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閑話 欲望まみれの女神たち

今日は閑話を2話更新です。

 神界、風の女神ニンリルの宮。

 ここに女神たちが集まっている。

 この宮の主にして風を司る女神、風の女神ニンリル。

 白銀の長い髪にどこまでも澄んだ青い目のスレンダーな美女である。

 風の女神ニンリルの女神仲間その1の土の女神キシャール。

 金色のウェーブのかかった長い髪に濃茶の目の豊かな胸にくびれた腰つきのニンリルとはまた違った美女である。

 風の女神ニンリルの女神仲間その2の火の女神アグニ。

 燃えるような赤い髪をポニーテールにし、金色の目に浅黒い肌の健康的な美女である。

 風の女神ニンリルの女神仲間その3の水の女神ルサールカ。

 深い蒼の肩くらいのまでの髪に緑の目をした7、8歳くらいの美少女(美幼女?)である。

 4人の女神は水鏡の周りに集まりとある一行を覗いていた。




「彼奴め、まだ供え物をせぬつもりかの~」

「ホント、ちょっと遅いわよね」

「ホントだぜ。誰か神託しろよ」

「……(無言のままコクコク頷く)」

 女神たちは焦れていた。

 異世界(日本)の甘味はニンリル様だけでなく他の女神様たちも魅了したようである。

「アグニよ、お主が神託と言い出したのだから、お主がするのじゃ」

「そうよ~」

「……(無言で頷く)」

 アグニ様以外の女神様たちが言い出しっぺのアグニ様に神託を押し付けるようだ。

「な、何でオレなんだよっ。ヤダからな。神託なんてしたら、他の神たちに下界で何かやってるって思われるかもしれないじゃないか。それに、創造神様に知られたらまた怒られるだろ」

「大丈夫じゃ。1回くらいならバレやせん。妾も1、2回やったがバレんかったからな」

(運のいいことにな)

「そうよ~1回くらい大丈夫」

(バレるかどうかなんて分かるわけないじゃないの)

「……大丈夫」

(大丈夫かどうかはわからないけど、私じゃなければいい)

 なかなかに薄情な女神様たちである。

 何としても創造神様に怒られることは避けたいようだ。

「ぐぬぬ……言い出しっぺはオレだから仕方ない。だが、これだけのリスクを冒すんだから、褒美はもらうからな。酒はダメだって言ってたけど。異世界人に酒を供えるように頼むからな。それがダメなら、お前たちで神託するんだな」

「クッ……」

(酒か。面倒なヤツらが来そうではあるのじゃが、神託なしでは彼奴がな……)

「お酒ねぇ……」

(何だか面倒なあの人たちが来そうではあるんだけど1、2本くらいなら大丈夫かしら?)

「…………」

(酒好きの神たちが来そうだけど、私はお酒飲まないから関係ない)

 3人の女神たちはアグニ様の言うことももっともだと思いつつも、お供え(貢物)を早く手にしたいらしい。

「おい、どうすんだよ?」

 アグニ様に聞かれて3人の女神は話し合った。

「おい、どうするのだ? 神託なしでは彼奴が供え物をするとは思えんのじゃ。前も忘れたことがあったしのう」

(甘味のためじゃ。アグニ、お主に託すぞ。何かあれば骨は拾ってやるのじゃ。彼奴が祈っている間に妾の分の甘味増量を神託するのじゃ。今回は他の女神たちに聞かれないようにのう。ぬふふふ)

「確かに異世界人クンの行動を見ると、忘れてそうではあるわよね。私は1、2本くらいの酒ならいいと思うわ」

(それくらいならね。っていうか、異世界人クンがお供え物とお祈りしている間に私も神託しちゃおうと思ってるし~。あの石鹸とかシャンプーとかトリートメントっていうのが絶対に欲しいわ。何としても異世界人クンに頼んでお供えしてもらわないと。お祈りしている間の神託は相互通信ができるからバレにくいしその間に神託するわ~)

「私もいいと思う」

(最初さえクリアすれば大丈夫。異世界人に神託できる。お菓子も美味しいけど、ご飯も美味しそうだった。私も食べたい)

 3人の意見はまとまった。

 女神たちは欲望に忠実なようである。

 しかしながら、それも無理もない話かもしれない。

 神と言えど異世界のものを手にする機会などそうそうあるわけじゃないのだから。

「「「それでいい(のじゃ)(わ~)(コクコク)」」」

「ただし、酒は1、2本だけなのじゃ」

「そうよー。あまり多いと面倒なあの人たちが来ちゃうかもしれないし」

「……(コクコク激しく頷く)」

 3人の女神、アグニ様に釘を刺すことも忘れない。

 アグニ様は酒好きのうえ酒豪だから、釘を刺さねばあれもこれもとなることが分かっているからだ。

「チッ、わーったよ」

 アグニ様も渋々頷いた。

『おうっ、異世界人、聞こえてるか? 早く供え物よこせや』

 実にアグニ様らしい神託である。

 そんな中、3人の女神の欲望は最高潮に達しようとしていた。

(何はともあれ甘味じゃー。妾の甘味を大量に確保じゃ! 特にどら焼きの確保は最重要なのじゃ)

(石鹸とシャンプーとトリートメントとあとあのヘアマスクっていうのも欲しいわね。あ~早く使ってみたいわ)

(ご飯、ご飯、ご飯、ご飯、ご飯)

 女神様たちは、ひょんなことから生まれた異世界(日本)のものを手にする機会を大いに楽しんでいた。






女神様たちも異世界の物を手にする機会はないみたいなので、この機会にいろいろ欲しいみたいです(笑)

この後に本編の女神編が続く感じです。

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