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44 西の街“モグタナ

王都には行けないので、今日朝から別の街、王都西にある街“モグタナ”で補給する。この半年間何度も耳にした街ですが、行くのは初めてです。魔の森では北西方向で飛ぶ距離は王都より遠く、飛ぶにも約1時間くらいで結構遠い。


変装について、この数日間で出した結論は平民の姿と冒険者マントに決定した。王都は魔道士団寮もいるし、下町でも魔道士団の人も時々見かけたことがある、()()()()この魔道士団のマント着ると余計なトラブルを回避できると思うが、しかし()()()()の街では?だから冒険者マントに決定した、草は森の中に隠れるのが一番だからね。


売るものについて前の考えのようにSSRの月光草を売るのはダメなので、ギルドで売る薬草を他のレア度Rのヤツを多めにする。それとマリアンヌに依頼されたフレームも完成しましたし、ついでにギルドにこのフレームを王都のギルドに送るように依頼します。でも新しいギルド…テンプレ野郎がいないといいな、何がちょっと心配です。


「神竜様、買い物に行ってきます、多分午後ちょっとくらいで戻ります。」


照れてるが、無視されたが、一応このコミュ障な神竜様に出かける挨拶し、街へ飛びます。


今は冬ですが、この辺りには雪はない。空を飛ぶと北方向の遠くに白い山が見えました、見るだけでもう寒さを感じます。平民の服だけでは寒いので、魔法でマントをコタツのように中の空気を温めることであのクソ高い魔獣コードを買わなくて済む。空から道順で飛んで、街を発見したら、周りに人気がない森で降下し、そのまま歩いて行く。


新しい街“モグタナ”に到着!王都のように大きくないが、それでも結構大きな街です。前に聞いた話ではこの街麦の生産量が多くお酒も有名です。冬なので麦畑は見えないが、入る前にすでに酒の匂いがした。周りの建物も酒場が多めで王都とはまた別のRPGの街っぽく思わずテンション上がりました、何が旅みたいでちょっとワクワクしたね。いやいや油断大敵、ここでは誰も知らない、例え冒険者ギルドに逃げても助ける人もない、気を締めて行こう。衛兵に冒険者ギルドの場所を聞き、早速目的地を探しますか。


モグタナの冒険者ギルドも結構大きい、デザインは王都のギルドとあんまり変わらない、同じく掲示板、カウンターと食堂兼酒場。でもこの時間帯で中に入るとすごく混んでます、人がもうちょっと減ったから薬草を売ろう、では朝ご飯はここで食べましょう、うん味は普通ですね。朝のピークが過ぎ冒険者も減った、朝ご飯を食べる時に周りをしっかり観察したので、優しそうな受付嬢のところに並んでた。


フレームの配達依頼もすんなりで終わり、薬草は新鮮だから意外と嫌味もなく高く売れました、では早速買い物のあと帰ろう。受付嬢に市場の場所を聞き冒険者ギルドに出た。


はぁ…ギルドに入る時は何もなかったのに、ここから出たか。顔悪そうな冒険者3人が俺のあとをつけギルドから出た、ここは穏便に衛兵のところに直行…いや、不良冒険者に会うのははじめてではないが、油断しないように障壁を張っておきましょう。その時大男の不良AとBが俺の前で道を塞いでた。


「ね~お嬢ちゃん、薬草結構売ってるじゃねか、偶然俺たち金がないね、貸してくれない?」

「ついでに俺たちと遊ばない?気持ちいい遊びを教えるぜ。ひひぃ。」


(前にふたり、後ろひとり。面倒なのでいつも通り重力で動かないまま股間にクリティカル攻撃したあと逃げるか。)


早速魔法を使う…の前に後ろから別の男性の声がした。


「貴様ら!白昼堂々でその女性に何をした!」


声の方向を見ると、フードを被ってるせいで見えるのは4人クループ、話してるのは真ん中の銀色の防具を身に着けてる若い男性。その隣…すごくナイスバティな女性3人、冒険者の4人パーディーみたい。あの女性3人こんなに寒いのにミニスカートで生足を出してるでいいの?


不良Aは俺を無視しその男の子に言い返そうとした。


「ハァ!こいつは俺の女だ、貴様らとは関係ねぇだよ!」


ここでクループの女性Aは魅惑そうな声で話した。


「あら、彼女はあなたの女とは見えませんけど。」

「貴様らと関係ねぇ。…何だお嬢ちゃんたちも美人じゃねぇか、その野郎をほっといで俺らと遊ばない?」

「……お嬢さん、あなたはこの人達と知り合いですか?」


その女性Aは不良たちを無視し、俺に話しかけた。わかった!これよこれ!あのシーンですね、モブの平民が不良に絡まって、主人公たちがそれを助ける。いえいえ、早くヒロインAに答えないと。


「いいえ、全く知らない人です。」

「このアマ!」

「動くな!…切るぞ。」

「くっ!」


下半身しか見えないですが、男性主人公が剣を抜いて不良Aの首に寸止めっぽいみたい。


「くっ、お前ら引くぞ!おまえら覚えとけ!」


不良ABCは走って逃げた、では俺もこのイベントを終わらせますか。男性主人公は剣を納め、こっちに近づけた。


「あの、助けてくれで、ありがとうございます。」

「いいえ、僕たちは正しいことをしただけです、気にしないて。」

「そうですわ、あたしたちは()()だもの。」


ゆ、勇者のパーティー?!え?ではこの男性主人公は異世界人?!でもトイエリさんから召喚魔法は元々成立しないと言われたし、それに今はもう使えないのでは?いや、もしかして前世の記憶を戻したヤツ?と、とにかく関わるのは危険だ、俺も早く逃げないと。


「ありがとうございます、これはほんの気持ちです、では失礼します。」

「いや、僕は君に…お、おい!」


俺は銀貨一枚を男性主人公に渡して、すぐに市場方向に逃げた。


危なかった、アレは絶対トラブルメーカーだ、まさかここで転生者に会ったとはね。ついてこない…よね。では買い物続行。


市場で買い物する時、急に寂しいと感じました、王都では最初市場で買い物な時はミノちゃん持ってくるのメイド姿でものすごく歓迎された、その後は学園の制服姿で、買い物な時いつも市場のみんなに話しかけてるし、ギルドではマリアンヌもいるし他の受付嬢と職員さんと話しも楽しい、図書室の司書たちも優しいです、なんだかんだで王都では結構な人と繋がりがあって楽しい。慣れすぎだが、急に今のようにひとりで黙々と買い物すれば王都に戻りたくなる、まだ一週間でこんなじゃダメよね。もうささっと補給して帰ろう。


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一週間後、マリアンヌのメガネフレームは王都の冒険者ギルドに届きました。マリアンヌはそのフレームを見て注文通り軽い黄色の金属で作られた丸レンズ枠のフレーム。これを持ってドワーフのガラス工房に度のないレンズを発注した…が。


「お客様、このフレームは何処の鍛冶屋で作るかい?」

「これは友人が趣味で作ったです、もしかして使えないでしょうか?」

「いいえ、使えないではなく、使い方法がわかんないす。」

「え?わたしが付けてるのと同じではないですか?」

「言い難いですが、このフレーム多分このレンズを嵌める場所を広ける事はできるですが、開け方がわからないね、それに色んな部品が小さい過ぎでその作り方も全くわからない。」

「は、はぁ、そうですか、では先にこのサイズのレンズを作ることが出来ますか?友人が戻れば連れでいきます。」

「ああ、これは大丈夫、レンズをもう少し大きく作って、入れなかったら余った部分をカットすればいい。」

「ありがとうございます、ではこの方向でお願いします。」

「わかった、レンズは多分一週間くらいと思うので、またその時に。」


マリアンヌはギルドに戻った、フレームは問題ないみたいなのに、何で工房の方は使い方がわからないのでしょう。まさかアイリスちゃんの作り方は彼らのとは違ったのでしょうか?初心者で趣味で作るから?彼女が帰るまで待つしかない。


ギルドのカウンターに戻って、同じく受付嬢のノラに話しかけた。


「ノラ先輩、戻りました。」

「おかえりなさい。ねぇ、マリアンヌさん、最近夕飯の食材を買う時、市場のおばあさんが心配そうで“アイリスちゃん最近見かけなくて大丈夫?もう来ないの?”と聞かれたよ。」

「まぁ、顔を隠したとわ言っても、貴族学園の制服姿で下町で買い物では凄く目立つだからね。」

「ですよね、最初は貴族のお嬢様と思われますね。あたしも彼女から貴族ではないと言うまでは気安く話しかける事はできないもん。」

「でも何か最近制服姿のアイリスさん見かけないとナニが足りない気がするな。マリアンヌさんもそう思わない?」

「何言ってるのですか、ノラ先輩。彼女のその髪と顔がちょっと見られただけでバカがこんなに増えますよ、もうお忘れですか?」

「バカと駄犬事件でしょう、こんな面白い事を忘れる訳がないじゃないか。まぁ最近彼女の話題ほぼ聞こえないし、バカと駄犬のおかげね。」

「ノラ先輩、それは学園長のおかげでは?」

「冗談よ冗談、でもまさか彼女は学園の関係者とはねぇ、だから貴族ではないなのに貴族学園の制服を着てるもんね。」


王都冒険者ギルドから先日学園長から緊急要請の手紙が来ました。


『最近下町から噂された虹髪の冒険者アイリス嬢について、珍しい魔力持ちな彼女は数年前学園が保護され、現在王城の庇護下で貴族魔法学園の研究員所属であり。王城と学園からも冒険者ギルドへの協力要請“アイリス嬢は創造神の使者及び聖女様の誤解を解いて噂を消す協力を求めます”。なお、本物の創造神の使者様の機嫌を損ねないように速やかに実行をお願いします。 


王国貴族魔法学園学園長 

ビアンカ・フォン・ユーヒィ より』


(アイリスちゃんは王国の王様と繋がりがあるのはわかりますが、まさか王様からこの()()を作り出したのは、ホントに予想外ですわ。)


「あ~そうそう、マリアンヌさん、今日もまたアイリスさんのパーティーへの勧誘申請来ましたわよ。」

「はぁ~これで10パーティー目ですが…彼女は絶対組まないと思うですが、こちらで記録しておきますね。」


(あれからもう3週間、アイリスちゃん予定では来週は王都に戻るですが、王様の庇護があるだからもう大丈夫そうではないでしょうか。)


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一方国王の執務室では、宰相は噂の件について国王に定時報告しました。


「陛下、報告は以上でございます。」

「そうですが、ご苦労。噂もだいぶん消えたね、これはいい事だ。結果は勝手に彼女を学園の関係者にするですが…彼女はまだ王都に来てないのか?」

「はい、冒険者ギルドの連絡ではもう3週間来てないそうです、恐らく噂が静まる前に別の街にいると思われます。すでにギルドに彼女宛の伝言でこの件についての説明のため一回騎士団寮に来てお願いしました。」

「彼女が来たらすぐに俺に連絡しろ。」

「かしこまりました。」

「彼女に手を出そうな貴族はあるか?」

「陛下から学園の関係者と伝えたあと、すぐに手を引いたみたいですが、ですが学園の方では貴族の子息たちは面白い半分で彼女を探し出すという事があります。勿論彼女は学園にいないので、今は静まりました。」

「そうですが、学園の方は学園長に任せ、貴族の方はもうちょっと見てくれ、万が一裏で彼女を捕まったら神竜様怒ると不味い。」

「かしこまりました、影にお伝え致します。それと関係あるとはわかりませんか、最近王国の各地帝国の間者が捕まったの報告が上がりました。」

「まだが、神竜様がそれとも彼女目当が…それとも戦争の準備が…、神竜様がいるとは言え、向こうには神竜様を撃退した英雄がいるし…。」

「陛下、間者についてもうひとつの報告がございます。」

「話せ。」

「その帝国間者について彼らの魔法は明らかに弱いと確認しました。例えば先日の間者は魔法で気配を隠したまま王城に侵入、ですがその魔法はあまりにも弱く、気配を隠せないまますぐに門番に見つかりました。そして抵抗する時の攻撃魔法と身体強化も間者としては弱いとの報告があります。」

「フム…陽動…ではないかね。」

「陽動としても稼ぎの時間は少ない過ぎ、王城周辺の警備も増えましたが、別の侵入は未だにないです。」

「帝国の策が…それとも瘴気のやら使者様に関係あるのかね。」

「わかりませんが、もし使者様が王都に来たら、彼女に確認するのはいかがでしょうか?」

「そうだね、その時は例の件と共に確認する。しかし間者が増えたの件について、帝国は戦争の準備しているの可能性がある、周辺の鉱石と食料の流通の確認と、騎士団団長、魔道士団団長と辺境の貴族たちにも備えてと連絡してくれ。」

「かしこまりました。」

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