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91 わけわからんの食事会

刺繍はホントに良いよね、やる時は他の事を考えることができる。そうだ、もう一枚モフモフなタオルを作ろ、この世界のタオルはガチの布のみで吸水性能が低い、いや〜しかし前の世界のタオルを再現するのは糸を沢山使わないとダメですね。待てよ、俺今は金がある、生活用品を贅沢するのも悪い話ではない、作るのは時間と金がかかるが基本は魔法でやるのだから、よし、帰ったらやろう。


『アイリス様。』


思い返すと辺境伯の屋敷にいると時々辺境伯様に軍議や前線に連れ回されたね、これ全く志願兵の仕事ではないよね。あ、そういえば前線でヒーラーをやってる時みんなも短いな杖持ってるよ、ここに来る前に安い杖を買えれば良かったなのになぁ、俺だけ杖がないのは目立つ過ぎ、おお~もし杖ではなくアニメのようにアクセサリーの形にするのはできるかな、待て待て!創作欲が湧いてきた、紙が欲しい、設計図を描きたい。


『アイリス様。』


ガンガン


うん?何が音、音の方向を見るとメイドたちは俺の障壁を触るままノックしている。


「アイリス様、申し訳ございませんが、お食事の時間です。」

「あ、はい、ごめんなさい、集中過ぎで聞こえなかったのです。」


メイドたちは驚いた顔で俺を見て、そのまますぐにお食事場所に案内してくれた。あ、メイドたちが驚いた顔するのは俺が謝ったから?俺は貴族でもないし謝るのは別にいいじゃない。あんな事を考えたままお食事場所に到着した。


ゴンゴン


「アイリス様が到着しました。」


メイドたちは食事場所の扉をノックし中の人に俺が到着すると伝え、そして扉を開ける。あ...ヤバ…偉い人が多い!長いテープルの主席で金髪イケオジ、左は辺境伯様、将軍様や知らないおっさんたち、右には灰髪の王妃と思われる美人、金髪美青年、灰髪の美女と美少年、間違いなく王子王女だ、それと多分彼らの婚約者らしい方々…もしかして俺は最後じゃないよね。とりあえず謝る!


反射的に上半身を倒す90度でお辞儀をする。あ!待て、ここはスカートの裾を軽く持ち上げてなのか?全くわかりません!!とりあえず会社の時と同じようにしましょう。


「申し訳ございませんでした、此度自分がメイドたちの呼びかけを聞こえませんのせいで、皆様にお待たせさせてしまい申し訳ございませんでした。」


謝る約1分経過、誰にも話していない、長すぎだろ、まさか何が貴族の間の礼儀が間違っていた?!頭を下げたまま誰かの声なのかはわかりませんが、この場合返事したのは多分王様だろう。


「あ、頭を上がってください、長い旅お疲れだろ、そんなに遅れてないし構わない、どうぞお座ってください、()()()。」


(チラ…やっぱり王様だ。)


「お許し頂き、誠に感謝申し上げます、陛下。」


周りの視線は痛い、この服か?似合わないよね、わか〜る。修道服に着替えたい。


何故だろう、俺の席は辺境伯様と将軍様の真ん中にある。でも良かった、知らないおっさんやイケメンな隣では絶対何を食べても味がしないと思うよ。


「全員揃いましたので、ではここの皆さんにご紹介致します。彼女は今回帝国軍の侵攻を防ぐの一番の貢献者、カウレシア王国の癒やしの聖女様、アイリス嬢です。」


『おおおお!!』

『なるほど、正しく聖女様だ!』

『大変お美しい。』

『その髪神聖感を感じるなあ。』


いやですが、礼儀として立ち上がり軽く自己紹介しました。


「カウレシア王国貴族魔法学園所属の研究員、アイリスと申します。」


『あれ?聖女様では?』

『陛下は聖女様と…』


自分の事を聖女様と認めるな肝の大きさが足りないよ、おまけに二次元な聖女キャラ俺も何人も好きですから、俺みたいなやつが聖女では俺自身は許さないデス。


俺の自己紹介を先に読んだ王様は笑ってそう言った。


「ははははっ、面白い娘だ。確かに聖女と言う称号は自ら語る物ではない、聖女様の事はすでにカウレシア国王から連絡が来たので、どうぞご自由にお過ごしください。」

「ありがとうございます、陛下。」


これで挨拶は終わり、俺も席に座った、タイミングを合わせたかのように食事も持ってきた。ホントにここの王様がいい人みたいで良かったですね、もし王様は権力オヤジでは俺はすぐに帰ります。しかし油断はだめです、小説の定番では王族絡まったお食事では誰か毒殺された~みたいなシーンが多いだから、少し待って他の人の反応と彼ら食べてから俺も少しずつゆっくり食べる、俺…解毒魔法使えないんだ、何の毒がイメージできないしだから使えないです。


正直辺境伯様と将軍様以外では誰も知らないし、関わりもしたくない。王様が何も話してないから?この食事の場では全員静かにお昼を食べている。テーブルマナーを知らない俺もできる限りそれらしい動きで食べるのは精一杯です。ああ、美味しそうなお料理こんな雰囲気では何の味のないガムになるわ。


こんな沈黙を打破する人は王様でした。


「そう言えば、聖女様、ベネットだけではなく我が息子も救ってくれでホントに感謝しています。」

「……?」

「我も息子の報告を見ました、当然計画した犯人はすでに見つけ出してこの世にいなくなった、それも聖女様のお陰です。」


俺…ここに来るのは初めてですよ、王様の息子即ち王子様を助けた記憶は全くない、思わず王子らしい人を見る。


多分20歳の金髪美青年?それともこっちの17〜18歳くらいの灰髪の美少年?って灰髪の王子たちの隣にいる、多分双子の灰髪の王女様は小さな動きで“こいつです”と伝えた…いや、灰髪の美少年?ワシ会ったことないじゃん、例え会ったとしても三次元なイケメンには記憶に残らないです。


「申し訳ございませんが、自分には貴国の王子様を救った記憶はございません、もしかして人違いではないでしょうか?」

「そうですか?すまんない、ヘンリーそれはどういう事ですかね。」

「父上、間違いありませんです、冬な時カウレシア王国で盗賊とサイクロプスから僕を救ってくれたのは彼女で間違いありませんでした。」


サイクロプス…あ〜あの臨時収入か、確かに黒いワンコが俺を見た時尻尾を挟んで逃げましたよね、あれはショックだったよ。待て…あの時確か何が異世界の定番で高そうな馬車に襲われ、まさかあの中にいるのこの国の王子…サ…マ…。そう言えばカウレシアの王妃様はどこの国の国王子様と会わないように手配したような…この旅で俺頭を押さえたのは何回目だろう。


「聖女様は当時カウレシア貴族学園の制服で両手荷物を持ったまま私たちを助けに来ました、30人くらいの盗賊は一瞬で倒され、サイクロプスの攻撃も簡単に防ぎ、知らない内にサイクロプスも倒されました、シャドウウルフも睨んでるだけ操りを逆らえ全部逃げてしました。あの時は馬車で隠れて顔はよく見ていませんが、まさかこんな大変お美しいなお嬢様とは思わなかったです、カウレシア国王は代わりにお礼を言いましたが、改でお礼をさせてください。」


ヘンリー王子は席から立ち上がり、こちらに向かっている、俺も慌てて立ち上がり、辺境伯様もすぐに場所を開け…いや、その動きまさか手にキスのヤツ。


王子は俺の前に跪き、俺の手を取り…無駄無駄無駄!この攻撃当然俺の障壁を防ぎましたよ、イケメンに手にキス、無理無理全身鳥肌が立つプラス気持ち悪い、俺はそんな性癖がない。


障壁に阻害された王子だけではなくここのみんなも驚いた、多分これは貴族世界の礼儀みたいなもので、今その王子のお礼を俺は断れたのと同じ。怒られる前に謝るしかない!


「大変失礼しました、申し訳ございません、あの時馬車の中にいるのは王子様とは思わなかったです、それとお礼は当時すでにサイクロプスを頂きました、自分は男性苦手のため、先ほどのご無礼はどうかお許しください。」


“あ〜はは〜”みたいな困った顔で王子様は下がりました。よし、必殺の“男性には苦手作戦”では多分誤魔化すことができる!


「は、ははっ、聖女様、こっちこそ申し訳ないです。カウレシア王にもお聞きしました、まさかこれ程男性に苦手とは、僕の事は気にしないでください、どうぞ引き続きお食事を楽しんてください。」


よ、良かった。俺様王子ではなくてホントに良かった!王子はそのまま席に戻り、俺も同じく席に座りました。周りを確認すると金髪王子と灰髪王女は笑いを我慢しているみたい、王様、辺境伯様、将軍様は何故か顔めっちゃ青ざめていた。


「せ、聖女様、男性にこそまで苦手とは知らず、すまなかった。あとで護衛を女性騎士たちに代わりますので、ご安心を。」

「陛下、ご配慮いただきありがとうございます。」

「辺境伯と将軍も席変わろうか?」

「いいえ、辺境伯様と将軍様は信頼していますので大丈夫です。」

「そ、そうか、ではお二人、聖女様は()()()()。」

「「は、お任せてください!!」」


周りの人は王様の反応を見て多分怒られる人はいない…と思う、ふぅ…セーブ。あれからヘンリー王子の質問責め、何故聖女になるのか、その時サイクロプスを倒す方法や、髪の色や魔力について、幸い王様は俺の困っている顔と見て、目線で王妃様に伝えて、王妃様によって王子の質問責めは止めました。ストレスだけのお食事会もこれで終わりました。王族だからか?ここの全員が自己紹介していない、貴族世界では当たり前なのか?


解散する時双子の灰髪王女からお茶会の誘いが来ましたが、今度は将軍様か王女に“戦争と長い旅で聖女様もお疲れましたの、また今度で”、上手く王女の攻撃をかわしました。ありがとう!フルーアーマーお爺さん!


俺は客室に戻り、ベッドにジャンプする前にベッドの上に()()()ワンピースが置いてある。高そうなドレスではなく、貴族様か下町でのお忍びデート用のシンプルな白いワンピースが用意されていた。メイドたちの話では辺境伯様の指示みたいです。おう〜流石辺境伯様、助かったぜ。すぐにひとりで着替えました。その後続けて刺繍し、予想外でその後誰にも邪魔されないまま夜になった。夕食は面倒くさいなと思うと、メイドたちは夕食を部屋に持ってきた、何か…おかしい、絶対また歓迎パーティーをすると思うが、いや、これでいい、ありがたい。


その後はメイドたちを外に待機させて、部屋でお風呂する、もう少し懐かしい我が家に戻れる、ワクワクな気持ちでバリア君と氷のヤツを起動し早めに寢ってしました。


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その夜、王の寝室ではレスター国王、カイル辺境伯二人はワインを開け寝室のソファーに座り秘密会議が行われた。


「そう言えばカイル、聖女様は誰に似てる?何が彼女の顔見たいことあるような。」

「え?こんな美しい女性と虹色のと金髪を持つ人、会ったら絶対忘れないだろ、気の所為じゃない?」

「それもそっか。って聖女様の機嫌は?」

「昼の食事会あと一応うるさいな貴族たちを止めて、午後では誰にも彼女の休憩を邪魔されないように手配しましたが、メイドたちの報告では寝る前に暇つぶしで刺繍して、寝るまで障壁を張ったので使用人たちは何も出来ないそうです。そういえば貴族たちはすぐに沢山の宝石、ドレスとアクセサリーを彼女に送りました、そのまま返品するか?」

「凄いな彼女皆にモテモテだ、しかし彼女は受け取ると思う?」

「意味のない贈り物では受け取れないだろ、俺の屋敷でも最低限の要求していないし、ターナー家から送られたドレスは多分マナーとして一応お受け取りましたが、彼女の顔を見れば明らかに好きじゃないし、女性なのに何故がドレスが嫌いのような。」

「そっか、その贈り物そのまま聖女様に送ってくれ、要らないと言ったらこちらで返品すると下に伝えて。」

「かしこまりました。」

「帝国の侵攻だけでももう頭痛いなのに、急にカウレシアの癒やしの聖女様が来るのは、セオドリク(カウレシア国王)に高いワイン2本を要求しないとね。」

「彼女を厄介物にしないで欲しいな、俺の命の恩人だ、それに彼女には何も要求していない、ベネットを救ったあとすぐに帰ると仰っていましたよ。逆に例の司祭代理の件、ターナー嬢のイジメ、それとこっちの礼儀として今回無理やり彼女をここに連れてきただから、俺たちが悪いよ。」


カイルはそのままワインを一口飲む。


「それに母上も救ってくれた、ホントに彼女に何のお礼するのは良いのが、全くわからないです。」

「待て、叔母様(レイラ)を救われた?!」

「ええ、まだ確定ではないが、最初はホントに体調が悪いが、その後母上は帝国の策で呪いのアイテムを身に着けた、身体は治して無く段々体調が悪くなる。」

「しかし教会で浄化魔法をかけられたよね。」

「司祭の話しによると、その浄化は()()()()を浄化しましたが、呪いアイテムの呪いを消すには浄化魔法使える数人で長い時間かけて浄化しないと消せないそうです、だから知らないままでずっと身につけるとまた呪われたそうです。」


辺境伯は息子グレンが話したレイラを助けた過程を詳しく話した。


「それはもうすでに使者様と確定ではないか!もっと早く言ってくれ、カイル。」

「申し訳ない、俺も使者様の事をそんなに詳しくないだから、まさか彼女と握手するだけで浄化されるとは正直未だに信じられないのです。」

「でも叔母様の体調は明らかに回復しただろ。」

「まぁ…うん、悪い。」


レスターはグラスに残ったワインを一気に飲みました、そしてまたグラスにワインを注ぐ。


「叔母様を助けてくれてホントに良かった、でももし彼女はただの聖女様ではご褒美としてヘンリーと婚約を交わす予定なのに、使者様ではこれは別のご褒美を考えないと。」


これを聞くと、カイルは驚いた。そして続けてレスターに聞く。


「え?第二王子殿下ですか?!確かに未だに彼が頷くな婚約者は出なかったですが、何故急に。」

「帝国からの侵攻を聞いて、ヘンリーはすぐにカウレシア王国で留学した貴族学校で長い休暇を取ってこちらに戻ったよ。先日彼と話して、“あの時”彼を救った恩人は未だに会ったことないが、しかし彼女の噂は沢山聞いた、基本お嬢様たちを無視するヘンリーが今日食事する時の反応を見て何となくわかるだろう。あれは絶対惚れただろ、ヘンリー自身はまだわかってないそうと思う。」

「確かにあの時は変と思いましたが、まさか…ね。」

「って話を戻すとあなたの話では彼女は明日はカウレシア王国に戻る気満々だ、では明日の謁見では彼女のご褒美を出さないと駄目だ。何を与えた方がいい?」

「この功績では普通は騎士爵や貴族位を与えるですが、しかし彼女表は一応カウレシア王国の研究員、正直彼女欲しい物は何なのかはさっぱり。」

「カイルの言う通り、彼女のその面倒事を嫌いな性格は昼の食事会ですぐにわかった、普通に金貨にする?」

「正直俺も金貨と思うしかない、使者様だから金貨は必要か?」

「使者様の事を知らないようにしてくれ、彼女隠したいでは無闇に話しない方がいいと思うぞ。」

「はい、彼女は聖女様です。」

「では予定は明日謁見時金貨を与えよう、できる限り言い値を出す。」

「半分俺が出すよ、彼女は俺からのお礼はその白い聖女服以外何もいらないって。」

「わかった、半分こしよう。」


ここでカイルは別の話を…


「レスター、実はまだ報告する事があります。先ほどアンドリュー将軍からの連絡で、聖女様のその容姿、髪の色そして今日馬車で城に向かった途中での民への微笑みが、沢山の民衆を魅了したそうです。そして彼女を知ってるカウレシア王国からの商人たちは民衆にアレコレを話しました、今下町ではカウレシアの聖女様の話題が溢れてる、多分彼女の事も民に説明する必要そう。」


レスターは深いため息をついた。


「はぁ……民への説明も必要が…、彼女はオレと一緒に講台に立って、民衆の前に“彼女はベネット守った”と一緒に演説くれるのか?」


辺境伯は苦笑いして王様に向けて頭を振る。


「わかった、報告ありがとう、そして生き返ってまたこんな風に一緒に飲めるのはホントに嬉しいよ、(カイル)。」

「今回は運が良かっただけさ、もう帝国の英雄との戦いはごめんだ、(レスター)。」


二人は乾杯し、ワインを一気に飲んだあと、他愛もない話をした。

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