悪役令嬢のお気に入り 王子……邪魔っ

作者:緋色の雨
「アイリス、君との婚約を解消する」
「――はい、よろこんで」
 責務という名の鎖に捕らわれていた賢姫アイリスはこうして解き放たれた。

 自由を得たアイリスが出くわしたのは隣国の王子アルヴィン。彼との邂逅で前世の記憶を取り戻したアイリスは、前世の自分が過去に遡っていまの自分に転生したことを知る。
 前世の彼女はアルヴィン王子の従妹で剣姫、次期女王フィオナだった。
 このままでは、フィオナは慕っていたアルヴィン王子の裏切りにあって失脚し、追放された果てに壮絶な最期を迎えてしまう。

 前世の自分を救おうと考えたアイリスは、二度の人生で得た知識と未来の記憶を駆使してアルヴィン王子に気に入られ、前世の自分の教育係という地位を手に入れる。
 フィオナの側にいて、破滅の未来を書き換えようとするのだが……

「おまえは本当にフィオナがお気に入りなのだな」
「ええ、だから王子に構ってる暇はないんです。あと、勝手に髪に触らないでください」
「心配するな、おまえの髪はサラサラだ」
「そんな話はしてないよっ!」

 この裏切りの王子、とても邪魔である。
*カクヨムにも投稿しています。
 Web版は書籍版の改稿前の原稿となっています。大筋は同じですが、アルヴィン王子のスパダリ感が書籍版より少なかったり、細かい矛盾点がそのまま残っていたりします。
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