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249:ドラゴンフライミート-2

「ログインっと」

『今日は二度目でチュねー』

 金曜日。

 朝は昨日調理した毒頭尾の蜻蛉呪の肉の確認。

 昼は大学でザリアと話し合い、私、ザリア、クカタチの三人で8月最初の日曜日にスクナの道場に行くことを決定し、見学を申し込んだ。

 で、大学の講義が終わって夜、今日の活動を本格的に開始する。


「とりあえず肉の確認ね」

『でっチュねー』

 さて、朝一時点では鑑定はせず、妙な反応を見せていないかだけ確認したのだが、今は『鑑定のルーペ』を使ってしっかりと確認していこう。



△△△△△

毒頭尾の蜻蛉呪の煮込み肉

レベル:20

耐久度:100/100

干渉力:110

浸食率:100/100

異形度:15


毒頭尾の蜻蛉呪の肉をひたすら煮込んだだけの肉。

食べると満腹度が回復する。

肉の正体を知らなければ、普通の料理にしか見えないだろう。

注意:食べると8%の確率でランダムな呪いを恒常的に得て、異形度が1上昇します。

▽▽▽▽▽


△△△△△

毒頭尾の蜻蛉呪の乾燥肉

レベル:20

耐久度:100/100

干渉力:110

浸食率:100/100

異形度:15


毒頭尾の蜻蛉呪の肉を乾燥させた肉。

食べると満腹度が回復する。

肉の正体を知らなければ、普通の料理にしか見えないだろう。

注意:食べると8%の確率でランダムな呪いを恒常的に得て、異形度が1上昇します。

▽▽▽▽▽


△△△△△

毒頭尾の蜻蛉呪の燻製肉

レベル:20

耐久度:100/100

干渉力:110

浸食率:100/100

異形度:15


毒頭尾の蜻蛉呪の肉を藁で燻した肉。

食べると満腹度が回復する。

肉の正体を知らなければ、普通の料理にしか見えないだろう。

注意:食べると8%の確率でランダムな呪いを恒常的に得て、異形度が1上昇します。

▽▽▽▽▽



『全滅でチュねぇ』

「全滅ねぇ」

 鑑定結果に大した違いはなし。

 肝心の注意事項に一切の変更が見られない事からして、単純な調理では毒頭尾の蜻蛉呪の肉に含まれている呪いに変化を与えることは出来ない、と言う事だろう。


「んー……呪いを抜くにしても、呪いに方向性を持たせるにしても、呪怨台を利用する方がよさそうかしらね」

『まあ、それが安定するとは思うでチュ』

 となれば餅は餅屋ではないが、呪いを扱うための道具として呪怨台を用いり、何かしらの加工を施すことになりそうか。

 で、問題は調理前と調理後のどちらか、あるいは両方で呪怨台を利用した方がいいのか、利用するとしてどう利用するのか、と言うところか。

 とりあえずこの肉については焼却処分をして……いや、呪いの塊であることに変わりがないのなら、この後の作業に利用できるか。


『たるうぃ?』

「先に別の作業をしましょうか」

『何か別の事に利用するんでチュね』

「そういう事ね」

 私は毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮を二枚持ってくる。

 この毛皮は毒頭尾の蜻蛉呪の頭部の毛皮であるため、目、口、耳、鼻と言った部分に当たる場所に穴がある。

 なので、一枚の毛皮としてそのまま利用することは難しい。


「上手い感じに裂いて、長方形の布にして……」

 と言うわけで裁縫用アイテム一式を使って裁断。

 一つの毛皮を複数枚の細長い毛皮にしていく。


「垂れ肉華シダの蔓から取れた繊維と、熱拍の幼樹呪の樹皮から取れた繊維。これをより合わせて糸にしてっと」

『あ、使うんでチュね』

「お試しとしてね。これで上手くいくようなら、本格的に量産を試みるわ」

 細長い毛皮を特製の蘇芳色の糸で縫い合わせて、袋を作っていく。

 二種類の植物繊維をより合わせて作った糸の使い勝手は悪くはない。

 細くとも強靭で、肌触りもいい。

 やっぱり布にして、次の呪詛纏いの包帯服に利用したいところだ。

 あ、よく考えたら、糸にした時点で呪怨台で呪って、それから利用した方がよかったかもしれない。

 次はそうしておこう。


「よし袋は完成」

 そうやって考えている内に毛皮袋が完成。

 袋の口を閉じる紐としては垂れ肉華シダの蔓を採用して、通しておく。

 で、後は呪怨台に乗せて呪うわけだが……。


「では、『灼熱の邪眼・1(タルウィスコド)』」

 私は『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』を使用した『灼熱の邪眼・1』を使って、三種類の毒頭尾の蜻蛉呪の肉を焼き、灰に変える。


「漬け込みっと」

『呪いの増幅。インベントリにするためのエネルギー源を確保。と言うところでチュか?』

「そういう事ね」

 そうして出来た灰と毒液を混ぜ合わせて、今作った袋を漬け込み、よく揉み込んでいく。

 呪詛濃度干渉もして、毛皮袋の毛の一本一本にまでしっかりと呪いを染み込ませていく。


「では、呪怨台に乗せてっと」

 私は液から袋を取り出すと、距離を取った『灼熱の邪眼・1』によって効率よく乾燥させる。

 で、乾燥が終わったところで、袋に穴がない事や、縫い合わせた部分に異常がないことを確認。

 その上で呪怨台に乗せる。


「インベントリーインベントリー、大容量の新しいインベントリー、熱拍の幼樹呪を丸ごと納められるようなインベントリー、多少の癖はあってもいいから丈夫なインベントリー……」

 いつものように霧が集まってきて、袋は霧に包みこまれ、それから暫く経ったところで霧が晴れる。

 後には蘇芳色の小さな袋が残されていた。

 と言うわけで鑑定してみる。



△△△△△

毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋

レベル:15

耐久度:100/100

干渉力:110

浸食率:100/100

異形度:10


毒頭尾の蜻蛉呪の素材を使って作られた袋。

どれほど危険な物でも中に入れてしまえば、取り出さない限りは安全。

どれほど重い物でも中に入れてしまえば、重量はなくなる。

どれほど大きな物でも、一部が中に入れば、容量が許す限りは入れられる。

その容量は小さな家ならば、丸ごと入れる事も不可能ではないほど。

注意:ゲーム内時間で24時間以上、連続で入れていた物質は消滅します。

注意:入れた者が忘れた物質は取り出せません。

注意:HP回復、満腹度回復、状態異常回復の効果のみを有するアイテムを中に入れると、毒によって汚染されます。

▽▽▽▽▽



『随分と癖が強い代物になったでチュね』

「みたいね。まあ、HP回復は元々有毒のポーションケトルしか持ってない、満腹度回復の斑豆は別の袋、状態異常回復は元々持ち合わせがないから、問題はないのだけど」

 なんにせよ、望んでいたスペックのアイテムは出来た。

 今まで使っていた毒噛みネズミの毛皮袋はマイルームに置いていき、今後はこちらをメインのインベントリにするとしよう。


「さて、それじゃあ熱拍の幼樹呪を狩りに行きましょうか」

『でっチュねー』

 そして私は『熱樹渇泥の呪界』へと向かった。




△△△△△

『蛮勇の呪い人』・タル レベル19

HP:1,180/1,180

満腹度:108/110

干渉力:118

異形度:19

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・2』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・1』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『脚縛使い』、『恐怖使い』、『小人使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの支配者』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を知る者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『呪いを指揮する者』、『???との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・2(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・1(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・1(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・1(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・1(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・1(タルウィミーニ)』、『足縛の邪眼・1(タルウィフェタ)』、『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』、『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)

呪法:

呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)


所持アイテム:

呪詛纏いの包帯服、『鼠の奇帽』ザリチュ、緑透輝石の足環、赤魔宝石の腕輪、目玉琥珀の腕輪、呪い樹の炭珠の足環、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、ポーションケトル、タルの身代わり藁人形、蜻蛉呪の望遠鏡etc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門設置


呪怨台

呪怨台弐式・呪術の枝

▽▽▽▽▽

09/13誤字訂正

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