289:ザリチュリインフォース-1
「ふうん、分かってはいたけど、かなりの量と種類ね」
『まあ、たるうぃがこれまでに積み重ねてきた強化に匹敵するだけの強化を施そうと考えている以上、こうならざるを得ないのでチュよ』
私はザリチュから聞き出した、ザリチュの強化のために必要な素材一覧を目にしつつ、思わず呟いていた。
まあ、ほぼ全ての素材が見たことがある物なので、多少は時間がかかっても、集めること自体は滞りなく出来るだろう。
「じゃあ、午後から効率よく集めましょうか」
『つまり、これから昼までに効率よく集めるためのアイテムでチュね』
だがそれは効率よくと言う意味ではない。
だから、効率よく必要なアイテムを回収するためのアイテムを作っていく。
『袋作りはもう慣れたものでチュね』
「そうね。糸紡ぎも機織りもだいぶ慣れたわ」
一つ目は熱拍の幼樹呪の糸を使った袋。
以前作った飢渇の泥呪を入れるための袋よりもサイズを大きくして、その上で呪怨台に乗せて呪い、飢渇の泥呪に限って大量に入れられるようにした。
「これは……厄介ね」
『本当に最低限の加工しか許容しないんでチュねぇ』
二つ目、熱拍の樹呪の葉を利用した対火炎攻撃用マント。
が、これの作成には苦戦した。
「葉を切り刻んで、折って、糸を通して服の形にする。そして呪った。これだけなのに見事に灰になったわね」
『頭巾型は作れたでチュが、これだと空は飛べなくなるでチュね』
「頭巾と言うかフード付きのコートに近いけど……まあ、これはこれで使えるからいいわよ」
まず普通に服を作ろうとしたら、呪怨台に乗せたところであっさり灰になり、風化してしまった。
久しぶりの失敗である。
これにイラっと来て、私は葉を半分に切って、後は折っただけのフード付きコート……いや、もはやただの蓑と言った方がいいか。
とりあえず頭の上から足首の下まで丈がある物を作ったのだが、これはあっさり出来上がった。
だが、このコートは背中に穴がないので翅を出せず、それどころか手足も外に出せないので、戦闘能力も大きく下がる物になってしまった。
『で、これはどうするんでチュ?』
「うーん、ぶっちゃけプレイヤーだとマントデアぐらいしか使えないと思うのよね……」
『まあ、このサイズだとそうなるでチュよね』
私はこれにもイラっと来て、残った葉はもうただただ紐を通しただけのマントにしてしまった。
結果、私でも一応使えるサイズのマントが一つと、マントデア以外には決して使えないような巨大マントが出来上がってしまった。
なお、性能はこんな感じである。
△△△△△
熱拍の樹呪の葉蓑
レベル:23
耐久度:50/50
干渉力:125
浸食率:100/100
異形度:17
熱拍の樹呪から採取できる葉を加工して作った蓑。
灼熱無効化(100)、灼熱に対して極めて高い耐性、灼熱に対して極めて高い抵抗性を有する。
火炎属性攻撃無効化(大)、火炎属性攻撃に対する極めて高い耐性を有する。
身に着けているものの全身と装備品に、これらの効果の一部が発揮される。
注意:浄化属性の攻撃を受けると、残りの耐久度に関わらず破損、風化、消滅します。
▽▽▽▽▽
△△△△△
熱拍の樹呪の葉マント
レベル:23
耐久度:50/50
干渉力:125
浸食率:100/100
異形度:17
熱拍の樹呪から採取できる葉を加工して作ったマント。
灼熱無効化(100)、灼熱に対して極めて高い耐性、灼熱に対して極めて高い抵抗性を有する。
火炎属性攻撃無効化(大)、火炎属性攻撃に対する極めて高い耐性を有する。
葉の表面に触れた火炎属性攻撃を100%、電撃属性と呪詛属性を50%反射する。
注意:浄化属性の攻撃を受けると、残りの耐久度に関わらず破損、風化、消滅します。
▽▽▽▽▽
「まあ、葉蓑は例の球体回収に。私サイズの葉マントは適切に使えば、この後の回収で使えるから問題はないわ」
『マントデアサイズの葉マントは?』
「機会があればマントデアに売りつけましょう。そうね。前に作った毒頭尾の蜻蛉呪の翅剣も売れるならスクナに売りましょうか」
『あ、それはいいでチュねぇ』
どれも素晴らしい特殊能力は持っていて、適切に使えば戦闘をかなり有利に進められるだろう。
だが耐久度は熱拍の樹呪の葉の性質もあってか、非常に低い。
取り扱いには十分な注意が必要だろう。
後、レベル不足による重量増大もあるので、そういう面でも注意が必要か。
「えーと、後は……沈黙と干渉力低下対策をしましょうか」
『そう言えば『
「それは確かにそうね」
私は喉枯れの縛蔓呪の蔓から取り出した繊維、垂れ肉華シダの蔓の繊維を組み合わせて作った糸でチョーカーを作る。
そして、喉枯れの縛蔓呪の葉を磨り潰したものと毒液を混ぜた液体で染色。
更には喉枯れの縛蔓呪の棘を適切な大きさに切断、体に刺さらないように加工したものをチョーカーに差し込む。
この上で呪怨台に乗せて呪った。
なお、いつも通りに留め具は毒頭尾の蜻蛉呪の甲殻を加工したものである。
で、完成品はこうなった。
△△△△△
喉枯れの縛蔓呪のチョーカー
レベル:21
耐久度:100/100
干渉力:115
浸食率:100/100
異形度:17
喉枯れの縛蔓呪の素材から作られたチョーカー。
毒無効(1)、毒に対して僅かな耐性、毒に対して僅かな抵抗性を有する。
沈黙無効化(5)、沈黙に対して中程度の耐性、沈黙に対して僅かな抵抗性を有する。
干渉力低下無効化(5)、干渉力低下に対して中程度の耐性を有する。
周囲の呪詛濃度に応じて強度が向上する。
身に着けているものの全身にこれらの効果の一部が発揮される。
注意:着用者の異形度が14以下の場合、1時間ごとに(15-着用者の異形度)だけHPが減少する
注意:この衣服を低異形度のものが見ると嫌悪感を抱く(小)
▽▽▽▽▽
「これは常用でいいかしらね」
『いいと思うでチュよ。首を守れるだけでも優秀でチュ』
普通に有用な装備品が出来た。
毒関係はオマケに近いが、目的である沈黙と干渉力低下に対するアイテムとしては十分なものだろう。
と言うわけで、着用した。
なお、見た目については、蘇芳色と黒のチェック柄である。
「さて、午後からは『熱樹渇泥の呪界』ね」
『でっチュねー』
こうして必要な物を作り終えたところで、私は一度ログアウトした。
△△△△△
『虹瞳の不老不死呪』・タル レベル21
HP:1,200/1,200
満腹度:138/150
干渉力:120
異形度:20
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『脚縛使い』、『恐怖使い』、『小人使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を知る者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『???との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』
呪術・邪眼術:
『
呪法:
『
所持アイテム:
呪詛纏いの包帯服、熱拍の幼樹呪の腰布、『鼠の奇帽』ザリチュ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、喉枯れの縛蔓呪のチョーカー、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、タルの身代わり藁人形、蜻蛉呪の望遠鏡etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール設置
呪怨台
呪怨台弐式・呪術の枝
▽▽▽▽▽
10/14誤字訂正