237:セパレトドラゴンフライ-1
本日一話目です
「一応鑑定しておきましょうか」
『でチュね』
『ダマーヴァンド』に戻ってきた私は、いつの間にか部屋に追加された赤い石板に『鑑定のルーペ』を向ける。
△△△△△
呪限無の石門
レベル:1
耐久度:∞/∞
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:16
呪限無に繋がる空間の歪みが石板と言う形で目視できる状態になっているもの。
現在は開門中。
▽▽▽▽▽
「空間の歪み、ね」
石板に手をかざすと、『熱樹渇泥の呪界』に再び行くかを問う表示が出た。
どうやら特別な対価の類は必要ないようだ。
『呪詛がこっちに流れ込んできているでチュね』
「まあ、呪詛濃度差が圧倒的だものね」
で、フレーバーテキストにある開門中の言葉通り、今は繋がっている状態であり、これを放置しておくと、いずれは『熱樹渇泥の呪界』からカースが流れ込んでくることになるのだろう。
次に行く時まで、閉じておいた方がよさそうだ。
「『
私は門周囲の呪詛濃度を調整しつつ、閉門の為のワードを唱えて、呪限無の石門を閉門状態に移行させておく。
これで大丈夫だろう。
あ、再び開門する時は……ワードを唱えるだけでいいのか。
どうやら、特別な対価が必要なのは初回限定であるらしい。
「さて、今日の成果を確認しましょうか」
『でチュねー』
私は第三階層からセーフティーエリアに移動、そこからマイルームに移動する。
そして、『熱樹渇泥の呪界』で手に入れたアイテムを毛皮袋の外に出す。
「えーと、樹脂は十分な量が手に入るまで放置。樹皮はしばらく毒液に漬けて、繊維を取り出せるようにしておきましょうか」
まず熱拍の幼樹呪関係のアイテムを処理。
こちらはまだまだ量が足りないので、次回以降に集めておきたい。
「次に毒頭尾の蜻蛉呪ね」
私は毒頭尾の蜻蛉呪の死体を、マイルームに設置されているモンスター解体用アイテム一式によって、まずは大まかな部位ごとに大きく切り分けていく。
そして『鑑定のルーペ』を使用しつつ、更に細かく分けていく。
毒頭尾の蜻蛉呪は『熱樹渇泥の呪界』全体で見れば雑魚モンスターで間違いないのだが、流石はカースと言うべきか、得られるものは多かった。
これらのアイテムが剥ぎ取れたのだ。
・毒頭尾の蜻蛉呪の毒歯
・毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮
・毒頭尾の蜻蛉呪の甲殻
・毒頭尾の蜻蛉呪の翅
・毒頭尾の蜻蛉呪の肉
・毒頭尾の蜻蛉呪の毒尾
うーん、死体の状態の都合で、四枚だった翅が三枚しか取れなかったり、三本あった毒尾が二本しかなかったり、頭の毛皮の状態が悪かったりするのが悲しい所。
それと、内臓は元から無かったので仕方がないとして、他にも得られるアイテムがないのか気になるところだ。
やはり今度は完全な状態の毒頭尾の蜻蛉呪の死体を手に入れたいところだ。
で、鑑定結果だが、こういう事になっている。
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪の毒歯
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
毒頭尾の蜻蛉呪が持つ、鋭く、禍々しい毒の歯。
傷つけた相手に毒を与える。
与ダメージ時:毒(周囲の呪詛濃度×2)
▽▽▽▽▽
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
毒頭尾の蜻蛉呪のネズミのような頭の毛皮。
斬る、刺す、叩くのいずれに対しても耐性を持つ。
▽▽▽▽▽
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪の甲殻
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
毒頭尾の蜻蛉呪の胴体を守る甲殻。
軽さのわりに堅く、優れた防具になる素養を持つ。
▽▽▽▽▽
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪の翅
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:115
浸食率:100/100
異形度:15
毒頭尾の蜻蛉呪が高速で空を飛ぶために用いる透明な翅。
極めて薄く、硬いため、鋭い刃物として加工することが可能だが、脆くもある。
▽▽▽▽▽
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪の肉
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:19
毒頭尾の蜻蛉呪の肉。
カースの肉は呪いの塊と言ってもいい、こんなものを食べても大丈夫なのは、同じカースくらいだろう。
▽▽▽▽▽
△△△△△
毒頭尾の蜻蛉呪の毒尾
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
毒頭尾の蜻蛉呪の蠍のような尻尾。
針の先端で傷つけた相手に、周囲の呪詛も利用して毒を注入する。
与ダメージ時:毒(周囲の呪詛濃度×2+10)
▽▽▽▽▽
『どう使うでチュ?』
「毒歯は新しいトゥースナイフ、毛皮はザリチュと包帯服の強化、翅は包丁、肉は調理、毒尾はフレイルかしらね。ああ、毒歯と毒尾の毒は『
『甲殻は?』
「ちょっと思いつかないわね。場合によっては次回の交換会に出してもいいかも」
私は頭の中で、今言った使い道が可能かを考え、十分な量があれば可能であるという結論を出す。
今日のところはとりあえず肉を調理して、食べてみようか。
何かが起きても、ログアウトするなら問題にはならないだろう。
「とりあえず肉ね」
『蜻蛉肉でチュかー』
「ネズミ肉、蠍肉とも言えるわよ。見た目だけならね」
私は念のために各素材が周囲の呪詛を吸うなどの不審な動きをしていないことを確認。
それから材料を求めて、部屋の外に出た。
09/05誤字訂正