中二と夏
俺は17年間「本当にあった怖い話」いわゆる心霊体験がない。そもそも、幽霊・妖怪のたぐいを今は信じていない。
怖い話やその手のバラエティーは好きだけど、雑談・番組として楽しむ。
そんな俺の夏。
母さんの実家に来た。俺の母さんと睦月母、二人は幼なじみのお隣さんだから「どうせなら一緒に」というノリ。
「山だ!海だ!田舎だぁ~!!」
うん、睦月も一緒だ。
こうゆうのを見ると、歴史って繰り返すな~なんて思う。
でも、2,3日くらいは万年ツッコミをしている俺にも休みって必要じゃない?
「ここがオレの本当の故郷・・・。」
「違うぞ」
俺達同じ都内の産婦人科らしいよ。それからずっと、都内。
「では、ここに一ヶ月ほど籠もって修行」
「二泊三日ですよ、睦月君」
ただ遊び回りたいだけだろう。それに・・・。」
「睦月、野生化するなよ」
山に向かって「ヤッホー」ならぬ「アオーン!」と叫ぼうとした睦月に振り向かず言った。
やれやれ・・・。はしゃいでるな~。
俺は縁側に座って、ボーッとする。
それにしても、なんといっても田舎は落ち着く。
この家は少し降りれば海に、戻れば山。車で30分でショッピングモールにそれまでは畑や田んぼ。工夫次第で遊び放題だ。基本俺が睦月に連れ回されるんだけど・・・。
「光太、スイカだよ」
「ありがと、バーちゃん」
スイカを食いながら庭の畑を眺める。スイカはこの畑が産地らしい。
「お前の母さん達は買い物に行ったけど。光太達はこの後なにするんだい?」
「う~ん・・・特にないな~。あ、墓参り行かないと。あと睦月が川に行きたいとか言ってたな。」
「そうかい。暗くならないうちに帰っといで。」
「バーちゃん、そんな心配しなくてもいいよ。もう、そんなガキじゃねぇんだから」
口に含んだスイカの種を吐き出す。
「いんや、今年は本当に帰っといで」
バーちゃんの顔が急に険しくなった。どうしたって訳ありのご様子だ。
「なんで?」
「よくねぇ年だ、今年は。人間じぇねぇもんがうじゃうじゃそこーら中にいる。大人にゃーわっかんねぇこったが、お前みてーな子供にゃあ、奴らは悪さする。気ぃつけねーと、連れてかれっど。」
どうせ、あの世とかだろ?
「わーたよ。ちゃんと暗くなる前に帰ってくるから」
ついていけない。
日常睦月相手にしているから、本当田舎に来た時くらいやめてほしい。そうゆう系。(睦月のことはもう半分は諦めてる)
「約束だぞ?ほれっ!聞いたか!?山犬様の声だ!!」
「睦月、墓参り行くぞ」
あれほど、やんなって言ったのに。
「裏切りやがったな・・・・光太、お前だけは信じてたのに・・・。光太だけスイカずるい!」
「スイカで頭かち割ってやろうか?」
花とお供え物、線香を持って俺達は山の頂上付近の墓地に行く。
あるわけないよな。
もう何十回も来ている場所で、心霊体験なんて。
なんだか肩が重いのもそういった潜入観からだよな。
トゥ~ビ~コンティニュ~♪