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170:カースチャーコール-1

「はい出来上がり」

『サックサクでチュねー』

 さて、金曜日のログイン。

 今日は『呪い樹の洞塔』の炭珠を『ダマーヴァンド』の呪い花とカロエ・シマイルナムンの灰を溶かした毒液に漬けて呪うと、真鍮の輪をいつものように加工して取り付けた後に呪怨台で呪った。

 呪いの内容としては……魔除けを変質・反転させて、とにかく周囲の呪詛を引き寄せるような形にした。

 そうして出来上がったものを鑑定した結果がこれである。



△△△△△

呪い樹の炭珠の足環

レベル:16

耐久度:100/100

干渉力:100

浸食率:100/100

異形度:10


『呪い樹の洞塔』・カスドージュケタワの目が炭になった物が付けられた真鍮製の足環。

宝石のような炭が帯びる強い呪いは所有者の周囲を変質させ、際限なく周囲の呪詛を招き寄せる力を持つが、所有者もまた呪いに晒されるからこその力である。

極めて丈夫であり、普通に扱っている分には傷がつく事も汚れる事もまずないだろう。

所有者の周囲へと呪詛を引き寄せる。

注意:所有者は異形度の高い相手に認識されやすくなる。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『蛮勇の呪い人』・タル レベル15

HP:325/1,140

満腹度:57/110

干渉力:114

異形度:19

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・2』、『毒を食らわば皿まで・2』、『鉄の胃袋・2』、『呪物初生産』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『呪いが足りない』、『暴飲暴食・2』、『呪術初習得』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの支配者』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『七つの大呪を知る者』、『呪限無を垣間見た者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『大飯食らい・1』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・1(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・1(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・1(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・1(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・1(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・1(タルウィミーニ)


所持アイテム:

毒鼠のフレイル、呪詛纏いの包帯服、『鼠の奇帽』ザリチュ、緑透輝石の足環、赤魔宝石の腕輪、目玉琥珀の腕輪、呪い樹の炭珠の足環、鑑定のルーペ、毒噛みネズミのトゥースナイフ、毒噛みネズミの毛皮袋、ポーションケトルetc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール設置


呪怨台

呪怨台弐式・呪術の枝

▽▽▽▽▽



『もうレベル不足はワザとでチュよね』

「確証はないけど、『蛮勇の呪い人』の上位称号が無いかなーと思って、最近はワザとね」

 鑑定結果に問題が無いので装着。

 うん、いつもの重さだ。

 何も問題はない。

 そう、何も……


『で、バーナーはどうするでチュか?』

「……」

『バアアァァナアアァァはどおおぉぉするでっチュかああぁぁ!?』

「……」

 ごめんなさい、嘘です。

 細工道具のバーナーがイカレました。

 丁度作り上げたタイミングだったので、実害はなかったけど。


「いやぁ、なんで壊れたのかしらねぇ……?」

『あ?』

「あ、はい。心当たりはあります。はい」

 まあ、壊れた原因に心当たりはある。

 細工道具のバーナーは細工以外にも色々と使ってたし、この前もスープの作成に使ってたし。

 あれで耐久度が減っていたのだろう。


『で、改めて聞くでチュけど、どうするでチュか?』

「うーん、修理か購入か……」

 私は掲示板でちょっと調べてみる。

 壊れた道具の復活方法は……素材を使っての修理、壊れたものを破棄して新しい物の購入、アップグレードによって実質的に修理してしまうと言う手もあるのか。

 では、修理とアップグレードに必要なアイテムとなると……修理なら金属素材でいいが、アップグレードについてはある程度以上の質を持つモンスターの素材で作った道具が必要。

 うーん、現状のエリアのボス素材よりは、呪限無か新エリアで雑魚を狩って来てと言う感じかな。

 要求がそんな感じだ。

 まあ、修理なら何とかはなるか。

 アップグレードまでの繋ぎぐらいにしかならなさそうだが。


「購入だと、行商人の誰かに頼むのが正攻法かしらね」

『高くつきそうでチュねぇ』

「でしょうね。ま、相談してみるしかないわね」

 私は現状の最前線と判断して、草原のセーフティエリアに転移。

 人がだいぶ増えた草原のセーフティエリアで、そう言うのを扱っていそうな行商人を探す。


「ん? タルはんか」

「あら、ノーマキさん」

 するとノーマキさんを見つけたので、話をしてみる事にした。


「細工用アイテム一式からバーナーだけなぁ。高くつくで。とてもやないけど、タルはんには払えないレベルになると思う。と言うかタルはん、財布持ってないやろ」

「一応、DCを貯蓄する手段は持っているわよ。サクリベスのDCとは形式が違うだろうから、転移のコストくらいにしか使えないだろうけど」

「つまり、どっちみちDCでの支払いは無理って事やな」

 うーん、やはりと言うべきか、購入でどうにかするのは厳しそうか。


「せやなぁ……物々交換やと、タルはんの邪眼を生かして静音琥珀大蜂丸ごとを数匹分。何かしらの生産活動で作った品物との交換でも似たような物やろうか。『ダマーヴァンド』で取れるアイテムや邪眼術習得に繋がるアイテムを出すと言うのもあるか」

「前二つはともかく、後ろ二つは無いわね。『ダマーヴァンド』で取れるアイテムは私にとって大きなアドバンテージだし、邪眼術習得に関わるアイテムは危険すぎて出せないわ」

「ま、そうやろな」

 物々交換も……バーナー一つの為に静音琥珀大蜂を毒殺してくるのは面倒、生産活動で稼ぐ心得と元手は私には無い、そう考えると厳しいか。


「一度の物々交換じゃ無理と言うなら、ローンを組む手もあるで」

「あ、ローンはなしで。碌な事にならないだろうから」

「システム的にはきちんと正当なものやと評価されているんやけどなぁ」

『契約術でチュか……』

 と、ここでノーマキさんが契約書のようなものを出してくる。

 どうやら何かしらの呪いがかかっているようだ。

 呪いの内容としては……契約を遵守させ、破ったらペナルティと言うところか。


「で、どうするかは決まったんか?」

「うーん、今回は遠慮しておくわ。自分で何とかできると思うから」

「そか。まあ、相談くらいならいつでも乗るから、また来てや」

「ええ、ありがとう。あ、折角だから焙煎済みの『ダマーヴァンド』の赤豆を幾つか渡しておくわ。売れそうだったら……イベントの時にでも連絡をお願い」

「ん、分かったわ」

 と言う訳で、私は平原のセーフティエリアを後にした。

 さて、金属素材か……折角だし、『ダマーヴァンド』のあるビルの地下から繋がっている下水道、あそこを調べてみようか。

10/11誤字訂正

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