238:セパレトドラゴンフライ-2
本日二話目です。
「ふんふふーん」
『チュッチュラー』
私は毒頭尾の蜻蛉呪の肉の調理は少し拘る事にした。
せっかくのカースの肉と言う、珍しいを通り越して未知なるものなのだから、相応の手間暇はかけるべきだと判断したのだ。
と言うわけでメニューは三つ。
「灰汁を取ってー」
『灰汁と毒液の差が殆ど分からないでチュけどね』
一つは肉と野菜を毒液で煮たもの。
臭み取りに使える香草も入れているので、たぶんハズレにはならないだろう。
現時点でも、いい感じに煮えている。
「肉を焼いてー」
『シンプルに塩だけで行くでチュ』
一つは肉を焼いただけのもので、ステーキに近いか。
こちらは肉の素の味を確かめるために、塩を振る以外の味付けは控えている。
出来上がったら、まずはこれを食べてみよう。
「肉を揚げてー」
『中までじっくりと火を通すでチュよー』
一つは小麦粉と香草をまぶした上で油へ投入し、揚げたもの。
唐揚げに近いだろうか?
うーん、卵が欲しくなる。
後、揚げるのなら、甲殻付きで揚げるのもありだったか。
「はい、完成っと」
『うーん、元を知らなければ美味しそうでチュねぇ』
と言うわけでシチュー、ステーキ、唐揚げの出来上がりである。
毒頭尾の蜻蛉呪の肉の推奨レベルが20と高かったせいで、それなりに時間がかかったが、何とかなったようだ。
見た目は……うん、特に違和感はない。
毒液の影響で、ちょっとシチューが緑色がかっているぐらいだ。
あ、念のために鑑定もしておこうか。
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪のシチュー
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
毒頭尾の蜻蛉呪の肉を元に作られたシチュー。
食べると満腹度が回復する。
肉の正体を知らなければ、普通の料理にしか見えないだろう。
▽▽▽▽▽
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪のステーキ
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
毒頭尾の蜻蛉呪の肉を元に作られたステーキ。
食べると満腹度が回復する。
肉の正体を知らなければ、普通の料理にしか見えないだろう。
▽▽▽▽▽
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪の唐揚げ
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
毒頭尾の蜻蛉呪の肉を元に作られた唐揚げ。
食べると満腹度が回復する。
肉の正体を知らなければ、普通の料理にしか見えないだろう。
▽▽▽▽▽
「変な記述はないわね」
『でチュね』
私はステーキから順番に口へと運んでいく。
やはり臭みのようなものはある。
だが不味くはない。
近い味の食べ物を言えと言われると悩ましいが、哺乳類と甲殻類の中間のような感じか?
まあ、見た目通りとも言える。
≪タルのレベルが18に上がった≫
≪称号『ゲテモノ食い・3』、『暴飲暴食・3』を獲得しました≫
△△△△△
『ゲテモノ食い・3』
効果:不味いと判断される食べ物の味が良くなる(小)、食事による異形度上昇の可能性を知ることが出来るようになる。
条件:一般的でないと判定される食べ物を一定量以上食べる、危険なカースの肉を食べる。
生きた呪いの塊。そういう食べ物もあるのか!
人を捨てたくらいで食べられるなら、願ってもないことだ。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『暴飲暴食・3』
効果:満腹度を直接低下させる攻撃に耐性を得る(中)
条件:満腹度がMAXの状態で一定量以上食べる
まるで底なし沼のようだ。全ての物が引きずり込まれて消えていく。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『蛮勇の呪い人』・タル レベル18
HP:1,170/1,170
満腹度:110/110
干渉力:117
異形度:19
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・2』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・1』、『呪物初生産』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『脚縛使い』、『恐怖使い』、『小人使い』、『呪いが足りない』、『呪術初習得』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの支配者』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を知る者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『呪いを指揮する者』、『???との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』
呪術・邪眼術:
『
所持アイテム:
毒鼠のフレイル、呪詛纏いの包帯服、『鼠の奇帽』ザリチュ、緑透輝石の足環、赤魔宝石の腕輪、目玉琥珀の腕輪、呪い樹の炭珠の足環、鑑定のルーペ、毒噛みネズミのトゥースナイフ、毒噛みネズミの毛皮袋、ポーションケトル、タルの身代わり藁人形etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門設置
呪怨台
呪怨台弐式・呪術の枝
▽▽▽▽▽
「もがっ!?」
『あ、こんなところで上がるんでチュか』
まさかのレベルアップである。
いや、レベルが上がるのはいいのだが、『ゲテモノ食い・3』にある食事による異形度上昇の可能性ってどういう事よ。
は!? もしかしなくてもサクリベス地下に居た海月人間的なアレか?
毒頭尾の蜻蛉呪のような鼠頭とか、トンボの胴体とか、蠍の尻尾になっていた可能性があると言う事か?
怖いわっ! うん、今後は気を付けて食べよう。
たぶんだが、今回は称号取得があるから確定セーフになっていたんだろうし。
「……」
あーでも待てよ? 私は以前にもカロエ・シマイルナムンの体の一部を呪術習得のために食べている。
その時には『ゲテモノ食い・3』の取得はなかったし、特に危険性もないようだった。
条件にもわざわざ、“危険な”カースの肉を食べると書いてある。
となると、毒頭尾の蜻蛉呪の肉だけが危険物と言う事か?
『どうしたでチュか?』
「いえ、検証の為にも少しは残しておくべきだったなと思ってね。明日ログインする頃には腐ってしまうからと思って、全部食べたのは失敗だったわ」
ああいや、ゲテモノの量が今までは足りていなかった可能性もあるのか。
カロエ・シマイルナムンはあまり食べてないし。
今日は大量に食べているしで。
「うーん、明日も毒頭尾の蜻蛉呪を狩って、その時に得た肉で色々と調べるしかないわね」
『気を付けるでチュよー』
「言われなくても」
異形度が高くなるとどうなるのか、どういう形で知れるのか、どうやれば危険を取り除けるのか。
なんにせよ材料不足で、今は知ることが出来ないか。
仕方がない、今日はもう時間だし、明日に回そう。
「あ、地味に呪限無の石門がツール扱いで追加されてた」
『まあ、妥当ではあるでチュね』
なお、呪限無の石門がツール扱いで追加されているのは納得がいくので、それ以上は気にしないでおく。
09/06誤字訂正