第六十五話 所持金金貨2000枚超え
17話に解体費用のことがなかったので、少し加えてあります。
冒険者ギルドに入ると、すぐに職員の人にギルドマスターの部屋に案内された。
もちろんフェルとスイ(いつもの鞄の中だ)も一緒だ。
「それじゃまず昨日話してたCランクのギルドカードを渡しておく」
ギルドマスターからCランクのギルドカードを受け取る。
見た目銀色のカードは今までのFランクのカードとあまり変わらない気がするな。
「まぁ、見てくれはそんなに変わらないかもしれんが、ランクがデカデカと載ってるからな。一応、ランクが上がったら新しいカードが発行されるのが恒例だ」
何でもFからBまではこの銀色のカードなのだが、AとSに関しては金色のカードなのだそう。
金色のカードはAランクかSランクの冒険者の証で、それを持っている冒険者は超一流ということらしい。
今までカードの色が変わることさえ知らなかったから、へ~だね。
「次はお主の持ち込んだ買取品の精算だな。今回は良い魔物を回してもらって冒険者ギルドとしてもかなりの利益になる予定だ。だから解体費用はサービスしておくぜ」
おお、解体費用をサービスしてくれるとはありがたい。
「まず最初に持ち込んだ分の内訳の説明から行くぞ」
ああレッドサーペント持ち込んだときのやつだな。
「オークジェネラルが5体で金貨12枚だ」
オークジェネラルの肉以外の素材としては、普通のオークと同じく睾丸だそうなんだが、より強力な精力剤の原料の1つらしい。
「次がロックバードが3羽で金貨24枚」
ロックバードの素材は嘴と羽だな。
「その次がジャイアントドードー、これは魔石持ちだったからそれを含めて金貨33枚だ」
Bランクの魔物ながら今回も魔石があったようだ。
「それからジャイアントディアーだ。これは魔石持ちではなかったので金貨16枚」
残念ながらこちらには魔石がなかったようだ。
となると、角と皮の値段だな。
「Aランクのマーダーグリズリーは金貨87枚だ」
肝、爪、毛皮の状態も良かったし、Aランクの魔物だから当然魔石があったのだが、それが大ぶりの魔石でこの値段になったそう。
「次も同じくAランクのブラックサーペントは金貨88枚」
ブラックサーペントのが買取に出されたのが久しぶりで毒袋、肝、牙、目玉、皮と少し高値の値段にしてくれたみたいだ。
これもAランクの魔物だから当然魔石があったのだが、大きくて質もなかなか良い魔石がとれたそう。
「最後にレッドサーペント。これが金貨201枚だ」
レッドサーペントはブラックサーペントの特殊個体で、Aランクの魔物ではあるものの、ブラックサーペントより数段強いうえに気性も荒いのだそう。
それゆえに討伐も非常に難しく冒険者ギルドでも数年に一度見られる程度の貴重なものらしい。
そういうこともあってか、ブラックサーペントと同じく素材は毒袋、肝、牙、目玉、皮と魔石なのだが、ブラックサーペントより大分高い値段になったのだそうだ。
もちろん魔石が大きかったこともこの値段になった要因だが、皮も超高級素材でレッドサーペントの革で作った革製品は持っているだけで垂涎の的らしい。
「ということで、最初に持ち込んだ買取分の合計が金貨461枚だ。ああ、肉は倉庫に保管してあるから、帰りにそっちに寄ってってくれ」
…………。
よ、461枚ですか。
前回の買取金額より多いぜ。
フェルはうちの稼ぎ頭だな。
まぁ一番食うんだからがんばってくれるのはありがたいけどさ。
その稼ぎ頭の大好物の肉、帰りに忘れないようにしないと。
肉好きで驚くほどの食いっぷりのフェルがいるから、肉が無きゃ話にならないし。
それにスイだって、今は異世界ゴミだけじゃなく普通の食事も一緒にとるようになったしな。
ん?何で異世界ゴミ以外の普通の食事食ってるんだって?
普通の食事はスイの『スイも食べたいなー』の一言であげるようになったけど、何か?
あのかわいいスイたんにダメなんて言えるわけないじゃないか、ヤダな~もう分かるでしょ。
そういうことだから、フェルとスイのために肉は忘れないで持って帰らなきゃな。
「あとは追加で持ち込んだ買取分だな。ありがたいことに、こっちはほぼ全てにすぐに買取手が決まってな」
そう言ってギルドマスターがニヤニヤしている。
ああ、追加分についてはかなり利益が出るんですね。
昨日のヨハンのおっさんの話だと追加で持ち込んだ魔物はみんなAランクかSランクみたいだし。
高ランクな魔物はそれだけ出回る数も少ないみたいだしな。
「んじゃ追加で持ち込んだ分の内訳の説明行くぞ。まずはオーガ4体で金貨160枚だ」
オーガなんだが、肉は不味くて食えないそうで(それはフェルも言ってたからな)、素材は角と皮だそう。
角はいろいろな薬剤に利用されるらしく高値で取引されているそうで、皮は革鎧の素材として防御力も高く人気とのことだ。
あと、オーガはBランクなのだが、残念ながらこの4体に魔石はなかったそうだ。
「Sランクのブルーオーガは金貨432枚」
ブルーオーガは昨日ヨハンのおっさんが言っていたとおりオーガの特殊個体で、角も角自体が秘薬(何の秘薬なのかはわからんけど)として珍重されていているし、皮も物理・魔法のどちらの防御力も高い超高級革鎧になるとのこと。
それから魔石だが、さすがはSランクでかなりの大きさの質の良い魔石がとれたということだった。
Sランクの魔物って1体でこんな馬鹿みたいな金額になるんだな、びっくりだぜ。
「それからオークキングは金貨168枚だな」
オークキングはAランクの魔物で、肉も超高級食材らしい。
ギルドマスターになんとか卸してもらえないかと言われたが、丁重にお断りした。
すまんね、肉は渡せないんだよ。
で、肉以外の素材は睾丸と皮と魔石だそう。
オークキングの睾丸で出来た精力剤は必ず子が授かれるのだそうで、跡継ぎが出来なくて困っている王家や貴族たちにとっては喉から手が出るほど手に入れたいものらしい。
皮も物理防御特化の革鎧になるらしく、これも人気だそうだ。
あと魔石も割と大きな魔石がとれたとのこと。
「次はメタルリザードで、金貨169枚」
Aランクのメタルリザードは肉は毒があり食えないそうで、素材はその名前のとおりの鋼のような皮と歯と魔石。
魔石はそこそこ大きめの魔石がとれたようだ。
皮は鋼のような見た目だが皮なので軽いうえに物理防御ならこれ以上の素材はないと言われているそうで、その皮の革鎧はAランクやSランクの高ランク冒険者に好まれているという。
歯は弓矢の矢じりの素材になるそうで、貫通力でだけで言えばメタルリザードの歯の矢じりが一番なのだそう。
「次がSランクのレイクシャーク。これは金貨468枚だ」
レイクシャークは肉は臭みがあって食えないそうで、素材は歯と皮と魔石とのこと。
なんでもこのレイクシャークは魔石だけ取り出した後にそのままの姿で剥製にするのだそうだ。
既に貴族たちから購入申し込みが殺到中だとかでギルドマスターもホクホク顔だ。
まぁ、レイクシャークが見られるのは干ばつで湖が干上がったときくらいだって言ってたから相当珍しいんだろうね。
取り出した魔石もSランクということでかなり大きめの魔石だったそうだ。
「あとはゴブリン共だが、キングに極小さい魔石があったから、それが金貨18枚だな。それ以外のゴブリンには買取れる素材はない。その代わりと言っちゃなんだが、別途ゴブリンの集落の討伐報酬が出る」
ゴブリンなんだが、ランクとしてはゴブリンキングがBでゴブリンジェネラルがC、ゴブリンメイジがD、ゴブリンソルジャーがFとのこと。
ゴブリンにはそもそもとれる素材がなく、かろうじてゴブリンキングがBランクなので魔石持ちの場合があるということだった。
今回のキングの魔石は本当に小さい魔石だったそうだ。
ちなみに今回はいなかったが、ゴブリンの上位種にはほかにもゴブリンナイトやゴブリンアサシンがいて、それらがEランクなのだそうだ。
「ということで、追加で持ち込んだ買取分だが、合計で金貨1415枚だ。それからゴブリンの集落の討伐報酬として金貨70枚。最初に持ち込んだ買取分と追加で持ち込んだ買取分、ゴブリンの集落の討伐報酬で〆て金貨1946枚だ」
ギルドマスターがドサッドサッドサッっと机の上に麻袋を7つ置いた。
「大金貨やら白金貨は使い勝手が悪いだろうから、うちでは冒険者に支払うときはみんな金貨なんだがそれでいいか? ん、どうした?」
…………いや、いざ目の前にすると唖然としちゃって。
だ、だってさ、その麻袋に入ってるの全部金貨なんだろ?
「こ、これ、き、金貨1946枚、なんですよね?」
「ああ、そうだぞ。麻袋一袋に金貨300枚ずつ入ってる。ああ、そのうちのこれには半端の146枚が入ってるぞ。数えるか?」
俺はブルブルと首を横に振った。
「め、滅相もありません。ギルドマスターを信用してますよ。ただ、さすがに金貨1946枚となると、驚いてしまって……」
まさか、こんな大金になるとは思ってなかったぜ。
「ああ、そういうことか。それなら分かるぞ。金貨1946枚ってのはこのギルド始まって以来の高額買取だ」
げっ、そ、そうなんだ。
考えてみりゃ、こんなにたくさんの魔物をいっきに持ち込むヤツなんていないか。
なんか、ホントすんませんでした。
アイテムボックスに溜まってたもんで。
肉には困ってたけど、金にはそんな困ってなかったんだけどな……。
実を言うと、前に買取したときの金貨が大分残ってるし、もらったばっかりの盗賊の討伐報酬もあるんだよね。
今回のと合わせると金貨2000枚超えするよ。
所持金金貨2000枚超え。
2000万円以上の現金持ち歩いてるってことかよ。
俺、今まで、そんな大金持ったことねぇ……。
って俺が稼ぎ出したわけじゃないんだけどね。
ほとんど何もやってないし。
獲って来た張本人のフェルも言っちゃ何だけど、そんなに苦労したって感じじゃないし。
だって、ほとんどが
レイクシャークに至っては魔法一発だし。
ゴブリンのときだって、俺とスイが普通のゴブリン共を相手にしてるときにもう始末して後ろに控えてたからな。
まぁ、フェルがすごいってことなんだろうけどさ。
俺にはいつまで経っても食いしん坊キャラにしか見えないんだがなぁ。