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20 ドラゴンのヤミ

アイリスとマリアンヌが逃げ出した翌朝。


メイド姿の俺は今多分魔の森の上空にいる、太陽は昇ったばっかり、森はもう段々精気を感じる。この魔の森はほぼ木の海です。


別に深くないが森の外側から奥まで飛ぶ距離10分程度で、先程見えた黒いモヤモヤに到着した。


先ずは遠目に見ましょう、万が一ドラゴンではなく、強大な魔獣でもすぐに逃げよう。遠目に見ると、木の海の中に丸形の大きい戦闘痕跡があります、木が倒れ地面も凸凹、その戦闘痕跡の真ん中はモヤモヤの正体。


「ドラゴンさん!!」


すぐさまドラゴンに向かって飛んだ、距離があと約50メートルの時、とんでもない威圧感を感じた。ドラゴンから直接俺へ威圧だ。


「え?何で?いや、こ、怖いが、行こう。は、話せば、わ、わかる…。」


絶対震えてる、もう少し前に飛ぶ…。急に威圧感が無くなった、まさかこのタイミングで亡くなったとは思わないよね。すぐに高速でドラゴンに接近しました。


ドラゴンの側に着地、思った通り、ドラゴンは先日に会ったより弱っている背中もあの変な剣が刺したままだ、それと体が“黒い”、モヤモヤの黒だけではなく先日までは灰色なのに、今は灰色からカードゲームで出る赤い目の黒い竜みたいに黒い。それとドラゴンの真正面に牛の頭で人の体…以下略。赤く大きなミノタウロスの死体が倒れてる、まだ血が流れているので、さっきまでこいつと戦うのか?ごめんよ、ホントにごめん!ドラゴンの反応を見ると接近したのは俺だとわかるかのように、頭を俺に向かって頭を下げた。


「いや、こっちこそごめんよ、ごめんなさい。すぐに助けますね、背中のあの黒い剣を抜けばいい?」


わかってる、ラノベみたいに脳内に直接話せるこんなに便利な事がない、今はできる事はあの黒い剣を抜く、あれは明らかに妖刀や呪いの魔剣みたいなやつ、そうでないと剣身がこんなに禍々しいな黒な訳がない。


俺はトラゴンの背に乗って、効果があるのかはわからないが、あの魔剣の握りにハンカチを包み、剣を抜く。


「ドラゴンさん、痛いと思いますが、我慢してください。では行くよ、フム!!!!」


甘かった…俺は1つミスをした。今の俺は非力な姫様だ!!


「はぁ、はぁ…ぬ、抜けない。力がダメでは魔法、剣は金属では重力や磁力も効いてる可能性がある。ごめんね、今すぐに抜くだからもう少しの辛抱です。」


結局魔法と力の合体技で約1時間で抜きました、剣はそのまま地面に捨てる、回復魔法は使ったことないがドラゴン相手に効いてるのもわからない、でもこんな死にそうなドラゴンが目の前にいると、やらないとダメじゃないか。


幸い傷口血は流れていない、せめて傷口を塞ぐだけはやっておきたい。傷口を細かく見て、俺の魔力も残りそんなに多くはないが…うん、倒れ覚悟で全魔力使うぞ!鱗の生成は無理として、血管の繋ぎ、神経の繋ぎ、筋肉繊維や皮の細胞を魔力で再接続と再生速度を増やす。そう、テレビの化妝品広告で見た細胞分裂と医療ドラマの再現をイメージする。


あら不思議、我流回復魔法を続けて使ってから10分、俺はそのままドラゴンの背中に気絶して倒れた、俺…情けない。しばらく魔力が少し回復したので自然に起きた、何時間気絶したのかはわからないが、太陽はまだ東にいるので多分そんなに経ってないと思う、良かった。


「怪我は?!なおっ…だ…やった!治った!やった!」


ここで俺はもう1つ気付いたことを発見した。ドラゴンの背中に倒れた俺の形がある、刑事ドラマの死体の跡みたいな、しかも白い。


「うん…確かトイエリさんは元々俺の役目はこの世界の瘴気を浄化する空気洗浄機ですが。でも俺の体奪われたよ、この体は…いや、待て…その空気洗浄機機能は元々俺の魂に内蔵すれば話は通じる。現に先日からモヤモヤが見えるし、マリアンヌのモヤモヤも消えた、ではこのモヤモヤは瘴気らしいもの?マリアンヌの胃に瘴気?…うん、わからん。」


ですが、その白い()()()()、10分くらいしてまた黒に戻った。


「ドラゴンさん、どうやらあなたと長く付き合いになりそうですね、白く戻るまで。」


俺はドラゴンの背中から降りて、その爪に触れたままそう言った、ドラゴンもその頭を俺に向け、頷く。


「ではトイエリさん夢で言ったあなたを“浄化”の意味は、私がずっとあなたの事を触れればいいなこと?」


ここでドラゴンの頭を横に振る。


「違うですか、何がの神聖魔法の浄化か?」


何だろ、ドラゴンさんはずっとその黄金色の眼で俺を見ている。2回目の襲撃と同じく、何か言いそうな感じ、俺もそのままその目をずっと見る、何故か何となくわかるような…画像の様なイメージ?。


「側に、いる、でいいの?」


ここでドラゴンは目を閉じ、頭を縦に動かした、そうらしい。


「そうですが、ずーっと触らなくて良かったよ。あ、ただ私も動けるという意味です、別の意味はないよ。では側にいないとダメでは私もここで住むの意味ですね。」


ぐぅぅぅ…


相変わらず俺のお腹は空気が読めない、徹夜で飛行、朝ごはんも食べてないし、仕方ないか…。ですが俺が手持ちのものは正直ほぼなし、ここで生活するには、王都で色々買わないとダメ、お金…マリアンヌは金貨3枚渡されたが、できれば使いたくない。


ここで目の前にミノタウロスがいる…昨日マリアンヌから冒険者ギルドで合流するといいましたので、この世界にはギルドがある、ではそこで換金すればいくらになるだろ、ゴクリ。これがだめでは姫様のアクセサリーもある。ちょっと王都に行きますか、生活用品と食べ物を買わないと。


「ドラゴンさん、剣を抜いた今は大丈夫?実はちょっと王都に行って、食べ物や生活用品を買いたいですが。」


ドラゴンは寝たままの片目を開いて、俺を見てからまた閉じた。何となくわかる、剣が抜けたあと呪いの侵食は増えることなく治るまで俺の側で寝るだけ…と思う。なるほど、体が灰色なのは長年溜まった瘴気で黒になったのは剣の呪いね、ややこしいな、ってことはあの魔剣折っていい?


いや、いい使い方がある、俺は魔剣を拾って、そのまま地面に挿す、剣の影が地面に映った、これはこれはお高そうな日時計を作れたね。刺さった地面は呪われないかな、もし黒くなったり草が生えないと抜こう。


「腹減った、もう流石に王都に行かないと不味い。すみませんが、あのミノタウロスを連れでちょっと行ってきます。」


魔力は少し回復しましたが、多くなくても王都までは行けると思う、途中魔力なくなったと歩いて回復するしかない。フードを頭にしっかり被せ、美味しそうなミノちゃんの重量を消し連れて行き、そのまま魔の森の外側に飛んだ。直接王都に飛ぶのは騒ぎになるので、森の外はそのまま地面で低空飛行。他の人から見れば、ただ冒険者が走るだけだと思う…ミノちゃん付きですが。


王都に近づくと周りに人は段々多くなり、重さを消したミノちゃんを連れて歩いて行く、そのまま王都の西門に到着。ミノちゃんは大きいので、城門のちょっと離れた場所に下ろすと同時に城門から衛兵約10人がこちらに来た。


「動くな!その魔獣は何だ!」

「(え〜と、マリアンヌのメイドモードで)はい、旦那様がお狩りした獲物です、冒険者ギルドに売るつもりですが。大きい過ぎのため城門に入らないみたいなので、衛兵の方々にギルドにご連絡お願いできませんか?」

「あなた…メイドですか?どこの家?」

「はい、メイドではありますが、旦那様がすでにご隠居のため、申し訳ありませんが、家名は教えすることはできません。」

「はぁ、まぁ、その見たことない魔獣を狩れることは結構上位な冒険者や貴族様だろ。わかったギルドに先に連絡しておく、あなたも冒険者ギルドに行きなさい。身分証は?」


ない、そんなものはない、元々飛んで入るつもりでしたが、やばいやばい。俺はエプロンの2つのポケットに手を入れ探しているフリをした、あくまで冷静に。


「あら、申し訳ありませんが、恐らく魔の森で無くなってしまったと思います。申し訳ありませんでした。」


ここで45度のお辞儀で誤魔化す。


「そうですが、では名前とそのフードをおろしてくれ。」


くむむむ…フードを降ろさないと疑われる、城門の衛兵は大丈夫だろ、別国の姫を覚える城門の衛兵はないと思う。仕方ない、フードを下ろしましょう。


下ろしましたが、警備全員固まったままで何も言ってない、姫様の美少女顔はすごい。


「名前はアイリスです。…もう宜しいでしょうか、自分の顔はトラブルを招き易いので、出来ればお隠したいです。」


小説では美少女に転生したのは良いことばっかりですが、現実ではこの姫様顔はトラブルの元と思うしかないよ…まぁこの傲慢姫は美少女で嬉しいは嬉しいですけど、三次元は興味はないですけどね。


「は、はい。ご協力ありがとうございます。無くした身分証はギルドカードですか?」

「はい、そうです。」

「これはギルドに再発するしかないな、その獲物は俺たち見てるので、人にギルドに連絡しましたから、あなたもギルドを行っていいよ。」

「ありがとうございます。」


よし、王都の中に入った!案内はないので入ったあと下町の衛兵を探し、冒険者ギルドへの道を聞きました。屋台の人に聞けばいい?多分ね、衛兵以外の人に聞くと屋台では何を買うか、他の人には情報料が必要と思う、それに万が一絡めると危ない場所に案内されると危ないです。俺今持ってる金は金貨3枚のみ、買い物も受け取れないだろ、だから衛兵一択ね。まぁすぐに衛兵を見つけた、彼もそのまま案内され、いい人ですね。


って冒険者ギルドの前に来た、俺今はメイド姿だから、冒険者ギルドのテンプレなアレは発生しないと思う、そう思いたい。

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