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276:ガベージボックス-1

本日二話目です

「……」

 金曜日はまず『熱樹渇泥の呪界』にちょっと行ってきて、邪眼の性能確認をしつつ、幾つか必要なアイテムを回収してきた。

 そして、それらの整理が済んだところで、『飢渇の邪眼・1(タルウィハング)』習得時に荒らしてしまった『ダマーヴァンド』第三階層が概ね戻ったことを確認。

 その上で、邪眼習得による変化を確かめていった。

 確かめていったのだが……まずいものが見つかってしまった。


『これは表に出せないでチュね』

「そうね。表に出せないわ」

 私の手の中には小さな萎びた芋がある。

 皮は黒く、中は白。

 萎びていることに目をつむれば、きちんと調理する事で、美味しい料理が出来上がりそうな見た目である。

 そんな芋の鑑定結果がこれである。



△△△△△

『ダマーヴァンド』の飢渇芋

レベル:15

耐久度:100/100

干渉力:100

浸食率:100/100

異形度:16


『ダマーヴァンド』で生み出された黒い皮の萎びた芋。

この世で最高のスパイスとは何か? それは空腹である。

食べると満腹度が大きく減少する。

注意:『ダマーヴァンド』または『ダマーヴァンド』と類似した環境でしか生育しません。

▽▽▽▽▽



「幸いなことに斑豆と同じで『ダマーヴァンド』の外では基本的に生育しない。むやみやたらと広がる事はなさそうね」

『でチュねー』

 分かっている。

 量を調節して、極少量の粉末を食事に混ぜるなどすれば、食事を美味しくしたり、ダイエットを促したりできるのだろう。

 だが、万が一にもこれが濫用されれば……正直、碌な事にはならないだろう。

 食っても食っても飢えていくのだから。

 幸いな事に、普通のジャガイモ数十個につき一つあるかないかでしか混入しないし、見た目も全くの別物なので、管理は秘匿含めてそう難しくはない、か。


「うーん、無限かつ安全に処理できるごみ箱を作った方がいいかもしれないわね」

『肯定するでチュ。他にも危険物はあるわけでチュし、安全な処理方法は確立しておいた方がいいと思うでチュよ』

 とは言えだ。

 気が付けばカースの危険な部位を焼いて出た灰も相応の量が貯まっている。

 カースの灰には色々と使い道があるし、さっき回収してきたアイテムにも勿論使い道はあるが、使い道が見いだせなくなったアイテムの最終処分をどうするかは考えておいた方がいいだろう。

 放射性廃棄物ほどではないが、危険なのは確かなのだから、その辺に捨てるわけにはいかないのだし。


「じゃあ、ポーションケトルと四つの輪の強化は後回しで。まずはゴミ箱ね」

『でっチュねー』

 なお、邪眼の性能確認結果は概ね予想通り。

 予想から外れたのは、乾燥の状態異常が水を飲むなどして対処しないと、耐久度、HP、満腹度といったものにほんの少しずつ影響を与えて来る、想像以上に嫌らしい呪術であったことくらいだ。

 『ダマーヴァンド』の植物類についても大体予想通りで、茶葉っぽいものがあったことに、マンドラゴラモドキの根菜の葉がちょっと強力になったことと、沈黙または毒の状態異常を与える植物の勢力が少しだけ強まったくらいである。


「えーと……そうね。毒噛みネズミの毛皮袋は使いましょうか」

 さて、ゴミ箱についてである。

 基礎になるのは、今使っている毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋の前に使っていたインベントリ、毒噛みネズミの毛皮袋だ。

 この袋には入れたものを24時間取り出さないでいると、消滅する機能が付いている。

 しかし、これをこのままゴミ箱にするのは……消えた物が本当にそのまま消えているのかと言う意味で、大きな危険性を伴っている。


「これでよし」

『加工。手慣れたでチュねぇ』

「まあ、なんだかんだで必要な物はずっと自分で作っているわけだし。コレぐらいは慣れるわよ」

 と言うわけで、毛皮袋に熱拍の幼樹呪の糸で細かく刺繍を施した上で、飢渇の泥呪の砂を毛皮袋の中に注ぎ込む。

 で、呪怨台に乗せて、カース素材であっても入れたものを安全に処理できるように、『ダマーヴァンド』の保有するDCに出来るようにと思いを込めていく。

 勿論、ゴミ箱なので、外への持ち出しや持ち運びは考えない。


「では鑑定っと」

 そうして出来上がったのは……まあ、見た目はほぼ変わらずの袋だった。

 とりあえず『鑑定のルーペ』を向ける。



△△△△△

呪詛処理ツール-『ダマーヴァンド』

レベル:20

耐久度:100/100

干渉力:110

浸食率:100/100

異形度:15


入れたアイテムを呪詛と土に分解して『ダマーヴァンド』に供給するためのツール。

アイテムを袋の中に入れる事で使用する。

入れられるアイテムは非生物かつ意思を持たない物に限定され、入れてから24時間経過すると処理される。

処理されて作られた呪詛と土は『ダマーヴァンド』内の何処かへランダムかつ自動的に排出される。

注意:拠点の所有者のレベル+10以上のレベルを持つアイテムは入れられません。

▽▽▽▽▽



「割といい感じかしらね?」

『いい感じだと思うでチュよ。ざりちゅは弾いてくれるみたいでチュし。間違えても、直ぐに気づけば取り返せるでチュ。ゴミ箱としては割と理想的だと思うでチュよ』

 とりあえずセーフティエリア……には設置できないようなので、第三階層にある解体場に、相応の足場を用意して設置しておく。

 これで今後、扱いに困った素材の最終処分に困る事はないだろう。


「じゃあ、ポーションケトルの改良をしましょうか」

『でっチュー』

 では、次の作業に移るとしよう。



△△△△△

『蛮勇の呪い人』・タル レベル20

HP:1,190/1,190

満腹度:132/150

干渉力:119

異形度:19

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『脚縛使い』、『恐怖使い』、『小人使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの支配者』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を知る者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『呪いを指揮する者』、『???との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・2(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・1(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・1(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・2(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・1(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・1(タルウィミーニ)』、『淀縛の邪眼・1(タルウィボンド)』、『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』、『飢渇の邪眼・1(タルウィハング)』、『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)

呪法:

呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)


所持アイテム:

呪詛纏いの包帯服、熱拍の幼樹呪の腰布、『鼠の奇帽』ザリチュ、緑透輝石の足環、赤魔宝石の腕輪、目玉琥珀の腕輪、呪い樹の炭珠の足環、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、ポーションケトル、タルの身代わり藁人形、蜻蛉呪の望遠鏡etc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール設置


呪怨台

呪怨台弐式・呪術の枝

▽▽▽▽▽

10/08誤字訂正

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