『黄身と白身でチュね』

「そうねぇ」

 それでは肝心の中身と言うか、解体の結果。

 回収できたのは、黄身、白身、それに卵殻の三つである。

 鑑定結果はこんな感じ。



△△△△△

卵雲の竜呪の黄身

レベル:40

耐久度:100/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


卵雲の竜呪の黄身。

膨大な量のエネルギーを秘めており、竜と言う存在がいかに強大なのかをよく示しているが、人が食べれば一口で呪いそのものと化すだろう。

この世ならざる存在である竜の黄身は、この世ならざる美味でもある。


注意:異形度19以下の存在が食べると、100%の確率でランダムな呪いを異形度が20になるまで複数個、恒常的に得ます。

注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、出血(2,500)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

卵雲の竜呪の白身

レベル:40

耐久度:100/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


卵雲の竜呪の白身。

膨大な量のエネルギーでも制御できる力を秘めており、竜と言う存在がいかに優れているのかをよく示しているが、人が食べれば一口で呪いそのものと化すだろう。

この世ならざる存在である竜の白身は、この世ならざる美味でもある。


注意:異形度19以下の存在が食べると、100%の確率でランダムな呪いを異形度が20になるまで複数個、恒常的に得ます。

注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、出血(2,500)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

卵雲の竜呪の卵殻

レベル:40

耐久度:100/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


卵雲の竜呪の突起物が生えている黒い卵殻。

中身を守るには心もとない装甲しか持っていないが、強い認識阻害を突破してきた敵対者を、己の命と引き換えに葬るには十分な硬さを持つ、覚悟の物質。

この世ならざる存在である竜の始まりは、知れるものが極僅かな物でもある。


注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、出血(2,500)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽



「ふむふむ……。とりあえず目玉焼きにしましょうか。『灼熱の邪眼・3(タルウィスコド)』」

『あ、生ではいかないんでチュね』

「まあ、卵ならいけそうではあるけれど、念のためにね」

 鑑定は無事にできたので、とりあえず黄身と白身をフライパンに出し、『灼熱の邪眼・3』で適度に過熱。

 綺麗な目玉焼きを作ると、早速食べてみる。


「うーん、実に濃厚な味ねぇ……」

 そうして出来上がったのは見た目にも美味しそうな目玉焼きであり、その味は極上と言って差し支えなかった。

 これほどの卵ならば、他にも色々と使えるかもしれない。


≪呪い『劣竜式呪詛構造体』が変化し『竜式呪詛構造体』になりました≫

「そして遂にね。劣の字が取れたわ」

『本当に遂にでチュねぇ……』

 そして待ち望んでいたアナウンスが流れた。

 さて『竜式呪詛構造体』に変化したことで何が変わったのか、そちらも試したいところではあるが……残念ながら時間である。


「まあ、確認は明日以降ね」

『分かったでチュ』

 私はとりあえず自分の体に問題が生じているかだけ確認。

 ログアウト中に問題が生じる可能性がない事を確認すると、ログアウトした。

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