65 歴史となった大聖堂
ファレル聖王国のシンボルのカオル大聖堂の真上、その曇空の雲は丸い切り口が開いた、切り口からの日差しが眩く、目は慣れる前に直視できなくなる。そんな中に巨大ドラゴンの影が段々見えてきた。
ど、ドラゴンだ!
邪竜?!
逃げろ!
俺は風魔法で声を拡散し周りの人達を落ち着かせた。折角に観客を逃げさせるにはいかない。
『人の子らよ、
そう話すと、心当たりがある人は足を止め、当然続けて逃げる人もいる、近くにいた聖騎士たちには神竜様の威圧感を直接受け、固まって動けない、後ろにいる人は結構逃げましたね、あら大変。
ベランダの教皇、元勇者とその嫁たちの3人は口を開けたまま足を震えてる。神竜様は俺の後ろに待機、日差しはステージライトのように俺と神竜様だけを照らしている、そこは絶対トイエリさんの仕業だろ。
『どうしたの?世界の守護者の神竜と私を討伐するつもりでしょう、私たちは動かないだから、試してみるか?』
『おのれ、おのれ、おのれ!誰も俺の完璧な計画を邪魔する!勇者の時もそうだ!誰も俺の計画を邪魔している!ただ最後の一撃を俺に譲るだけなのに!今度は貴様か?!何なんだよ!俺たち一族は神の末裔!この世界は俺たちのために存在した!貴様に断罪する理由はない!』
あの太ったおっさんはベランダから俺に向かって剣を投げてくる。防げるが、念のためその剣を魔法で彼に返した。剣は彼の頭の横にすーっと飛んで後ろの壁に刺さる。
もう10分過ぎました、先程大聖堂の中の人に避難宣言しましたので、出できた人は約200人くらいです、もう人はないだろ、残ってるのは自己責任ですからね。
『では断罪の時だ、創造神トイエリ様への反逆したカオルは死後魂すら残らない、その末裔もその偽った宗教で世界の秩序を破壊し瘴気を増やす。私は創造神トイエリ様の使者、まずはその大聖堂を消す。』
俺は魔法で未だにベランダにいる教皇と元勇者たちを無理やり地面に放り出す。透明な障壁を高い壁になって大聖堂を囲む。ショーの準備が終わり、俺は小声で神竜様に話した。
「神竜様上からブレスをお願いします、一応手加減してください、障壁破壊されたら大変ですから、大聖堂灰になるくらいな火力でいいですね。」
神竜様相変わらず返事をしないまま上昇、そして…滅びのバース…うん……青いドラゴンブレスで大聖堂に攻撃。大聖堂は青い炎に燃え、青い炎は高温で鉄すら溶けて大聖堂段々崩れる。
これを見て、逃げる人は予想外で多くはない。遠くの聖騎士たちから逃げ出した人もいるが、神竜様の威圧なのかな?しかし青い炎が障壁で防げたのを見た人は、思わず足を止めた。
「何だあの炎、青い炎見たことない…。」
「これが本物の聖なる炎と言うのか?」
「俺たちは今まで一体何を…。」
なるほど、青い炎を見たことがない、炎と認識していない?だから逃げる人は予想外に少ないのか?
でもそっちの教皇は見ればわかるように崩壊したみたい。
『俺の大聖堂が…俺の金が!俺の財産はまだ中にいるんだ!』
もう、そろそろ全部炭になったので、俺は障壁を大聖堂を完全に囲む、中の酸素を消した。青い炎は消え、元シンボルのカオル大聖堂に今残るのは高温の灰、大聖堂から逃げ出した人は地面に座り、泣きはじめた。
しかしあの炎をずっと障壁で防いだあと、大範囲の酸素を消す、魔力を沢山使った。魔力がいるうちに早めに仕上げないと。ここで教皇は地面に落ちた石を俺に投げた。
『貴様だ!貴様がいないと俺は今妻たちと演劇を見てるだぞ!』
はいはい、今度はあなたの番ですよ。
『では今度は末裔への断罪を始める。』
教皇は空に浮いて、何の反抗も出来なくなった。
「父上!」
「「教皇様!!」」
『創造神の優しさに甘えて、カオルの末裔たちは己の私欲で勇者を作り出し、世界に瘴気を増やす。その罪受けるが良い。』
教皇の両手を魔法で折る。
『うわーーーーーーーーっ!俺、俺の手が!』
『次はトイエリ様の事を邪教と侮辱するの罪』
今度は両足手を折る。
『痛ーーーーーーーーーーいっ!痛い痛い、やめろ!やめてくれ!謝るから!トイエリ様の教会を建てるから!』
『では最後は神竜を邪竜呼ばりの罪』
こいつは回復魔法が使えるから、折っても回復できる。権力と金だけで偉そうな嘘つきが俺は一番大嫌いだ。
両手両足を回復不能のように平らに潰す。痛すぎで気絶したみたい、そのまま地面に捨てた、捨てた後多分嫁の5人と元勇者、とその他は教皇に集まる。
『命は取らない、トイエリ様との約束です。』
元勇者くんは再び剣を俺に向けた。
『貴様!よくもお父様を。』
『やめて!オーウェン様!』
『離せ!お前たち!お父様が!』
『いくな!オーウェン様、僕たちでは敵わないっす!』
『わたしたちでは無理なんです!』
立ち向かおうとするが、元勇者は3人の嫁に押さえられた。
それも当然だ、彼女たち思い出しました、先日虹髪の子の話した言葉“使者様では私でも多分1秒でも対抗出来ませんよ”、あんな強い子も対抗出来ない。信じたくないが目の前にいるのはホントの使者だ。例え使者と戦う力があっても、彼女の後ろにドラゴンがいる。その威圧感の前に立つだけでも精一杯。
よし、では最後は教皇だけではなくサトウ一族に面白いおまじないをしましょう。
『最後は他のカオルの末裔たちへの罰。』
「「「!!!」」」
『カオルの末裔全員、今日から“嘘を言うと、寿命が2日減ることを罰する”。 』
『そ、そんな?!』
『嘘でしょう?!』
もちろん、ハッタリです、俺にはそんな力はないですから、ただトイエリさんからサトウ一族のやることを聞いて、ただ大聖堂を燃やすだけではホントに優し過ぎます。もちろんトイエリさんの許可を取れましたよ。
そろそろ帰ろうと思うと、後ろからあのリーダーっぽい聖騎士が話しかけてきた。
『し、使者さま、先程攻撃したのはどうかお許しください。』
後ろを見ると、聖騎士たち全員跪くした。そうよね、空気を読める人はそうするよね。
『許す、君たちは騙されただから。』
『あ、ありがとうございます。それとカオルの末裔はもう聖職者ではなくなると、この国はどうするでしょうか?』
『人の子らの国、私とは関係ない、君たちは自分で考えよう。』
『しかし、万が一またカオルみたいな人が現れたら…』
『ではお聞きしましょう、人の子らよ。何故トイエリ様はカオルの事今まで無視するのか?』
『そ、それは…』
『トイエリ様はそなたたちを信じ、自由に発展させたい。だからトイエリ様はずっと黙々と世界を維持する、今回は末裔たちはやり過ぎで世界の“悪”と判定した、そのため神竜はそれを消すだけ。』
『……。』
『それともこの世界を消し、やり直す方がいいのか?消す方法は知らない方が賢明だ。』
『と、とんでもないです!!我々は聖騎士の名に賭けて、今後そんな事を出ないように、一生懸命頑張ります。』
『ここの対話は全部この街の人々に聞こえるようにした、では聖騎士と言うものよ、そなたたちに任せる。…これより断罪は終わり、精霊たち、いつも通りに戻って良いわ、ご苦労さま。』
多分もう良いだろ、俺の魔力はもうギリギリだ。すぐに真上に飛び、神竜様も続けて真上に飛んだ。雲を超え、俺はすぐに神竜様の背中に着陸する。
「ご、ごめんなさい、もう魔力ぎりぎりです。少し休ませて。」
べたっと神竜様の背中にくっつける。俺たちが離れたあと、曇の空も晴れになった。一応任務完了だよね。あ…。
「神竜様、帰る時はちょっと隣の国サンダース王国の王都に寄りますか、元教皇の演説ではあそこもあなたを討伐するために兵を集めるみたいです。ちらっと見せて、神竜様の威圧だけて、多分もうくだらない事はしないはずです。」
今度は返事が来ましたね、ちょっと俺を見て頭を頷いた。
「ごめん、無理、ちょっと仮眠します。」
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太陽はほぼ真上になり、よくわかりません.、多分3〜4時間寝たね、その仮眠のおかげで、魔力も結構回復した。周りを見ると、もうすでに見慣れたカウレシア王国の王城が見える。
魔の森に到着、帰ったらマリアンヌが迎えてきた、そしていい匂いがする、昼ごはんを作ってくれた、ありがとう。早速この使者格好から平民モードにチェンジ、ひと仕事あとの昼ごはんは最高ですね。マリアンヌは何も聞いてくれない、まあ~俺の格好を見れば大体わかると思うよね、すぐにわかるよ、今は友人とのお食事を楽しもう。
その後、マリアンヌを王都に送り、帰ったら神竜様へのご褒美でお風呂タイムを贈った。残りの時間は畑仕事と王妃様の依頼、やっぱりいい材料で物作るのは楽しい、何だろ、男のくせにブラジャー作るのを楽しいと感じた、俺…やっぱり、変態かも…いやいや!
次にトイエリさんに会ったら、膝枕と耳かきをできればいいなぁ。