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56 元の世界では俺はただの変態です

「アイリスちゃん、これは何ですか?」


これは…一体何事だ…。


「早く答えなさい!」


王妃様は俺のブラジャーとパンツを持って俺にこれは何と聞かれてる。思わずジト目で彼女に見る。


「これは自分の下着でございます。」

「知ってますわ!このコルセットは何処で買ったのですか!早く答えなさい!」

「え~と、その下着は自分で作ったです、()()のは気心地が悪いので。」

「なんですって?!アンナ!今平民にもこんな感じなコルセットを売ってますか?」

「いいえ、わたしが知ってる範囲では平民では基本コルセットは着ませんです。」


いやいや、普通に買えますって小さなスポーツブラジャーみたいなやつ。


「アイリスちゃん、あなたは市販で買ったものが、一体どんな感じの物ですの?」


仕方なく、メイドさんに紙とペンを要求し、俺が買ったものを描きました。


「こんな感じのを普通に買いましたわ。」

「「……。」」


な、何だ?わからない?おかしいなあ、同人誌で鍛えた画力では結構似てると思うですが。でも王妃様とメイドたちも頭を押さえて、長い溜息をついた。


「はぁ~~~。アイリスちゃん、これはコルセットではなく、平民の男の子供の服ですわ。」

「………え?これはブラではないのか?!」

「そのブラとはこれの事ですわね、これわたくしははじめて見たですわ。」


OH MY GOD(トイエリ)、タオルを巻いたままペタンと床に座りこんだ。


お、俺は王都に来た時ずっと子供服を買ってブラジャー扱いした?!だから普通の店でも簡単に買える。いやいや待て!では帝国にいる時は?コルセット全く着たことないわよ!手触りがいいからずっとスリップですが…。あ!魔力暴走したあとマリアンヌ確かしばらくは身体に負担にかからないドレスのままって、これはコルセットなしの意味ですか?わかるかい!!


「ってこれは何ですの、説明お願いしますわ。」

「も、申し訳ございません、ちょっとショックでした。これは私はブラジャーと言う自作の下着です。」

「では何故作ったの?」

「コルセットと同じですが、お胸を保護し、形状を整えて崩れることを防ぐ目的です。」

「アンナ、アイリスちゃんを確保。」

「かしこまりました。」

「え?!え?!ちょ!」


(何で俺が捕まったのですか?意味分かんねぇ!)


俺は目が変わったメイドさんたちに捕まり、王妃対面のソファーに倒され押さえられた。王妃様はメイドに支えられてからゆっくりこちらに。


「アンナ、タオルを外して。」

「かしこまりました。」

「い、いや!タオルを取らないで!離してください。」

「王妃様、どうぞ。」

「いや、来ないで!いや~~!」


揉まれた…胸が。王妃様揉んだあとここのメイド全員もついでに揉まれた、先程お風呂した時はもう揉まれたじゃないか、泣いて良い?


揉み続けて約15分。もういいよ、諦めた、この人達悪意もなく、彼女たちに魔法を使うわけいかないし、妊娠してる人もいるし。…うん、この身体は俺のじゃない、そう、俺のじゃないの、俺のじゃない。


「まさか…こんなにモチモチ柔らかい、形も崩れない、大きすぎない、でも小さくはない、それにまるで牛乳のような肌。アンナ、これは若さですか?」

「違うと思います、他の同年代のご令嬢たちもそんなに完璧な形ではないのため、恐らくその“ぶらじゃー”の効果と思います。」


(ないない、お二人さん、揉んだまま真面目そうな話しないでください。)


「アイリスちゃん!金を出すから、これを作って欲しいの。あなたのその“ふなんじゃ”?のデザインと同じがいいわ。」


うわーーー全く罪悪感がない満面の笑顔、メイドたちもいて俺は逆らわないと知ってるから、やりたい放題ですね、この王妃様は。元々は衣装に挑戦したかったのですが、ブラひとつでは数日で完成できるし、まぁ、帰ったらささっと完成させますか。


「かしこまりました、ではあとで王妃様お胸のサイズ、それと生地の色も…。」

「あ、あの…。」


誰だよ、こっちは上司から勝手に仕事を押し付けられてる途中ですわよ。


「わたしたちも欲しいですが、宜しいでしょうか。勿論お金は払います。」

「……。」


れ、冷静に、これは仕事だ、金になる。それにこのメイドたちも絶対貴族の令嬢だ、好印象にすれば絶対プラスがある!そう、いい方向に考えろ、これは簡単な仕事だ、暇つぶしとしてちょうどいいです。城の高価な生地も使い放題、お得だ!仕事スマイル、スマイル。


「いいですよ、ですが王妃様のはお先に作りますので、時間はかかります。それとせめてタオルを貸して欲しいです、他人に裸を見せるのは慣れでいませんので。」

「はい!勿論王妃様のお先にです!よろしくお願いします。こちらタオルでございます。」

(ホントにタオルだけを渡してくれたね、お前ら。)

「アイリスちゃん、下の方も欲しいわ、上と下も揃いて欲しいの。」

「ですが、自分のような裁縫初心者より、王城の針子さんたちに作るの方が綺麗ではないでしょうか?」

「これはダメ、アイリスちゃんが考えた下着だから、勝手に針子たちにこれを真似で作るには彼女たちのプライドを傷つけますわ。」

「そうですが。(この世界に著作権はないと思うのですが。まさかのプロのプライド…。)」

「そうですわ、ってあなたのこのブラジャーのように上はレースがいいわね。色はですね、赤のはどうですか?」


やめて、()()()()()()()を持って芸術品みたいに色んな角度で観賞するのはやめで、謝るから返してください、めっちゃ恥かしいし、寒いし、もし暖炉がないとすでに凍って死ぬ。何で俺はタオル一枚の格好で彼女たちの下着への要望を記録しているんだ!


「王妃様の水色の髪ではちょっと深いな青もいいですが、若さアピールでは同じく水色や白で、成人女性の魅力を出すには紫や黒が良いと。それと出来れば下着もお返してもらえないのかしら。」

「紫もいいですね。しかしわたくし黒は持ってないわ、迷う。」


メイドのアンナさんは王妃様に提案しました。


「王妃様、では今回は先に紫で、わたしが黒にします、黒が気にったら今度は黒を作るのはいかがですか?」

「アンナ!いいですわね、では今回は紫にします。」

(…下着を返しての事を無視された、キレでいいですか?)


最後はタオル一枚のまま王妃様とメイドたちのサイズと要望を記録しました、お値段はわからないので、成品を見てからそれ相応の値段でいいわ、もういい、考えたくない。


「申し訳ございません、王妃様。そろそろ私のパーティードレスを選び続けるのは宜しいでしょうか、せめて下着を着せてもらえませんか?」

「あら、ごめんなさいわ、気づきませんの。はい、これのつけ方も見せてね。」

「あ、ありがとうございます。」


そのまま皆の前でブラとパンツを着る。


「つけ方はコルセットより簡単ですわね。も〜もう、アイリスちゃん顔真っ赤、かわいいですわ。では続けてドレス選びましょうか。」


(やかましいわ!俺は露出趣味はないんだよ!)


「「かしこまりました。」」

「とほほ…。」

「アイリスちゃんにもコルセットの痛みを体感させましょうか?」

「え?」

「正装のドレスではそのブラジャーは見えますわよ、だからコルセットにしましょうね。」

「「かしこまりました。」」

「OH…。」


王妃様がドレス選びでメイドたちが俺に着替え中な時、メイドさんたちは小さい声で俺にこう話した。


王妃様がこんなに楽しく笑った事は久しぶり、そしてやはり王妃様このままでは高齢出産、この世界では前の世界よりさらに命がけ、だから赤ちゃんが生まれる前に可能な限り彼女を楽しく過ごせたいです。ですよね、でも何故コルセットをこんなに…力…一杯…で…締める…ですか?


あれからずっと着替えていたから、何着着替えたのかはもう覚えていない。そして毎回くるっと回ってにこりを要求する。何故だろう、トイエリさんは今絶対観察して、そしてめっちゃ笑ってるような感じがする。


王妃様の話では妊娠中だからで最近はずっと部屋にいる、お腹は今はもう7ヶ月みたい、今着てるドレスのおかげで大きなお腹は見えないが、これからお腹は更に大きくなるね。やっぱり出産近くな時は王城に行こう、この世界は回復魔法があるので、きっと何となくうまく行ける。


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ドレス選びしてから一体何時間過ぎた。女性で選択困難症があるのはホントらしい。俺の目ではこの辺りのドレスどれも同じに見えるのに、間近探しみたいでわかりまっせん。そろそろお昼になり、ようやく王妃様とメイドたちは満足そうなドレスを決めました。胸元が空いてる水色の姫ドレス。二次元では見慣れたのですが、リアルで胸元がこんなに空いてるで大丈夫ですか?胸半分出でるよ?サイズはちょっよ修正が必要だから針子たちのあとでバーストモードだろ、お疲れ様です。代わりに俺はようやくいつもの自分の制服姿に戻りました、謎の安心感が溢れ出る。しかしケープはメイドたちに没収されました、意味がわからないように“ケープのままで食事するにはいけません”、いや〜俺ずっとケープのままでご飯を食べてるが。


そして、今…何故…俺が…王様、王妃様、それと恐らく王子のようなもの二人と同じ食卓で一緒に昼食している。王様は誕生日席、左側は王妃と俺、右側は茶髪くんと水色髪くん。だから先程メイドたちに“ケープのままで食事するのはいけません”と言いましたが、もう勘弁してくれ。


「あ、あの、陛下、自分は平民なので、陛下たちと同じ食卓でお食事するのは、ちょっと。」

「気にするな、ミラが一緒に食べたいと言いた、だから気にするな。」

「くむむ…マナーについて失礼がもしれませんが、ありがたくご一緒にお食事を頂きます。」

「もう、アイリスちゃん、今日はあなたが主役ですわ、気楽に一緒に食べましょうね。」

「あ、ありがとうございます。」


王様のその冷や汗を流しながら仕方ない感じの顔を見れば、他意はなくホントに王妃様のためにですね、会社の食事会と思って乗り切ろう。


「そうだわ、アイリスちゃん、うちの子には会ったことないわね。紹介するわ。こちらは第一王子のヴィンセントよ。」


そして王妃対面席の茶髪くんは立って、紳士的な挨拶をして自己紹介した。


「はじめまして、俺はカウレシア王の国第一王子、貴族学園二年ヴィンセント・フォン・カウレシアでございます。」


王様と王妃様も美形だから王子もイケメンっぽいね。一礼したら彼は座りました。


「こっちには第二王子のレナルドよ。」

「はじめまして、僕はカウレシア王の国第二王子、貴族学園一年レナルド・フォン・カウレシアでございます、お見知りおきください。」


第二王子は王妃様に似てる子、ずっと糸目でニコニコしているのですが、リアルではちょっと怖い。


「ってあなたは?」


第一王子のヴィンセントに急に話しかけられた。あ、そうだ、俺も自己紹介しないと。アニメや漫画で見たカーテシーのやり方で両手でスカートの裾を軽く持ち上げて挨拶した。


「平民のアイリスです、陛下と王妃様のご厚意で現在学園で研究員として務めております。」


その後は椅子に戻ると、王子Aのヴィンセントから。


「なるほど、やっぱり君があの噂のお父様が()()()虹髪が。」

「ヴィンセント!アイリスに失礼だ!」


(定番の設定では第一王子は万能キャラ以外では基本グズですよね、うん~納得。)


王様はすぐに庇ってくれた。まあまあ子供の戯れ言は気にしませんよ。無視してご飯を食べましょう。


「こんな細い体がホントにあの勇者パーティーを倒したのか?わざわざ俺たちを呼んで、今日お祝いパーティーに参加するって…父上、まさかこの娘を養女にする気ですか?ははっ。」

「まあ~ホントに養女にするもいいわね、ねぇねぇ、アイリスちゃんはどう?」

「ありがたいお言葉ですが、自分には()()がいるので。」

「わかってますわよ、ちょっと考えるだけですわ。」

「王妃様がお暇でしたら、また遊びに来て良いわ。」

「あら〜ホントに?嬉しいわ、例のアレ他にどんなデザインがあるのも知りたいし。」

「あ、アレはまぁ、結構色んな種類があるですが。」

「次は楽しみですわ、安心なさいな、今朝の事はわたくしたちの秘密ですわ。ふふっ。」

「は、はぁ…。」


完全に無視された王子Aくんは口を挟んだ、当然ですよね。プライドが無駄に高い子供が無視される事は我慢できないもんね、王子Bを見習え!ずっと食べ…うん、ニコニコ笑ってる。


「無視するな!俺が話しているのだろうか、それに母上の厚意で平民の貴様を養女にするのに断った?何様のつもりだ!」

「申し訳ありませんが、王妃様とは仲良しなので、先程のはご冗談と知ってるから、真面目で受けるではなく、相応のご返事しただけでございます。」

「な、フン!」

(え?これで撃沈?)


王子Aは急に黙って食事にした、今度は王様からの説教。


「ヴィンセント!アイリスは我が客だ、無礼は許さない、謝りなさい!」

「ちぃ、アイリス嬢、申し訳ありません、失言しました、許して欲しい。」

「え?別に気にしてませんので、お許します。」


その後、王妃様からの一言で、王子Aはさらに沈んだ。


「ヴィンセント、一回しか言いませんわ、アイリスちゃんに失礼のないように。何があったら、わたくし()()()怒りますわよ。」

「も、申し訳ありませんでした!母上!二度とアイリス嬢に失礼なことしないように対応致します。」

「宜しい。」


やっぱり何処の世界でも基本最強なのは母でした。ずっと黙っていた第二王子レナルドはここで急に爆弾発言をした。


「アイリス嬢、申し訳ございません、兄上はただ貴方様がお可愛いだからからかうだけです、この前にお兄様はずっと学園の中であなたの事を探してたよ。」

「な!レナルド!何を言ってるんだ!違う!違うだからね!」


王様、王妃様、メイドと執事、警備の騎士たちも驚いた顔をした。そしてヴィンセントの顔は真っ赤…。


(なるほど、ヴィンセントはガキ大将キャラで、レナルドは一番厄介な腹黒キャラが。)

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