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中二とお菓子の家

今年最後の更新です。

いや~、この作品久々に更新したな~。


あるところにある意味仲の良い4人の家族がいました。

お父さんにお母さん、そして可愛い兄妹。兄の名前はリツゼル(ヘンゼル)。妹(♂)をムツーテル(グレーテル)でした。

「あら~、お兄ちゃんは眼鏡がとっても似合うのね~」

「・・・申し訳ないが、奥方・・・。兄は余なのだが・・・。」

こんなことはよくあることでした。

さて、幸せに暮らしていた4人でしたが、なんとお母さんが病気で亡くなってしまいました。

そこでお父さんは新しいお母さんを迎え入れました。

いわゆる継母です。

そして継母は育ち盛りで家計をむしばむ兄妹が疎ましく思い、お父さんの承諾を得て、ピクニックを装い二人を森の奥へ捨ててきてしまいました。

「ここは・・・どこだ・・・?・・・オレは・・・誰なんだ!?」

「我が最大の宿敵五十嵐睦月に決まっておろう!?それより、のろしを上げるのを手伝え。このでくの坊。」

「あの、オレここではムツーテルなんですけど・・・。」

なんということでしょう。

今回はツッコミが不在という緊急事態です。

なんにせよ二人はそこでなんとか野宿をしました。

「よいか?明日は日の出と共に襲撃じゃ。あの鬼婆に目に物見せてやろうぞ!?」

「お任せください、お館様!?」

二人はなんやかんやで楽しくその日を超しました。

しかし、次の日。

さすがに育ち盛り、一夜にしておなかの中を消化してしまった二人。

ふらふらの足取りで右も左もわからないまま二人はなんとか家へ帰ろうとしました。

すると・・・。

「兄上!」

「なんじゃ、ムツーテル。敵襲か!?」

「いえ、菓子の匂いが南より香ります!!」

空腹の二人はそりゃあ必死にお菓子の香りがする方へ走りました。

そこにはなんと大きなお菓子の家があるではありませんか。

兄妹(♂)は一心不乱にお菓子の家へ襲い・・・じゃなく、お菓子の家を食べ始めました。

「んだよ~・・・こんな朝早くっから・・・。どっかで工事か?」

お菓子の家からジャージ姿のガラの悪いお兄さんが現れました。

「んん~、お前等・・・何人ん家喰ってやがるんだ」

お菓子の家に住んでいたのはなんと魔法使いの光太お兄さんでした。

魔法使い光太さんはこれ以上家を壊されては困るので二人を家の中へ入れました。

「で、何お前等?・・・うん・・・うん・・・ふ~ん。遭難したんだ~。つか、お前等ちゃんと話せよ!いつまで俺の家喰ってんだよ!?」

あまりにも失礼極まりない律と睦月・・・じゃなく、リツゼルとムツーテルを魔法使い光太さんは喰われたお菓子の代金を払わせるためリツゼルを檻に閉じ込め、ムツーテルをこき使い始めました。

「ショートケーキ6個、エクレア10個、ミルクチョコの扉にその装飾のキャンディ12個、そのほかにも・・・。計7万4千850円。きっちり働いて返せよ。」

「は、はい・・・。少し恥ずかしいから、後ろ向いてください」

「気色悪い!!服を脱ぐな!そうゆう意味じゃねぇんだよ!雑用しろ、掃除しろ、肩たたきしろ」

それから三日間。兄は檻の中であったが、リツゼルとムツーテルは三食すべて大好きなお菓子をいただいていたのです。

「全然太らない奴等だな・・・。」

体質です。羨ましい限りの。

ある日、魔法使い光太さんに言われムツーテルは大鍋の用意をしました。

「・・・フッ、オレの推理が正しければ・・・今夜は鍋だな・・・。」

「なわけないであろう!こんのうつけ者め!!奴は呪術師、我々を喰う気であろうことがわからんのか!?」

「え~、そんなことないよ。光太さんは優しいよ。いい人だよ」

ムツーテルはさっきおやつで貰ったクッキーを貪りながら、リツゼルを説得しようしました。が、兄の権限はでかいもので、結局 ムツーテルはリツゼルの作戦を実行しなければならないことになりました。

「おぉ、睦月。鍋準備いいか?ちょ、待て。火は大人がいるときは子供は使っちゃダメだ」

魔法使い光太さんはかがんで竈に調節をし始めました。

ムツーテルは光太さんの背中を思いっきり押し、光太さんを竈の中に閉じ込めてしまいました。

「ちょ!なにすんだよ!?」

「オレが手を汚すにはお前はあまりに小さかった。その心の小ささに感謝するんだな」

「いや、意味わかんねーし!?何?俺なんで小さい言われてんの!?」

「だまされるな!この男は間違いなく我らを食する気だ!なんと醜い心の持ち主じゃ」

「はぁ!?なんだよ!?誰がテメーらみてぇなの喰わなきゃなんないんだよ!?今日夕飯鍋だって言ったろ。牛肉安かったから。わーたよ、俺の心が狭いって言うんなら今日お前等晩飯なしな」

「ち、違う!待ってくれ!!オレは兄に脅されて・・・!!無理矢理だったんだ・・・。兄のことはいい、でもオレの夕飯のことはどうかっ・・・どうかっ・・・。」

光太さんはため息をつきましたが

「わーたよ。二人とも、手ぇ洗ってこい」

こうして、魔法使いの光太さんの家にはわがまま自己主張の強すぎる子供が二人、弁償をし終えた今でも居るのでした。


「有栖川、廊下に立ってなさい」

「うぐっ・・・違う・・・呪術師は我らの肉を・・・」

三年A組有栖川律の午後の夢であった。


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