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第七十話 かつ丼にしてみた

今日は70話、71話を更新です。

 洞窟から出たところで飯の用意をすることにする。

 昨日とんかつを揚げたから、あれが食いたいんだよな。

 そうなると、少し時間がかかるから先にフェルとスイにはとんかつとから揚げを出してやる。

「今からちょっと作りたいものがあるから、先にこれ食っててくれ」

『作りたいもの? それは美味いのか?』

「めちゃくちゃ美味い。味は保証する」

『ほう、お主がそこまで言うとはな。楽しみだ』

『美味しいもの食べられるのー?』

「そうだぞ。だけど少し時間かかるから、これ食って待っててくれな」

『うんっ。スイ、待ってるよー』

 よし、これで大丈夫だな。

 とりあえず二人にはとんかつとから揚げを食いながら待っててもらう。

 その間に作るのは、かつ丼だ。

 トロトロ卵と甘じょっぱい出汁の絡んだかつ丼が無性に食いたいんだよ。

 まずは材料だ。

 玉ねぎはあるし出汁に使う調味料類もあるから、米と卵をネットスーパーで購入。

 最初は米を炊かないとな。

 米を研いで土鍋で炊き始める。

 あとは玉ねぎを薄く切ってから、出汁を作る。

 出汁は前に作った親子丼のときとほぼ同じだ。

 めんつゆ使ったりして色々試してみたこともあるけど、俺にはこれが一番かな。

 それから卵を割って軽く混ぜておく。

 あくまで軽くで混ぜ過ぎないよう注意だ。

 米が炊けて蒸らしている間に、フライパンに水、だし醤油、みりん、砂糖と玉ねぎを入れて火にかける。

 出汁が沸騰して玉ねぎが半透明になるくらいに煮えたら、そこにとんかつを投入。

 衣に出汁が染み込む程度に少し煮たら、そこに卵を半分だけ回しかける。

 卵が半分くらい固まるまでの間に飯をよそっておく。

 残りの卵をかけて火を消してあとは余熱で卵に火を通すくらいでOKだ。

 あとはトロトロの卵と甘じょっぱい出汁の絡んだとんかつを飯の上に乗せたらかつ丼の完成だ。

「かつ丼出来たぞー」

『どれ……むっ、これは美味いぞ。オークジェネラルの肉に卵が絡んで美味い』

 うんうん、美味いだろう。

『お肉とトロトロなのが美味しいねー』

 そうかそうか、スイも美味いか。

 やっぱし丼ものはハズレがないな。

 さて、俺も食いますか。

 っと丼もの、特にかつ丼だからな、口の中をさっぱりさせるのにお茶も欲しいかも。

 ネットスーパーでペットボトルのお茶を購入。

 久しぶりのかつ丼をいただきますか。

 おおっ、卵と甘じょっぱい出汁の絡んだかつが最高ですな。

 そこに米が加われば最強。

 やっぱ丼もの美味いな。

 ガツガツガツ。

 ここでお茶をゴクゴク。

 おー口の中がさっぱりする。

 そこでまたかつ丼をガツガツ。

 食が進むね。

『おかわりだ』

『スイもー』

 早いな。

 二人のおかわりを手早く作る。

『はい、どうぞ』

 二人ともまたガツガツ食い始める。

 先にから揚げも食ってるし、おかわりのかつ丼はちょっと多めに作ったからこれで大丈夫だろう。

 少し冷めてしまったが、俺も残ってたかつ丼を食い始める。

 冷めてもけっこういけるな。

 ガツガツガツ。

 ふ~食った食った。

 お茶をゴクリと飲んで口の中の脂を洗い流す。

『あるじー』

「何だ? スイ、おかわりか?」

『ううん、もうお腹いっぱい。あのね、あるじが飲んでる緑色の美味しいの?』

「ん、これか? これはお茶って言ってな、ちょっと飲んでみるか?」

『うん、飲む―』

 空いている皿に少しだけお茶を入れてスイに出してやる。

『むーっ、これ、苦いっ。美味しくない。スイ、これ嫌い。ぺッぺッ』

 比較的何でも食う(というか異世界ゴミでも食う)スイだが、苦いのは苦手みたいだな。

 苦いのが苦手なら……これはどうだ?

 ネットスーパーでコーラを購入。

「スイ、これならどうだ?」

 コーラを皿に注いでやる。

『これ、苦くない?』

「苦くないぞ。甘いよ、これは」

 スイがおそるおそるという感じでコーラにちょっとだけ触手の先を付けた。

『ッ!!!』

 美味しかったようで、皿のコーラが瞬く間になくなった。

『あるじー、これ、もっとちょうだい!』

 皿にコーラを並々と注いでやった。

 ゴクゴクゴク。

『これ、シュワシュワして甘くて美味しいのー』

 ゴクゴクゴク。

『ぬ、美味いのか? 我にも飲ませろ』

 フェルが飲みたいというので皿にコーラを注いでやった。

『ゴクリ……ぬっ、な、何だっこれはっ、し、舌の上で弾けるぞっ』

 あのフェルが驚いてるよ。

『ゴクリ、ゴクリ。うむ、不味くはないな。しかし、これは初めての感覚だ。異世界にはこのような不思議な飲み物もあるのだな』

 フェルもスイもコーラを気に入ったようで、それぞれ1.5リットルのボトル1本ずつ飲み干したよ。

「さて、そろそろ街に帰ろうか」

『うむ、そうだな』

「スイ、帰るぞ」

『はーい』

 スイが鞄の中にスルっと入り込む。

 俺がフェルの背に跨り、俺たち一行は街への帰路についた。





 

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