221:2ndナイトメアバトル-10
「せいっ、やっ、はっ!」
「……」
ライトリとザリアの一騎打ち。
ライトリは敢えて盾を出さずに
対するザリアは左手に持った沈黙効果付きの針で牽制しつつ、隙が生じれば右手に持った細剣を突き出す。
「くっ……間合いが……」
「……」
間合いはライトリの方が広く、立ち回りもライトリの方が優れている。
ザリアが距離を詰めようとしても、詰めた距離だけライトリが退いて、間合いの内側には入れないようにしている。
しかし、ライトリの武器はプレイヤーを相手にするには取り回しが悪く、ザリアに武器による攻撃を当てることは出来ていない。
これは装備の差もあって、ザリアの方が身軽なのだから当然の流れだろう。
「……」
「毒!?」
だから、ライトリのメインダメージソースは毒だ。
与えている毒の量は10前後で、そこから増えも減りもしないが、着実にザリアのHPを削っている。
「回復を……」
毒によるダメージが積み重なってきたザリアが回復の為に退こうとする。
「……!」
「っ!?」
そこへライトリが突撃。
開いた距離が一瞬にして詰まると同時に、騎馬槍の穂先がザリアの腕を掠る。
だが、突撃の勢いが良すぎたのか、ザリアを騎馬槍の間合いの内側に入れてしまった。
ザリアの反撃が来る。
「あぐっ!?」
「ーーー!」
が、その前にインベントリ袋の機能で騎馬槍を消したライトリの蹴りが炸裂。
鳥のそれのようにも見える脚で蹴られたザリアの体は大きく吹き飛ばされる。
「こ……のっ!?」
「……」
ザリアが反撃で細剣を突き出す。
だがライトリは冷静に盾を取り出してガード。
ザリアの動きが停止する。
完全に。
致命的に。
「ま……ず……っ!?」
「……」
盾を消したライトリがザリアに掴みかかる。
柔術の類だろうか?
ザリアの体が空中で奇麗に一回転して、地面に叩きつけられる。
おまけに、全身に金属製の鎧を身にまとったライトリの体も乗せられる。
トドメにライトリの右手に『
≪勝利しました! タル様、ライトリカブト様。優勝おめでとうございます!≫
「……!」
優勝を告げるアナウンスが流れ、ライトリがガッツポーズをした。
私たちの勝利である。
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「あ、復活した」
「お帰りなさい。タルさん」
戦闘終了後。
私とライトリは打ち合わせ部屋に戻された。
「おめでとう、ライトリカブト、タル」
「おめでとうございます。ライトリカブトさん、タルさん」
「おめでとう」
「おめでとー」
「コングラッチュレーション!」
そして、部屋の中に居た『光華団』の面々とストラスさんから祝福の言葉を受けた。
私もライトリもその言葉を受けて、感謝の言葉を返していく。
最後はライトリさん任せだった上に、クカタチの位置把握ミスと言う致命的な失敗もしているので、悔しい点や反省点がないと言えば嘘になるが、それでも勝利は勝利、今は称賛の言葉を素直に受け止めるべきだろう。
『楽しんだかああぁぁ! 化け物共おおぉぉ!!』
と、閉会式が始まるようだ。
テレビに万捻さんが映る。
『はい。と言う訳で運営の万捻です。さて、今回のイベントはどうだったでしょうか』
さて、閉会式の内容は……まあ、前回と同じようなものだ。
基本的には聞き流していいだろう。
『さて、今回のイベントは呪術師の皆様の夢の中で行われていました。この場に呪術師の皆様が姿を現すことはありませんが、この夢の中で築かれた縁はゲーム本編に戻っても多少は残っているでしょう。呪術師の皆様に会って何かを為したいのであれば、その縁を生かすことをお勧めします』
おっと、この辺はきちんと聞いておいた方がよさそうだ。
まあ、呪術については私は独自路線と言うか、今の流れをそのまま続けるのが正解だと思っているが。
『そして、今回のイベントで築かれた縁は呪術師の皆様との縁だけではなく、共に戦ったプレイヤーとの縁もです。良き縁だけでなく悪しき縁もあったかもしれませんが、運営としてはいずれの縁も大事にしていただきたいと言うのが本心であります』
プレイヤーとの縁か……。
うんまあ、確かに色々とある。
ライトリの縁などは特に大切にしたいものだ。
『では、上位入賞者に賞品を授与させていただきまーす!』
≪称号『2ndナイトメアメダル-1位』を獲得しました≫
「よし」
「おおっ」
お、称号が来たか。
では、早速確認を。
△△△△△
『2ndナイトメアメダル-1位』
効果:効果なし
条件:第二回公式イベント『呪術師が導く呪詛の宴』優勝。
タル様、ライトリカブト様、優勝おめでとうございます!
『お主の邪眼術。よく見させてもらった。実に素晴らしいものじゃが、精進を重ねるように』
▽▽▽▽▽
△△△△△
『蛮勇の呪い人』・タル レベル17
HP:1,160/1,160
満腹度:110/110
干渉力:116
異形度:19
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・2』、『毒を食らわば皿まで・2』、『鉄の胃袋・2』、『呪物初生産』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『脚縛使い』、『恐怖使い』、『呪いが足りない』、『暴飲暴食・2』、『呪術初習得』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの支配者』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を知る者』、『呪限無を垣間見た者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『大飯食らい・1』、『呪いを指揮する者』、『???との邂逅者』、『期せずして呪限無の門を開くもの』
呪術・邪眼術:
『
所持アイテム:
毒鼠のフレイル、呪詛纏いの包帯服、『鼠の奇帽』ザリチュ、緑透輝石の足環、赤魔宝石の腕輪、目玉琥珀の腕輪、呪い樹の炭珠の足環、鑑定のルーペ、毒噛みネズミのトゥースナイフ、毒噛みネズミの毛皮袋、ポーションケトルetc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール設置
呪怨台
呪怨台弐式・呪術の枝
▽▽▽▽▽
「よし」
「優勝嬉しい」
まずは称号が届いた。
まあ、効果なしの記念称号だが。
「アイテムの方は……」
さて、アイテムの方は……大きめの箱だった。
08/24 称号フレーバー少し改稿