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第六十二話 Cランク冒険者

今日は61話、62話、63話の更新です。

「お主、あれだけのゴブリンの耳を持ち込んだということはランクアップしたいということだな?」

 ああ、それね。

 そうです。

 まぁ、あれだけの数になっちゃったのはゴブリンの集落に突入させてくれた誰かさんのせいですけど。

「それならばギルドマスターの権限でCランクまで上げてやる」

「え? 私は今Gランクで、移動が多い都合上Gランクだと登録の抹消期間が短かったものでFランクに上がりたかったのです。それがいきなりCだなんて、そんなの大丈夫なんですか?」

 GランクからFランクに上げようとしてたのに、いきなりCランクなんてありなんか?

「そこはギルドマスター権限で問題ない。それよりもフェンリルを従えた者がGランクでいることの方が問題だ」

 Fランクに上がるつもりが、いきなりCランクになったぜ。

 Cランクだと依頼を受けなくても確か半年は大丈夫だな。

「Cランクに上げる代わりと言っては何だが、いくつか受けてほしい依頼があってな」

 あー、そういう話になっちゃうわけ?

 それならCランクにならなくてもいいんだけど。

「えーっと、そういう話ならお断り『いいぞ』」

「フェル?」

『お主が上げようとしていたランクとやらが上がるのだろう? それならばいいではないか』

「いや、そうだけどさ……」

『依頼のことならば、危なくなれば我が助けるから問題ない』

「お話し中申し訳ないが、依頼はAやSランクの高ランクの依頼となりますので、どちらかというとあなた様への依頼になりますな」

 ギルドマスターがフェルに向かってそう言った。

 ああ、そういうことね。

 良かったー。

「フェル、そういうことみたいだ。どうだ?」

『フンッ、AだかSだか知らんが、我にできぬことなどあるわけがなかろう』

「だそうです」

「おおっ、それは良かった。いや、実は高ランクの依頼はどこも滞りがちでなぁ。AランクやSランクの冒険者となると数も限られてるんでな。それでも緊急性があるものについては、高ランク冒険者を緊急招集して事に当たるのだが、それ以外となるとどうしてもな……」

 まぁ確かに高ランクの冒険者となれば数も限られてるし、割と冒険者って転々としてるみたいだから近くにいるとも限らないだろうしね。

「それとお願いなんだが、旅をするにしても、その途中にできるだけ街によってそこの冒険者ギルドで同じように高ランクの依頼を受けてもらえればありがたい」

 いずれにしろ肉が必要になるから冒険者ギルドにはお邪魔することになるだろうけど、ギルドマスターの権限でCランクには上げてくれるみたいだけど、CランクでAとかSランクの依頼受けられるのか?

「Cランクでも大丈夫なのですか?」

「ああ、それは問題ない。この国の各ギルドにはお主たちのことは連絡するし、依頼もギルドマスターから直接することになるからランクは関係ないのでな」

 なるほどね。

「フェル、大丈夫か? 何にしろ肉が必要になれば、旅の途中でも冒険者ギルドに魔物の解体はお願いしなきゃなんないんだけどさ」

『もちろん大丈夫に決まっておろう。それに戦えるのはこちらとしても好都合だ。体を動かさねば鈍ってしまうからな』

『スイも戦うよー』

 今まで大人しく話を聞いていたスイがブルブル震えて念話でそう言ってくる。

 あーはいはい。

 スイを撫でて落ち着かせる。

「ということで、大丈夫みたいです」

「おお、おお、それはありがたい。早速各ギルドには連絡を入れておく。この国の冒険者には冒険者同士の諍いには厳しく対処しているから大丈夫だとは思うが、お主たちに他の冒険者たちが変な茶々を入れぬように通達することも合わせて伝えておくぞ」

 おお、ありがたいね。

 さすがギルドマスター分かってらっしゃる。

 何かこれでいっきに問題解決しちゃった感じがするぜ。

「それで、頼むことになる高ランクの依頼なんだが、至急絞り込んで明日には依頼を出したいのだが大丈夫か?」

 明日か、買取の関係で冒険者ギルドに来る予定ではあるけど、ランベルトさんのお店にも行きたいし商人ギルドにも行きたいところなんだよな。

 でも、ギルドマスターはいろいろと便宜を図ってくれたみたいだし、ここは先に冒険者ギルドの依頼をこなしますか。

「分かりました。私も買取の関係で明日また冒険者ギルドに来る予定ですので、そのときにでも」

 そう言ってふと思った。

 ここまでフェルのこととかで便宜図ってもらってるし、アイテムボックスにある永久保存しようと思ってた魔物とか他の魔物(オークキングとかブルーオーガ等々)とか出しちゃってもいいんじゃね?ってさ。

「あのー、追加で買取してもらっても大丈夫ですかね?」

「ん? 追加でか? 構わないが、何の魔物だ?」

「それがですね、出したらちょっと騒ぎになるかなぁと思ってたんで出さなかったんですけど、ギルドマスターにはここまでフェルのこととかで便宜図っていただいてるんで、出しても大丈夫かなぁっと思いまして……」

「ほぅ、それほどのか?」

「ええ、実はキマイラとオルトロスがいまして。あとオークキングとオーガと」

「ちょっと待て、今、キマイラとオルトロスと言ったか?」

 ギルドマスターが怖い顔をしてそう聞いてきた。

「ええ、言いましたけど……」

 ギルドマスターが頭に手をやり、いかにもあちゃーって感じで渋い顔をした。

 え、やっぱりマズかった?

「確認したいから付いてきてくれんか」

 スイを抱いてフェルと共にギルドマスターの後を付いて行くと、昨日も買取でお邪魔した倉庫に着いた。







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